2008年05月23日

ジャクソンソロイストの改修

先日のシャーベル繋がりで、今回はジャクソンソロイストの改修作業のご依頼を埼玉県在住HN:じょん様より頂きましたので、今回はそれらの記事になります。

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到着した日、滅茶苦茶曇ってたんですよね。。画像が滅茶苦茶暗いんですが、綺麗な無垢のフレイムメイプル2Pボディーでボルトオンネックのジャクソンです。ネックはジャクソンの得意のオイルフィニッシュ(的な)仕上げとなってます。

先日のシャーベルMODEL6はスルーネックでしたが、こちらのジャクソンブランドの物がボルトオン・・・・

ジャクソン社の当初は、シャーベルブランドがボルトオンネックで、ジャクソンブランドがスルーネックと言う作り分けが主流だったと記憶していますが、いつの頃からかブランドや仕様が入り乱れてしまっていたようですね。(前回のシャーベルに関しては日本国内で生産された物だったからかもしれませんが)

今回ご用命頂きました作業内容は、
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前回にも少し触れました様に、ケーラータイプのナットからフロイドタイプのナットへ換装作業とPU交換、そしてフロイドローズ用イナーシャブロックのワンオフ製作と言うご要望を頂きました。

この写真をご覧頂くと判ります様に、ケーラータイプのロックナット?機構は、所謂普通のギターのナットを交換せずに追加工で取り付ける事が可能。。と言う物なのです。

つまり、通常のナットとロック機構を同居させている訳ですね。
この構造の利点は開放弦の音色は通常のギターと変わらないまま、弦をロックしてチューニングの安定を図る事が出来るという訳です。(プロギタリスト鈴木茂氏のギブソン335にも取り付けられてますが、アレはこういう効果を狙っての事でしょう)

所が今回の楽器の様に、フロイドローズ搭載でダイナミックにアーミングした場合、ナット部分で弦の稼動摩擦が大きくなり、プレイに集中出来ない程ピッチが狂う事もあります。(と言っても一応はヘッド側でロックしているのでシンクロナイズドトレモロ程ピッチはズレ無いんですが)

そんなピッチの狂いが気になって仕方が無いとオーナ様がお悩みでしたので、今回フロイドローズ用のナットへ交換する事になりました。

上記の話の裏返しになりますが、フロイドローズ用のナットの場合、0フレットで弦をロックしてしまう為、弦の稼動摩擦部分が限りなく0になり、チューニングが安定すると言う訳ですね。但し開放弦の音は金属的になりますよ。と言った所ですか。

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早速通常のナットとケーラーナットを外してみました。
このナットを外した周辺部を切削加工してから、メイプル材で下駄を履かせて底上げし、フロイドローズのナットを取り付けられる様にする訳ですね。

文章で書くと2行ですが、この加工結構大変でした。。。。

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この位の大きさのメイプル材をナット部分に埋め込む訳ですね。これはまだ仮なので木取りの方向は違います。

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これがその大変だった加工中の写真です。
画像の左側、ネックの角度と元のナット溝の深さに合わせて溝を一段削り込んであります。
最初は元のナット溝を埋め木してから、角度を削り出して下駄を履かせようと思ったんですが、そうすると、埋め木が二枚になって強度や見た目が悪いなーと言う判断から、今回はこう言う方法を取る事にしました。

右の画像は、削り込んだ溝にぴったり収まるようメイプル材を削り出して接着している写真ですね。途中の工程の写真は全く残ってませんでした。因みにクランプを掛ける際、工具でネック裏に傷を付けない様に当て木とノンスリップシートを挟んであります。

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この下駄を作るにあたって、ロッドナットに工具が入るようにパイプレンチのサイズ分だけ「工具の逃げ」をあらかじめ掘り込んで有ります。

そしてなぜ、下駄程度にこんな厚いメイプルを貼ってるかと言いますと・・・・規定値近くの薄さで作って貼ろうとして、仮にクランプを掛けたら苦労して整形したメイプル材が割れてやり直しました。。泣きました。(意味わかります?)

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そして、その後、メイプルブロックを規定の高さ・形状にまで削り出して、概ねこの辺の木部加工は終了ですね。

ヘッドトップから連続していく下駄の側面に関して、オーナー様は無垢のままでも良いと仰ってたんですが、どうせなら。。と、こちらの判断で部分塗装させて頂きました。

グリップ側面はこの後、オイルフィニッシュの後、ウェザリング(汚し)を行ったのですが、その写真もどこかへ行ってしまいました。。。

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そして、やっとこさ、フロイドローズ用のナットの取り付けですね。今回は上締めタイプなので取り付けはさほど苦労しません。
本当はもっとこの辺、接地面積における音色・・・等々を突き詰めて研究したいと思って自分の楽器ではあれこれやっているのですが、まだまだお客様の楽器でやる訳には行きませんので、ここは素直に取り付けます。

この時点でフレットの擦り合せも行ってあります。

ネック周りはこの辺で一旦終了

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そして今回頂いた依頼の中で一番体力的に大変だったのは、フロイドローズ用のブラスブロックをワンオフで作った事でしょうか。

と言うのも、このオーナー様と前に何かの機会にお話していた時に、私が「シンクロのイナーシャブロックを自分で作った事有りますよ」と言っていた事を覚えていらっしゃった様で、「それならフロイド用のも作れませんか?折角だから試してみたいんです。」と、とても有り難いお話を頂きましたので、製作させて頂きました。

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色んな話し合いの末、数ある材料の中から今回はブラス材(真鍮)を選んだ訳ですが、切削性が良いブラスと言えど金属です。
そして私はフライス盤など所有しておりません。と言う事で自分用に作った時と同様、手で削り出しました。。。。

ネット上の金属密度の資料からブラスの質量を調べておいて、ブロックの体積に当て嵌めてみる。。。なんて作業を経て、ある特定の重さになる様に設計して削り出しました。

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ボール盤で正確な取り付け穴を開け、タップでネジを切っていきます。。。

この時点で予測重量にほぼ近い結果が得られたので、個人的には中々良い経験になりました。(高精度の秤が欲しい。。)

そして致命的なブロック単体での写真の撮り忘れ(笑)泣けますわ・・・

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でもまあ組み立て前の写真が残っていたので良しとしましょうか。

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フロイドを組み立てて、スプリングを掛けるとこんな感じですね。
弾いた感じアーミングが少し重くなりましたが、ピッキング時のアタック感とサスティンは物凄く延びました。フロイドの場合、ちょっとでもアームダウンをするとガクンと音量が下がってしまいますが、このブロックですと、その辺り少し改善されます。後の使い方はプレーヤーさん次第!ピッキングニュアンス等々の使い心地に関しては、使い込んで頂いてレビューをお待ちします。

しかしまあ、いつもながらにあまり写真が残っていないのでかなり伝わりにくい話ばっかりになってしまってますが。。。。

次はPU交換に行きましょう。
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ジャクソンオリジナルのPUキャビティーで特徴的な所は、まるで他のPU搭載を拒むかの様に、ジャクソンオリジナルPUの形状に合わせて作られてます。この形状のキャビティーですとリプレイス出来るPUは限られてきます。(EMG、ダンカンのJBjrなどの一部のモデル、シェクター系などの配線取り付け用の耳が無いモデルに限られる)

今回はフロントPUにディマジオ社製「Pro Track」と言うPUを搭載する事になったのですが、これはボディーを加工しないと取り付けられないんですね。PUの耳と言いますか、配線が出る部分の逃げを作ってあげないといけません。

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と言う事で現物合わせでトリマー用ジグを作り、フロントPU部分ボディー加工を行いました。PUの耳の部分だけ拡張してあげた訳ですね。

これ文頭の方にも書きましたが、メイプルボディーで切削加工中物凄い甘い良い香りがしました(笑) 

その後はきっちりシールディング用導電性塗料を塗布して、アース線を配線します。

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配線は元々それほど雑に施工されては居ませんでしたが、国産のポット・レバースイッチが付いていたので、ここもオーナー様より交換指定がありました。この辺りはまあ難しくもなんとも無いですね。こちらのキャビティーにも導電性塗料を塗布してアースに接続します。

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そして色々ネックポケットの擦り合わせ等、細部に渡る調整を行ってから組み込んで完成!今回PU関係のパーツは全て白で纏める様にとのご希望で、PU等御支給を頂いておりました。

写真が暗いのが残念なんですが、非常に綺麗なフレイムメイプルにワインレッドのボディーなんですけどね。。これ。完成が夕方だったのが残念。

肝心の改造点、ロックナット部分も良好、フロイドブロックも(個人的に)物凄い良い結果を生んでます。交換したPU郡との相性もかなり良い様で、物凄いHR・HMギターになりました。

オーナー様からのレビューでも
「いやー物凄いですね。ここまで行くとは!」
と言う喜びの声を聞かせて頂きました。

ブロック削りは大変でしたが、このレビューを聞いてホッとしました。まだまだ勉強しなきゃ駄目な事は沢山ありますが、今回はひとまずここまで!

しかし写真って撮ったつもりでも全然撮ってないもんですね・・・

今回のお客様のHN:じょん様のHPはこちら
Jackson Factory
http://www7.plala.or.jp/charvel/

関連リンク
suhrのPU交換と電装系修正
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2008年05月22日

80'sシャーベルMODEL6の電装系〜総合修理

埼玉県在住のT様より80'sシャーベルMODEL6の電装系〜総合修理のご依頼を頂きました。

症状としては、音が出なくなった!と言う事と、全体的な調整を御願いします!との事でお預かりしました。

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(サムネイルをクリックして下さい。画像が拡大します)
到着時なんですが、非常に大事にしておられたらしく、年代の割には非常に綺麗な美観を保っている状態でした。

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ヘッドレイアウトも伝家の宝刀!ジャクソンヘッドです。

この年代のジャクソン社の多くはナットにケーラータイプの物が取り付けられています。このナットの構造は、1・6弦がナットの中で引っかかり過ぎるので、本来このヘッドレイアウトに取り付けるのは良くないんですけどね・・・・通常のナットと相まって、微妙にチューニングの安定度が悪いので、本来ならフロイドローズタイプ(上締め)のナットに換装すべきです。

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ジャーベルと言うとボルトオンネックだったりする事も多いのですが、これはスルーネックモデルで、ジャクソン直系のMODEL6(日本製)という品番の物ですね。この特徴的なスイッチは各PUのオンオフスイッチとなっています。

演奏中のPU切り替えにおいての操作性はすこぶる悪いのですが、決め音でガンガン行くには非常に良いスイッチングシステムではあります。確かジェフベック先生がこのコントロールレイアウトのストラトを使ってましたね。アレは特殊なスイッチワイヤリングだそうですが。。。

その他特徴的なのは、アクティブミッドブースター回路が内蔵されている事でしょうか。
コントロールとしては1アクティブ回路ヴォリューム、1マスターパッシブトーン、ミッドレンジゲインと言うレイアウトになっています。

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とまあその辺りの事は置いておいて、音が出ない原因を探す為にコントロールパネルを開けて見ました。
今まで全く触らずにオリジナルのままだそうですが、相変わらず量産品でアクティブ系楽器の配線は雑然と配線されている事が多いですね。。。

私も量産メーカーに居たので判りますが、メーカーでは時間に追われて配線作業をやらざるを得ず、音さえ出れば良いという生産の仕方をしてしまっていたのでしょう。こうなってしまうのも致し方ない事ではあります。本来はもっときちんと時間を掛けて配線すべきなんですけどね。。。

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音が出ないトラブルなので、原因はこの基板周りだろうと、サクっと電装系を分解してみました。

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観察してみてすぐに原因が判りました。日本製プラスティックケース入りのジャックの破損と、ミッドブースター回路のコンデンサの液漏れですね。写真ではちょっと判りにくいんですが・・・電源バイアス部分のデカップリング用電解コンデンサの破損によりICも巻き添えを食ってお亡くなりになってました。

因みに電解コンデンサにも耐用年数と言うのが決まっていまして、使い方(回路設計の仕方や使用時間)にも拠るのですが、いつかは駄目になります。今回の例は特殊とは言えないまでも、十分起こり得るトラブルの一つです。(入れっぱなしで忘れてたエフェクターの電池が液漏れしたりするのと同じですね)

この辺の部品をさくっと交換して回路の修理自体は終了です。
ジャックはスイッチクラフト、回路上の電解コンデンサは全てニチコン社製で定数の変更無し。

ICに関してはオリジナルで付いていたTL系がどうにも寝ぼけた音だったのでJRC4558DDに交換しました。

私の耳はどうもFET入力のOPアンプが好きではない様です。この変更に関する辺りはオーナー様と相談の上決定しました。この辺のデュアル(ニ回路入り)OPアンプですと、大抵なんでも使えるので、修理するのは非常に楽です。

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因みに、OPアンプと言う部品はこんな8ピンの物が楽器では良く使われています。

安価な¥80位の物から¥2000を越える高い物まで多種多様にありますが、ご自分で色々取り寄せて交換して音を聞き比べてみるのも面白いと思いますよ。内部回路がシングルかデュアルかを間違えたり、逆刺しをしない限り、大抵音が出ます。
(入力インピーダンスの仕様の問題で使えない物もありますが)
PU交換より手軽に且つ、遥かに良い効果が出る事もあったり、もちろん逆の例もあります。

これは余談ですが、「音楽」と「回路設計」を上手く結びつける事が出来る技術者の方は、あまりICを使いたがりません(様々な理由が有りますがここでは割愛します)。
私もその事にやっと気が付き始めて、トランジスタの勉強をやり直し始めています。。まだまだ学ぶべき事は多い。。。道は長い。。。。

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せっかく部品を全部外したので、今回はノイズシールディング加工も同時に行います。キャビティーに導電性塗料を塗り、それを配線でアースに落としてあげる訳ですね。

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そんな導電性塗料の乾燥を待っている間にブリッジの掃除と調整を行います。、これジャクソンオリジナルデザインのブリッジで、構造自体はフロイドローズを踏襲していますが、調整機構はフロイドローズより遥かに優れていると思います。まあ今や新品ではもう手に入りませんけれど。

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このファインチューナーが後ろに有るタイプはフェルナンデス社からも出てましたね。これらの機構は名アイデアだと思います。

個人的に、この手の物で今いくつか良いアイデアがあるんですが、私個人では金物を開発する術を持っていないんですよね。。。いつか世に出したいとは思うのですが。。。

導電性塗料が乾いた所を見計らって、組み込み始めます。
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PUはジャクソン社製オリジナルですね。
EMGライクなルックスなので好みが分かれる所では有りますが、メタルギターの枠で終わる音ではなく、非常にフレキシブルでレンジが広くて物凄く私は好きです。メサブギーにインプットすると、もうその時点で「有難う御座います!」と言いたくなる程80'sな音でした。

そんな訳で後に私個人的に手に入れましたが、特にシングルコイルの音が私のお気に入りだったりします。

色々ジャクソン関係の資料やネット上の情報を調べると、このPUの開発におけるバックボーンは物凄く味わい深い物が有りまして、しっかりした理屈に沿って作られていたそうですね。

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次に、回路を組み込みます。前回とは違い、綺麗に配線をやり直せば見違える様になりますね。

もう一つ欲を言えば、トラブル防止の為にゴトー製電池ボックスの増設もしたい所なのですが、それらは予算の都合で見送る事となりました。

.
ここから先、作業工程が前後してますが、フレットの擦り合わせとファイリング(形状を整える)も同時に行ってあります。(実作業では電気関係より擦り合せの方を先に行っています)

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画像ではちょっと指紋が付いてしまって汚いですが、フレットの頂点も綺麗に整えてあります。

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ナットの溝が痛んでいた上、変なビビリも出ていたので、溝調整の後、外形を削り直してみました。(施工後の写真を撮り忘れてますが)

そんな感じで総調整を行って・・・・
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完成です!
写真では到着時と違いが判らん(笑)でも良いんです。オーナー様にご満足頂けましたので!
オーナー様のレビューを要約いたしますと、
「弾き易くなった上にポテンシャルが引き出された感じがする!」と喜んで頂けました。

因みに音の方は、文句無しにジャクソン!80's!ドンシャリ!と言った様なイメージを裏切らない音でした。他のどこにも無い音と言うんですかね。やはり時代の音を作ってきたブランドの力をまざまざと感じた。。そんな一本でした。ただ、現在のギター業界の流れや、私個人としては、「ここをもうちょっと、こうしてあーして設計した方が良いのになー」って言う部分は有るんですけれどね。

後、80’sと書きましたが、今のHR・HMシーンに十分通用するトーンを持っている事だけは追記しておきます。

埼玉県在住のT様、本当にご依頼有難う御座いました。同時にSuper Wide-Range Cableもご購入頂き、この時のT様の評価を頂いた事がきっかけになって、SWRCの一般販売を開始する決断をしました。そんなチャンスを下さったT様には本当に感謝しております。

また何か有りましたら、些細な事でもご連絡頂ければ幸いで御座います。

本日はここまで!

関連記事
Super Wide-Range Cable
http://i-r-p.net/cable/
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2007年10月07日

もう少し、あと少し

 放置っプリが板に付いてしまった感が有る秋の夜長ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか?
 
 寝て起きたら1週間〜2週間が過ぎている気がする・・・などと言う異様な時間感覚ですが、このままでは本当に良くない・・と思ってはいるのですが。。

 さて、話は少し前に遡り、秋の始まり頃になりますが、愛用しているデジカメの露出モードが故障しまして、画像が撮れない状況(異常な露出アンダー状態)になっております。早い段階で修理に出して復活させたいのですが、諸事情で某社の修理対応窓口が近所に無い為先送りになってしまっています。。。。

 そんな訳で、暫く色んな報告用のファイルは携帯電話のデジカメで撮ったあまり良くない写真がメインになってしまいますが、宜しくお願い致します。。。

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 次に諸般の事情により、現在作業スケジュールの方がかなり遅れておりまして(私のスケジューリングが甘かった事に端を発しております)、お客様皆様に大変ご迷惑をお掛けしております事をお詫び申し上げます。現在、順次作業の方進めておりますので、今しばらくお待ち下さいます様お願い申し上げる次第で御座います。

宜しくお願い致します。

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最近、木工用接着剤に関して、ちょいとばかり研究する機会に恵まれまして、高校時代からの友人Y下君(職業が某病院の検査技師。この男についてはまたいつか書く事が有るかもしれません)から紹介して頂いた、某成分(化学)分析研究所様とやり取りをしておりました。

 木工用接着剤って「昔ながらの膠」など以外、小規模な修理屋では、コストの面から修理内容に応じた専用接着剤などを開発する訳にも行きませんので、所謂市販品を使うしかありません。いわば「盲目的に接着剤の性能を信じるしか無い」のが実情なんですね。
 そう言う・・接着剤に関する話で、私が昔勤務していた楽器メーカーで少し接着技法を含めて研究させて頂いていた事があるのですが、結果的には、コストや一本に掛けられる時間のバランスを見て、「ある市販品」を使う事と、「ある使い方をする」と言う事で決着が付き、結果も良好だったので色んな楽器の修理にそれらのノウハウを使っておりました。

 所が、過去に私が修理した楽器で、修理部位(接着部分)が今まで経験した事が無い破損の仕方をした楽器が先日再度入庫してまいりまして、正直かなり凹みながら、各部を観察していました。
 
 これ・・・接着剤の層が変質してたとしたら。。肉眼で目視だけではもはやどうしようもない。と思い立ち、先述の某成分(化学)分析研究所様に新品の接着剤と、破損した部位の接着剤を持ち込み、検査を依頼したと言う訳です。

 先週、その結果が上がってきまして、検査結果を元にこちらで分析してみた所、とても驚くべき・興味深い現象が接着層で起きていると言う事が判明した訳であります。
 詳細に関しては現時点でここには書けませんが、楽器修理の現場では比較的良く使われる接着剤だった為、分析結果の衝撃はかなり大きいと言わざるをえません。
 
 通常接着作業と言うのは、接着面同士の密着加工精度が最も求められ、、そこに真っ当な接着剤を使ってクランプなど適切な接着作業を行えば、恒常的に接着剤の規定強度が出ると言う・・ある種盲目的な経験則が崩れ去る瞬間という・・非常に貴重な経験をしました・・・

 それらから得た経験を前向きに生かしていく為に、色々思案・実験中なのですが、もう少し、あと少しで色んな頭の中に散らばったノウハウが連鎖して繋がりそうなんです。

そんな、なにやらモヤモヤとした頭の中で何かが変わろうとしています・・

と言った様な所で本日はここまで



posted by IRP Products at 20:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 楽器リペア関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年03月16日

リッケンバッカー4001のコピー品の改修完結編

 少し前のエントリーの後、紆余曲折があってインド廃人のY君からメールを頂きました。どうやらちゃんと生きて日本に帰国している様です!(真っ当かどうかは別問題ですが笑)このタイミングでの連絡は奇跡に近い!こう言う事もあるんですねー。
 
 さて、リッケンバッカー4001モドキの改修編の完結編の記事を行きましょうか。

前回の記事はこちら


前回は電気系の修正まで終わってますね。

次はフレットの増設行きましょうか。
くりふリッケンもどきフレット増設前.jpg
(サムネイルをクリックして下さい画像が拡大します)

 こういった、古い世代の楽器(コピー品も含む)の場合は、ある種の音楽を演奏する場合、20フレットだと足りない事も多々有りますので、フレット増設は割と良く依頼される作業の一つでしょうか。
 
 さてその内容に入りますが、フレット増設は状況に応じて様々な方法が有りまして、ネック材を継ぎ足さなければならない場合が多いのですが、今回は予算・指板エンドが長い事など様々な状況を勘案し、指板材を継ぎ足さずにフレットを打つ事にします。
 そこでまあフレット溝を掘らなければならない訳ですが、セルバインディング付きのネックで最小限の作業で済ませる場合、フレット溝切りノコなどでは単純には溝が掘れませんので、ちょいとした治具を作って彫り込んで行きます。

 その方法は今回は載せませんが
くりふリッケンもどきフレット増設溝追加.jpg
こんな風に掘り込みます。因みに溝の底も指板Rにも合わせた上、溝の深さはフレットの足と同じにして有ります。

 それからフレットを打つ訳ですが、これセルバインディング仕様の楽器独特な加工をフレットに施してから打ち込みます。
くりふリッケンもどき増設用フレット.jpg
こんな感じで2段式と言った様な感じに仕上げておきます。

 それから、フレットを打ち込んだ後の写真が撮り忘れたのか無くしたのかで無いんですよね。。。。とまあ、そんな感じなんですが打ち込んでおきます。

 で、詳しい写真を撮り忘れてすっ飛ばしてますが、フレット擦り合わせも行います。
くりふリッケンもどきフレット擦り合わせ.jpg
一応フレット増えてるのわかります?
これは余談なんですが、今回から工具を新調して、ちょっと新しい方法での擦り合わせを行っています。以前まで使っていたガラス板も良かったのですが、ちょいと考え方が変わってきましたので・・・・そんな訳でやり方等々すっ飛ばします。
 しかし・・このネックはフレットのレベリングがかなり乱れていたので、どんストレートにするだけでも結構大変でした・・・

くりふリッケンもどきフレット増設後.jpg
 完成後の写真になりますが、フレット増設部分はこんな感じで仕上がってます。違和感は殆ど無いでしょう?(笑)

フレットの擦り合わせが終わったら、次はナット交換ですね。
くりふリッケンもどきナット交換前.jpg
プラ製の整形品ナットな上、底上げしてある。。。。。良くある話なんですが、これはちょいと宜しく無いですのでスカッと交換します。
くりふリッケンもどきナット交換後.jpg
 これも過去何度も記事にして来て居ますので書く事ってそれ程無いんですが、溝の形状なんかは、かなーり考えながらキメてあげる必要が有ります。
 ペーパーとコンパウンドでピカピカに磨き出しても終了。今回もオイル含浸牛コツを使っています。

 ああそうだ、電池ボックススペース掘った事とか書くの忘れていたのでちょっとだけ紹介します。
今回、電池を内蔵するにあたって、いつも使っているゴトー社製の電池ボックスはボディー厚が足りずに使えないと言う事なので、裏蓋作ってはめ込む形になります。
くりふリッケンもどき電池ボックス加工.jpg
加工風景とか撮り忘れてますが、こんな感じで収まる様に作ってみました。最初は白い蓋だったんですが、乗っけて見たら、あまりにダサかったので黒に変更しました(笑)

くりふリッケンもどきノイズ対策.jpg
 後はノイズ対策用のドータイトを塗り込み・・ばらばらのパーツを組み込んでいくわけです。ペグの交換もここで行います。

 この後は、言葉に出来ないような。。。なんと言うか・・・色んな部分を調整・・・・弦振動を受け止めて、更に一方向に抜けていく様な・・と言う方向性を持って調整していきます。と言っても、この時点ではPUを交換する予算が無く、後回しの予定なのでそのあたりは色んな意味で余裕を持たせて有ります。

ってな訳で
くりふリッケンもどき完成.jpg
完成!

 ロッドカバーはロゴの入れ替えの為、本職がCG描きの知人にお願いしましたので、コレもまたこの時点では後回しです。(Kさん荷物の方遅れてしまって申し訳ないです。ちょいとした検証の為に一回荷物を解いてしまいました・・・後ちょっとでお送りします)

内臓プリアンプは思いのほか威力が有る様で、この方ともう一人のベーシストの方に使って頂いてますが、物凄い好評で御座います。

納品後、ご本人さんが撮った映像をYOUTUBEに投げたとの事でここにも張っておきましょう(笑)
 クリフバートンのソロで、Pulling Teeth(抜歯)って言うタイトルなんですが、個人的に親知らずで苦しんでるのでタイムリーな曲ですが・・・・
 因みに初期メタリカ(クリフバートン)のコピーには必須のモーリーのベースワウもご購入されたとの事でかなり良い感じで楽しんでいらっしゃるようです(笑) このモーリー社のパワーワウブーストに関してですが、くりふさん曰く「コレを作った奴は頭がどうかしてる。最高!」だそうです。


メガデスのコピーも上がっていたので貼っておきます。

 数点予算の範疇で触れなかった部分以外は気に入って頂けたようで安心しました。ってな訳で、リッケンバッカー4001のコピー品の改修編終了!

くりふさん、ご依頼有難う御座いました。今後ともよろしくお願い致します!

本日はここまで。
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2007年03月03日

ブルガリアからの使者

 いや、ヨーグルトじゃないですよ。

 エフェクターの試作の後、量産製品を作るのにブルガリアの基板製作会社に基板を注文してたんですよね。

 で、今日やっと届いた訳ですが、海外からの荷物ってのは届くたびにドキドキします。
 と言うのも、むかーし海外製楽器の検品の仕事を手伝っていた時に、箱を開けると大量の見た事も無いような蜘蛛が出てきた事件とか、混載で送られてきた物に絶対有ってはいけない物が入っていた事件とか、まあ色々・・・・
 
 そんなトラウマにも似た体験から、初めて取引する海外の業者さんの荷物は、届くと開けるのに勇気が要ります・・・

・・
・・・
・・・・
が、今回はどうやらそんなネタは引き当てずに済んだ様です(笑)

 とりあえず到着時の詳細と写真は割愛しますが、輸送時に手荒に扱われた形跡も無く、何よりも基板が安くて品質も問題ない!という非常に良い感じの出来なので、今後基板を大量に作る時はブルガリア方面に注文に出す事にします。
(ミッドブースターなどの少量生産物は相変わらず手作りですけど。。)

早速組み込んでテストしてみました。
ブルガリア方面基板テスト.jpg
今回は大きい写真だとアレなので小さ目に。
実物は結構良い出来ですね。

 もうちょっと詳しく観察して行く必要も有りそうですが。

 色々やっていたらこんな時間になってしまったので今日の所はこの辺で。。。。

本日はここまで!
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2007年03月01日

リッケンバッカー4001のコピー品の改修その1

 昨日の記事の最後に予告した通り今日こそは楽器の記事をアップしましょう・・思えばこれが今年初の楽器本体の記事ですね。もう3月だってのに、ビックリする位時間が過ぎるのが早いもんです。
 
 さて今回の記事は表題通り、リッケンバッカー4001のコピー品の改修になりまして、依頼主は大阪弁天町在住地獄のメタル指圧師のHNくりふさんからの依頼です。
(因みに打ち合わせでお会いした際、この方の指圧術を一回施術して頂きましたが、かなーり効きました。あまりのフィンガーテクに気絶するかと思った程です・・・・大阪〜弁天町近辺にお住まいで全身の凝りにお悩みの方は是非一度いかれては如何でしょうか)

 で、このくりふさん、HNが示す通り、極度のメタリカ(クリフバートン)ファンで、どうしてもリッケン4001が欲しかったそうですが、諸々の都合からコピーモデルを買う事になり、その改修を私が仰せつかったと言う訳です。

因みにクリフバートンといえば




クリフバートン伝説のメタルマスター
こんな人なんですが、私もかなり大好きなベーシストだったりします。

くりふリッケンもどき到着時1.jpg
(サムネイルをクリックして下さい画像が拡大します)
 元は一応某社としておきますが、リッケン4001のコピー品で依頼主と私の間では、愛を込めて「リッケンもどき」などと呼びながら作業を進めることとなりました。

くりふリッケンもどき到着時2.jpg
 細部を見ると本家リッケンとはちょっとづつ形状等々違うのですが、発売された時期を考えると、割りと見た目は良く出来ているんじゃ無いでしょうかね。

今回のメニューは
@フレットの擦り合わせ
Aベース用プリアンプ内臓
Bフレット増設
Cノイズシールディング
Dペグ交換
Eナット交換
F総調整(予算の範囲内で)

という訳で、ほぼレストアフルメニュー+αと言った内容ですね。

 ベース用内臓プリアンプなんですが、くりふさんから何らかの形で入れたいなーと言うお話が出た流れで、今回は同時期に平行してご依頼を頂いていた某プロベーシストさんとの兼ね合いも考慮しつつ仕様を決定していきました。で、まあ幾つか作らせて頂いていた試作品の一つを流用する事に。

くりふプリアンプ試作1.jpg
 そんな流れでこんな様な物が出来ました。
 
 これはカレントミラー回路を利用し、更に固定EQの要素を噛ましたプリアンプになりまして(詳細は秘密です)、ゲインを可変可能にして有ります。フルブースト時には音は凄くメタル向きになりました。。。ブーストゼロ時は音の立ち上がりが無茶苦茶早いですよ。(レコーディング投入試験済みです)
 うん。これ・・・かなりいい感じなので、近いうちにプリント基板ヴァージョンも作ってみようかと思っております。又、この回路を頭にして3バンドEQと送り出しバッファを付ければ割りと使い勝手の良い楽器内蔵型プリアンプになるかな・・と。

(3/3日追記 この回路は何処かのメーカーやムック等のコピーではありません。既存の回路技術の応用ですので、100%のオリジナルとは言えませんが、まあ概ねオリジナルです。従いまして回路図は一応非公開とさせて頂いています。メールを下さった方、本当にごめんなさい)

くりふリッケンもどき電装系施工前.jpg
元はこんな感じですね。良く有る廉価版の電気パーツです。

 部品の取り付け自体は大して難しいものでは無いのでサクッと済ませます。(やっぱり回路の固定はこの方式に限るな・・・)
くりふリッケンもどき電装系交換後.jpg
 新しく仕入れた高周波シールド用アルミシート(この面積に貼ったらかなり高価なんですが)を貼ってみた所、、シート材がかなり薄い為か・・・粘着面が縮んだ様で皺になりました・・・なにか張り方や別の材料を考えないとダメですね・・この状態で音を出した所、従来のアルミシートを使ったシールディングより高域の出方は良いんですけど。。。
 
と言った様な所で本日はここまで!このシリーズはたぶん次で終わります。

完結編はこちら


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以下私信

 最近突詰めて現場投入していたエフェクター開発業務がクライアント側の都合により(開発スキルの不釣合いによる行き違い+感情の面で問題のある方とこれ以上仕事を続行するのが不可能と当方で判断したのも有りますが)中断致しました。その余波で起きた某現場のエフェクト急遽入れ替え事件の顛末はこんな所の話で・・・現場の皆様、大変ご迷惑をお掛けしました。
 その後一定の解決を計った上、方向転換をする事となりました。(その反面とても良い出会いを得ることも出来ました)

 この件に関して多大なるご尽力頂きましたD様・A様・O様、大変ご迷惑をお掛けいたしました。この件に関しまして順次ご連絡差し上げますので宜しくお願い致します。
posted by IRP Products at 21:59| Comment(2) | TrackBack(1) | 楽器リペア関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年02月24日

シグナルスプリットボックス

今月も全然更新できなかったなあ・・もう2月も終わりですか・・・

 前回記事を書いた時に、「あーちょっとは手が空くからBLOG更新出来るなー」などと考えていたのもつかの間で、気が付いたら時間がどんどん過ぎていっているわけですが。

 さて、なんだかんだ有りましてSuper Wide-Range Cableの方が好調で、かなりいろんな方からの引き合いを頂いております。良い勢いで販売数が伸びておりまして、個人的にもビックリしておりますが、近いうちに特集ページを作ろうと思って居りますのでご期待下さい。

 そんな中、ケーブル繋がりの別件になりますが、某筋では非常に著名(+熱狂的なファンの方が多くいらっしゃる)な作曲家さんが個人スタジオの電源ケーブルを探しているとの事で、色々お話を聞かせて頂く機会が有りました。予算バランスなども考慮した上で近々試作品を作ろうかと考えておりますので、これもまた記事にする事になりそうです。

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 ここ最近ずっと、いろいろな意味で掛かり切りになっていた、ベース用信号分岐ボックス(シグナルスプリットボックスとでも書いた方がカッコ良いかな)の記事に行きましょうか。と言ってもこの手の物は製作記事が有りませんので軽くご紹介だけ・・・

 そう・・あれは1月の中頃ですかね。若手ベーシスト・えんどぅ君こと、遠藤剛永さんから、「チューナー用に信号の分岐ボックスを作って欲しい!」と言う依頼がありまして、「お安い御用ですよ〜」とお請けした事に始まります。

その要望された条件として 、

@ウッドベースでチューニングメーターを頻繁に見ながら弾くので、アンプへの出力とチューナーが同時に出力出来る様に!譜面台までチューナーを引き回す事も考慮する。

Aチューナーからアンプ出力への干渉が無い事。ここは重要ポイント

Bアンプへの出力がミュート出来る事。(常にチューナーだけは使える様に)


(一つ一つの条件にちゃんと理由が有ります。事情により割愛しますが)と言った様な所が要望で出されまして、全てを満たす物を作って見ました。

遠藤君分岐ペダル.jpg
(サムネイルをクリックして下さい。画像が拡大します)

 これ、中身は結構苦労したんですよね・・・中の構造の紹介は又今度・・・・と言う事で今の所はご勘弁を。最初は完全パッシブの物を作ろうとしていたんですが、色んな話の流れで最終的に新規に回路を設計してのアクティブパラボックスとなりました。

 因みに今回のラベルのデザインは分解せずに剥がす事が出来る様に、スイッチ部分を切り欠く様にして見ました。これだったら後でいつでも好きなステッカーなどに張り替えることも出来ますね。

 とりあえず納品も済んだので、今の所評価待ちと言った所ですが使い勝手がよければ今後ライブでもお目見えするかも知れません。

ってな訳で、駆け足的な記事になりましたが、本日はここまで!

今回ご依頼を頂きました、遠藤剛永さんのBLOGはこちら
「どぅログ」http://aloe.h-g-l.jp/
ご依頼有難う御座いました。又何か有りましたら宜しくお願い致します!

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因みにこの記事を書いている時に知人が教えてくれた詳細不明のド変態ユニットの動画を貼っておきましょうか(笑)


後、ついでにメタリカをチェロ3本で弾くApocalypticaも貼っておきましょう。
posted by IRP Products at 21:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 楽器リペア関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年12月27日

シミュレーション通りに実機が動かない事件とアコギPUのレストア

 昨日、やっと修理品の大部分を納入が終わり一段落付きました。(お待たせしてしまった客様へ。大変ご迷惑をお掛けいたしました)
 それでまあ要は暇になった訳なんですが、この機に開発関連の仕事のシミュレーションを詰めてしまいたいと思い、夜中まで作業しておりました。

 それでPC上でシミュレーションを詰めて行き、中々具合が宜しい感じになった所で、いつもの様にブレッドボード(回路実験用基板)にパーツを拡げて音出しチェックをしてみた所・・・・・
ブレッドボード・トラブル.jpg
正しく動きません・・・・組み込みを間違えたかなーなどとあちこち弄って見ても動きまん。。。たったトランジスタ3石の回路で何で動かんのだ!など逆切れ気味に呟きながら、小一時間ほど弄っているうちに原因がわかりました。

ブレッドボードの故障(笑)

アースラインがちゃんと接続接続出来なくなっていました・・・

 あー実験用機材だからこそ!まめにチェックしなきゃダメですね〜。
 
 とにかく原因がわかってすっきりしました。判らないとホントに寝覚めが悪いですからね。

 とは言え、実際に音を出してみたら全然良くないので、もう一度回路のブロック図の構成からやり直し!と言うオチが付いた所なんですが。

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次に表題のPUのレストアについてですが、これは記事にするかどうか少し迷ったのですが、かるーくだけご紹介する事にします。

 もう随分前ですが、東京の前衛芸術関連の会社にお勤めの坂詰様から、仕事で使うPUを購入した後、
「PUのノイズが酷い」
「ケーブルもなんか変な感じがする」
「何か打てる手は有りませんか?」

的なご連絡を頂きまして、打ち合わせの後にPUをお預かりして原因を調べてみる事になりました。

坂詰様フィッシュマン現状.jpg
 うーむ。改造品か。と。フィッシュマン社のNEO-Dなんですが。
 
 これを見て、「何が行われているのか」判る方もいらっしゃるでしょうから、あまり言及しないでおきます。
 
 ただ一言、お預かりして、音をチェックしてみたらやっぱりノイズが多いなーと。

 まあ・・でもうーん・・・
 
 この改造自体が(以下略)・・・・書く事を躊躇ってしまうのはなぜでしょうか・・・

 と言った様な所で、ちゃんとPUからのケーブルを綺麗に修正〜配線しなおして1/4メスフォンプラグを取り付けて完成です。(もう途中全部すっ飛ばします)
坂詰様フィッシュマン修正後.jpg
 ちょっとした秘密のノイズ対策を施して完成です。外側の網アースは再利用しました。

 これでかなりPUに由来するノイズは減りました。それに合わせてケーブルも製作したのですが、こちらは写真をなくしてしまいましたが・・・

 さて、このPUのオーナー様である坂詰様はオフィス友恵と言う会社にお勤めで、その会社での舞台音響担当者様なのだそうです。又HP内でBLOGを運営していらっしゃいまして、そちらで当BLOGをご紹介頂きました。
アートウイッシュ音作りBLOG

 因みに、私は舞台芸術関連の事にはあまり明るくないのですが、今回ご依頼頂きましたオフィス友恵様は、その世界では有名なグループなのだそうです。所謂舞踏に興味がある方は是非上記HPやtomoe.comをご覧になっては如何でしょうか。

 そんな所で、オフィス友恵・坂詰様ご依頼有難う御座いました!又何か有りましたら宜しくお願いいたします。

本日はここまで。
posted by IRP Products at 16:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 楽器リペア関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年12月17日

日が開いてますが・・

楽器関連の記事を書くって言って又日が開いてしまいました。
 
 現在開発関連の案件を手がけていると言うのを前の記事辺りで少しだけ書いた事がありますが、それに関して色々シミュレーション中でして、神経がかなり尖った状態になってます。
コンデンサチェック用波形.GIF
(サムネイルをクリックして下さい。画像が拡大します)
まだやってる最中なのでなんとも形容し難い波形ですが、パーツ数の少ない物で思ったような波形に仕上げるのは中々頭が痺れます・・・

 さて、次に作曲家のF氏から、キーボードの外部入力モジュールを誤って壊したから助けて〜という至急SOSの連絡が来まして、モジュールを預かってみますと、基板部のサスティンペダルの入力ジャックが変形してます。
F様モジュール修理前.jpg
 F様が無理に修理を試みたそうで、かなり痛んでしまってます。
 本当はスパッと部品交換!したい所なんですが、あちこち探しても中々同型や似た様な物も見つからず(ケースや基板パターンの関係で無茶な改造が出来ないんですね)、仕方が無いので隣の使わない機能のジャックと入れ替え交換してしまう事にしました。しかし基板取り付け型ジャックには泣かされる事が多いですねー、ほんと。
 写真は有りませんが、無事修理は完成してF様へお返ししました。

で、その時、なぜか某社のウクレレキットを頂きまして、(F様も何かのパーティーのビンゴゲームで貰ったそうです)
ウクレレキット1.jpg
色々見てたんですが、数千円の物でボディーが既に箱になってるんですが、ボディーがかなり歪んでまして、ネックが真っ直ぐ付かないっていう(笑)
 まあこう言うものはネタとして面白いですから、その辺を突っ込みながら作る位の感じで、ちょいと実験がてら時間を見て作って見ましょうか。

 しかしネックが真っ直ぐ付かないとか、ジョイントが何の工夫も無いベタ張り仕様だとか、子供の夏休みの工作だったら辛いんじゃないですかね〜。子供が作った場合、弦張ったらジョイントからぽっきり行きそうですし(笑)

ウクレレヘッド加工.jpg
ってな訳で、開発仕事の息抜きにヘッドを整形して遊んでみました。
オリジナルデザインの楽器のヘッド用に随分前から暖めてたデザインなんですけど、ウクレレに使ったらどうかな?とか思いまして(笑)

そんな所で本日はここまで!

因みに、この間のリニューアルついでにBBSを撤去しました。
一応過去ログ化して有りますので、こちらからどうぞ。
posted by IRP Products at 23:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 楽器リペア関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年11月21日

電気系2件纏めて

さて、軽い電気関連の案件を2件纏めて紹介しましょうか。

まず一軒目
 千葉県I様からご依頼を頂きましたフェルナンデス布袋モデルのPU交換作業です。
I様布袋モデル到着時.jpg
(サムネイルをクリックして下さい画像が拡大します)
 格子模様HOTEIモデルと言えば、ミュージシャンモデルとしては最も有名な部類ですね。この特徴的なペイントってロンドンの地下鉄かどっかの格子模様がモチーフらしいですが・・・

 さてこのギター、I様が中古でご購入なさったのですが、中古特有のアレな状態でして、PU交換作業でこちらに預けて頂いた時には既にかなりネックの状態が悪く、また一部不適切な修理痕が有り、長期的に見ると、結構不安な要素がありました。それらを一応I様にお伝えし、こちらで全て治す場合の見積もりを算出した上で協議の結果、I様の予算的な問題で、こちらでPU交換だけを行い、大本の一番ヤバイ部分は「中古販売の保証」で販売店様が契約している修理工房に回される事になりました。

 で、今回交換するPUと言うのがFGIテクノロジーのフロント・リアのセットからリアのみEMGに交換します。
 EMGは他のPUとの組み合わせるのが難しく、色んな都合からあんまり片方だけ交換と言うのは個人的にはお薦めしかねるのですが、どうしても2個纏めてのPU購入費用の問題から、今回は一個だけの交換になりました。

I様布袋モデルPU交換前.jpg
新品のEMG-SAです。評価は分かれますが、歴史のあるPUですね。

I様布袋モデルPU交換後.jpg
サクッと交換してみました。
 他にもジャック周りの修理等、色々やったんですが、これでこの作業で記事に載せられる所はここまでですね。

 これ以降は色々な案件が絡むのでストップです。

千葉県のI様ご依頼ありがとう御座いました。
また何か有りましたら宜しくお願いいたします。

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次にワウの修理に行きましょうか。

 最近DIYでワウの配線交換とか、トゥルーバイパス(この表現は個人的に好きでは無いんですが)化等の改造が流行ってますが、ちゃんとした手順を踏んで、ちゃんとした配線を心がけないと、音が出なくなったりします。

 で、今回はそう言ったDIYで改造に臨んで、エフェクトのオン・オフスイッチを切り替えても全く音が出なくなったと言うご相談を奈良県のY様から頂きましてお預かりしました。

奈良Y様WAH修理前.jpg
 開けてみますと、スイッチは某社6PINの物、配線材がなんだか良く判らない古そうな物に交換されてます。

 各部凝視しながら回路を追っていくと配線が一部間違ってました。とは言ってもこれだったらエフェクト側の音は出る筈なんだけどな〜などと思いながらテスターでチェックしていくと・・・一部配線に導通が有りませんでした(笑)単に配線の断線と配線の仕方のミスだったんですね。

で、現象さえ判れば後は配線をやり直すだけです。

Y様WAH空筐体.jpg
 筐体内部もかなり汚れてたんでこの際に掃除のつもりで空にしてしまいました。

Y様WAH配線材.jpg
 このいかにも古そうな配線材は一本だけ交換するのに不安が有りましたので、全交換します。(因みにこの配線材どこから持ってきたんですか?って聞いた所、ここには書けませんが、とんでもない機械から持ってきたそうです・・・・)元の品質は多分世界最高峰だとは思うんですが、皮膜の中でボロボロに腐食してボキボキに折れてます。
 こういった配線材を使って配線する場合は、テスターで導通を調べてから使った方が良いですねー。後でトラブル探しする手間も減りますし。

 今度こそ断線して無いちゃんとした配線材(因みに高価)を使って配線し直します。
Y様WAH完成.jpg
 因みに今回はY様との話し合いにより、インプットバッファは撤去はしない事になりました。(もちろんエフェクトオフ時には通らない様な手を基板に細工して打って有ります)

ってな所で結果的には配線材の交換だけの作業でしたが完成ですね。

 昨今ヴィンテージ配線材がもてはやされてたりしますが、ちゃんと施工しないと、余計なトラブル(ノイズや今回の断線等)を呼び込んだりする事も多いのでは無いでしょうかね。
 これらの配線材って気軽に交換は出来ますが、かなり気を使って施工して初めて能力を発揮すると言っても過言じゃないでしょうね。

 奈良県のY様ご依頼ありがとう御座いました。また宜しくお願いします。

 と言ったような所で軽い電気関連の記事を2本纏めてみました。

本日はここまで!
posted by IRP Products at 00:41| Comment(8) | TrackBack(0) | 楽器リペア関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする