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2006年11月04日

Martin D-28のナット・サドル交換

 楽器カテゴリに記事を投稿するのも久しぶりな感じがしますが、今回はMartin D-28のナットサドル交換をいきましょうか。今回は静岡県の赤池様からご依頼頂きました。

赤池様D-28到着時.JPG
(サムネイルをクリックして下さい。画像が拡大します)

 因みに今回のD-28は新品の2006年製をご購入なさったそうなんですが、弾いていると、「特定のフレットで妙なビビリが出る・ナット溝が緩いせいか開放弦をハードピッキングすると、弦が暴れる感じ」なので、何とか直して欲しいとの事でお預かりしました。

 で、入庫してから私も弾いてみる訳ですが、なんかこう・・・締りが無い音と言うか、特にご指定のDADGADチューニングだと明らかにプレーン弦の開放が暴れてしまい、サスティンが少なく、音の立ち上がりが足りない感じです。
赤池様D-28ナット交換前.jpg
 ナット溝の広さをぱっと見て、こんな物といえばこんな物・・・こうじゃないと言えばこうじゃない・・・って感じのナット溝の状態ですね・・・・この写真では判りませんが、明らかに生産時にナット溝の切り方(角度)でミスを犯している溝が一本ありました。それがビビリの要因になってましたので、ナット交換で対応します。

 後は弦高が無茶苦茶高いですから、下げる為にサドルも新規で制作します。
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2005年12月17日

Collingsさんサドル製作+完了編

Collingsさんシリーズの続きですね。
前回はナット製作まで終わらせてますので、次はサドル製作ですね〜
とは言え、ここは色んな要素やノウハウが絡んで来る部分なので、
文章にするのは結構難しかったりします。
この楽器の納品後、オーナー様と色々話して行く内に、色々調べる事になりました。
そんな中、色んな古典楽器系の書籍を読む機会が有りまして、
(ちょいノウハウというか情報が必要になったんです)
色々楽器特有のサムシング的な事に足を踏み入れていくキッカケになりました。
そんな意味でこの依頼は私の中ではエポックメイキングな位置に有ったりします。
それ故、公開できない事も多々有りますので今回は、軽く流してしまう様な内容になります事を
御了承下さい。(寸法等々以外の肝心な事は私も模索してる最中です)

さて、サドル製作って言いますとどうすれば良いのか?と良く聞かれる事が有るんですが、

「元のサドルの寸法を良く計って、よく考えて作って下さい」

としか言えなかったりします。
因みに私の場合はナット製作の手法を流用して作っています。
実務的にはどうするのか手順は次の通りになります。

@新しいサドル材の厚みをブリッジスロットの幅に合わせる
(エレアコの場合は薄皮一枚分位緩目に作る)

Aブリッジスロットの長さを合わせる。

Bサドル材の底面に当たる部分を直角+平面に仕上げる
(ピエゾの各弦の音量バランスによっては平面具合を少し変える)

C弦の接点部を仕上げて弦高を合わせる


と言った様な手順になるでしょうかね。
どの作業も重要ですが、今回最も難しいのはB番でしょうか。
因みに納品後、湿気で各部状態が変化してしまったようでバランスが狂ってしまい、
オーナー様にお叱りを受けました。

さて、今回は冒頭で書いた通り、あまり公開出来ないんですよね。
(元々公開する気があまり無かったので写真もほとんど撮ってなかったりします)


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2005年11月12日

Collingsさんナット製作編

Collingsさんシリーズの続きですね〜
前回書き忘れた事ですが、ハイランダーは新規購入の場合、取扱説明書も付属しています。
ブリッジ溝Rやタップのサイズも記載されていますので、合わせてご参照頂ければ幸いです。

さて、今日も何とか更新できそうですね〜
なんとなく毎日更新してると物凄くよく物を考えるようになった気がします(笑)

今回はナット周辺を行きましょうか

前々回ナットを外した写真までは載せてましたので、新規のナット製作ですね。

そんな訳でナット材の紹介から行きましょうか。所謂ブランク材って奴ですね。
ナット材
(サムネイルをクリックして下さい。画像が拡大します)
左上から「元々付いていた物」「通常の漂白牛コツ」「無漂白オイル牛コツ」になります。
今回ナット材でオーナー様に他のナット材も合わせて
「どれにします〜?」
って聞いて見た所、
「無漂白オイル牛コツにしといて〜」
と言うお返事を頂きましたのでそれを使う事にします。

マーティン系のナット交換は形状が複雑な為、物凄く手間が掛かります。
さて、マーティンやコリングスのナットはどういう形状をしているかと言いますと・・・
マーティンナット構造
なんかの時に描いた図を流用しましょうか。

ナットの底がネック角度の準じている上に、(正確には溝に嵌ってる形ですが)
ヘッドの形状の延長線がナットの形状にも繋がってると言う作りになっています。
まあ色々作り方は有るんですが、やって見るとこれが結構大変なんですよね〜
今回は作り方の詳細な部分は想像してもらう事にしましょうか(笑)

手順としては
@基準の平面を作る
Aヘッド(溝)角度を測ってナットにマーキング
B角度を削り出す
Cヘッドの延長線を現物あわせでマーキング
D削り出す
E以降は通常のナット製作と同じ
位の感じでしょうかね〜

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posted by IRP Products at 18:33| Comment(4) | TrackBack(0) | ナット・サドル関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年11月01日

Collingsさん!いらっしゃい〜

ご縁が合って最近公私共々お世話になっている方からの依頼で
アメリカの高級ギターメーカ・Collings(コリングス)ドレッドノートモデルの
ナット交換+サドル交換+ピエゾPU搭載の依頼を頂きました。
コリングス到着時
(サムネイルをクリックして下さい。画像が拡大します)
日本の国内代理店さんのHPはこちら
http://www.taurus-jp.com/collings/

このコリングスは比較的後発アコースティックギターメーカーですが
製品の丁寧さでは群を抜いており、プリウォーマーティンを非常によく研究して
さらに改良を加えた良質なモデルを多数輩出しているアメリカのメーカーですね。
価格は国内定価で言うと60万前後が中心となっている様です。
そんな高価なギターですが、購入相談等こちらでお受けして色々アドバイスしていた所、
数本・数店梯子の後、この中古個体に出会い(出会ってしまった?笑)
依頼主様は男泣きの分割で購入されました(笑)

購入時点でナットやサドルの状態があまり芳しくない様で
「交換してよー」「良いですよ〜」的なやり取りの後、こちらでお預かり交換となりました。

とりあえず弾いてみますと・・・
やっぱりと言うか、音色は物凄く「マーティン!」って感じがする様な気がしました。
と言うのも物凄く繊細で綺麗な音でローもしっかりでている訳ですが。
(因みに私のアコギの基準は、ある年代のD-28だったりします)
音だけで楽器を探している方が、「ここにたどり着く」と言うのも良く判る感じがしますね。

所が、残念な事にネックが真っ直ぐな状態でナットが低くブリッジサドルが高いと言う
不可解な状態だった訳ですね〜(どうやら前オーナーが交換したようです)
サドルが高いのは削れば全く問題が無いですが・・・ナットの溝のRバランスに関しても、
オーナー様に取ってはちょっと納得がいかない状態です。

因みに現オーナー様はソロギターや歌伴なんかをやるフィンガピッカーで
開放音とカポは必須ですし・・他の様々な理由からこのセッティングでは完全NGですね。
そんな訳で話し合い後、交換+フル調整する事になりました。

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posted by IRP Products at 03:28| Comment(0) | TrackBack(0) | ナット・サドル関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする