2014年07月10日

ギブソンカスタムショップレスポールのPU交換作業や色々

今回は大阪府のT様からのご依頼でギブソンカスタムショップ製レスポールのPU交換作業を行いました。

お預かりしたレスポールはどんな物かと言うと、、
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本当に凄い杢の入ったメイプルトップですね。真っ当に行って販売価格は幾らの楽器だったんでしょうか。
良質な木材が使われている所謂プレミアムグレードな個体でした。

今回の依頼PU前後交換とヴォリュームポットの交換です。
そこに至るまでの経緯は次の通り。

レスポールのスタンダードなコントロール回路には500KΩのVOPOTが使用されていますが、この使用部材である所のCTSのポットは、ノブ的にはVOゼロの際でも、内部の残留抵抗(数Ω〜50Ω程度)が大きく残っていて、音量がゼロにならない事が有ります。

特にこれが問題として表れる顕著な例が、レスポールのスタンダード回路で、PUセレクターをハーフトーンポジションで片方のVOを絞って有る場合のみ音が漏れると言う症状です。

これは単純に2系統ある内、ゼロのVOPOTに残留抵抗が有る為で、ハーフトーンの際、もう1系統のVOPOTの抵抗が合成抵抗として加算されてしまい、信号ラインから見た回路上、信号が残留抵抗分アースから浮いてしまう為に起こる現象です。
気になる方は合成抵抗の計算等をしてみて下さい。残留抵抗が50Ωもあると結構な合成抵抗値が出ます。。

又、プレーヤーの方で音漏れが気になる方はぜひ交換を!

これらを回避する為には残留抵抗が無いVOPOTを使用するか、配線を改造するしか手は有りません。
今回はあくまでレスポールの基本回路を再現すると言う要望でしたので、当然選択肢としては前者を選択する事になります。
そもギブソンが最初からちゃんと選別したVOPOTを使っていればこんなことにはならない訳で。。。

まあそんなこんなで手配したロングシャフトのVOPOTなのですが、やはり同じくCTS製を選択しました。
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なんだかんだ言っても耐久性は非常に高い事と、残留抵抗さえなければ間違いのない電気部材ですのでね。
私は過去の経験からあまり好きではないのですが、エレキ業界と言えばコレと言うぐらいスタンダードな物なのでどうしても外す訳にはいきません。

次はPUに特殊な加工を施します。
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今回載せ替えるのはコレ。今やダンカンのスタンダードですね。

これを有る特殊な作業をし、調整してから楽器にマウントします。
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こんな感じですね。電気分解だとか、イオンだとか何だとか書き始めるとキリが無いので、何やってるかは企業秘密と言う事で。

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で色々各部調整やらエイジド加工やらを行って。。PUは完成。

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楽器側はシールディング加工を施し、回路配線もプリビルドしてから仕込みます。

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今回使ったコンデンサは私のお気に入りのオレンジドロップのとある品番のものですし、トーンポットにもバイパス出来るフルトーンをストックの物を加工して仕込みました。これだけでももうぜんぜん別物です。

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次はナット交換をして、、、、

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ブランクの牛骨材から削り出します。これがまた5年物のオイルボーンでとうとう5年物のストックが尽きました。まあ都度都度仕込んでますんで在庫は問題ありませんが。

で交換後のアップ写真が無いのですが、様々な所を調整して、、
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完成です!

完成後、弾いてみましたが無茶苦茶カッコいいレスポール然とした音が出てまして、これならジャズでもサザンロックもハードロックも何ら問題無くイケる感じでした。
面構えも良いですしね。

と言った様な所で本日はここまで。

大阪府T様
ご用命有難うございました。またのご愛顧お待ちしております。
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2014年05月31日

グレコサンダーバードボディー割れ修理と膠(にかわ)の話

今回の記事はグレコのサンダーバードの修理について面白い症状の物だったので記事にして残しておきます。

東京でガレージノイズバンドをやっているO氏より、「メインで使ってるベースのボディーが割れてるかもしんないから、ちょっとメンテナンスがてら見て」ってて言う連絡が入ったのが始まり。

サンダーバードとかファイヤーバードって、材質的にも構造的にも、確かにボディーの接ぎの部分が割れやすいよなー等とはおもうのですが。
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実機を見たらこれこの通り。スタッドとブリッジ、メタルエスカッションとピックアップとで、辛うじて繋がっている状態でした。
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当然外すとバラバラに。

別角度から
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まー見事に割れ(と言うか接ぎの部分の剥がれ)てますね。

取り敢えず養生をして接着準備に入ります。
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これ、木部がダメージによって割れたのではなく、生産当時に使われた接着剤の劣化が原因ではと疑われる症状です。

と言うのも破断面を触ってみると接着剤が全面泡立ったような状態になっており、明らかな接着層の劣化が疑われる状態でした。生産当時に使われた接着剤は匂い等から判断して、恐らく膠系の物が使われており、又、ホルマリンが添加されている物とみられ、その添加量が多すぎた為か、経年変化で接着層が破壊されてしまったと推測できます。

そも、膠(にかわ)とは何か?
動物の臓物や魚の皮など、所謂動物性たんぱく質を煮出して作る、伝統的な接着剤の一つで、5000年前にはすでに使用された例が有る事を示す壁画などの資料が残っているそうで、古くはエジプトの壁画などにも使用されている事で有名です。
またこれらの発展的な製品として身近な物では、、、精製された物が食品用のゼラチンとして使用されている為、一般的なゼリーなどの食品として口に入っている物でも有ります。その他ではオブラートなんかも有名な使用例ですね。

では、膠にホルマリンをなぜ添加するのかと言う話ですが、一般的な膠として売られている三千本等の膠製品は固形物として販売されています。

これを使用の為に水やお湯で溶いた膠溶液はたんぱく質のゲル状に濃度調整をしてから使用するのですが、この材質上、細菌が繁殖しやすい培養基のような物ですので、空気中や溶いた水、そも自己が持っている細菌により、腐敗及び品質及び接着強度が変質しやすいのが特徴となり、これが膠が使いにくいと言われる所以です。これを避ける為に、石炭酸などの殺菌剤、防腐剤等を僅かに膠溶液に添加する事があり、その防腐添加材が楽器業界では「ホルマリン」が良く使用されるという訳です。また、接着作業以降でも、木材が湿気を発したり、接着層が湿気を被って、膠が緩んだ際の腐敗を防ぐ意味もあります。

しかしながらホルマリンは水溶性の添加剤でしか有りませんので、自身には接着力を高める能力はなく、あくまで溶液使用中の接着剤の変質を防ぐ一つの成分でしか有りません。つまり添加しすぎると、薄めた接着剤を使っているのと同じ事になる訳ですね。またホルマリンその物が変質した際に、接着層を破壊してしまうという側面もあるようです。

今回のボディー割れの原因はこう言った事が原因の一つで接着面が緩んだ所に何らかの衝撃が加わり、接着層が剥離してしまったのではないかと推測できます。

楽器の世界は膠が高級で、それ以外は駄目だと仰られる方もいらっしゃいますが、使用用途と使い方次第かなと私は考えておりますが、例えば将来的に修理する必要が生じやすいアコースティック系楽器のネックジョイント/表板/ブリッジ周辺部分は水で溶ける膠を使うべきですし、今回の例では、将来的にも絶対に割れて欲しくない個所の修理ですから、勿論エマルジョン系の接着剤を使用すべきとの結論です。

昔、お世話になった方で、オーストリアのクラシックギターの製作家の方とお話しさせて頂いた事が有るのですが、その方は「接着剤には膠を使うんだけれども、所謂三千本と言った非精製製品ではなく、食品用の精製ゼラチンを使うのだ。また防腐剤にはホルマリンではなく石炭酸を使うし、濃度と鮮度には非常に気を使う」と仰られていました。これが一つの製作家の考え方。

私個人は、基本的に後の修理のし易さと、剥がれて欲しくない部位と音色の兼ね合いを見た上、バランスを取ることが重要であると言う結論の為、この部位には絶対コレという使い方はしない感じです。これも一つの考え方。

また、懇意にさせて頂いているとあるリペアマンの方には、絶対に膠は使わない。と言いきる方もおられます。やっぱりこれも一つの考え方。

それぞれ製作家の考え方は様々ですが、ヴァイオリン属やクラシック/フォークギター属、ウクレレ属といった軽量且つ、各部材を接着で構成する部位の多い物、弦振動を音色に変換する響板が薄い物は、音色の何パーセントかを占めるファクターとして、接着材単体の硬度も寄与していると考えられます。

結果/現象に対し、何をどう自分の考えの主軸に置くかと言ったところでしょうか。

とまあ接着剤の話を長々としても仕方ありませんので実際の接着作業へ。

上記の考えの中から選択肢として、今後もう剥がれて欲しくない部位の修理ですので、今回はフランクリン社から発売されているタイトボンド(エマルジョン系)を使用します。
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楽器修理製作の世界や家具の世界ではお馴染みの接着剤ですね。
これは一般的に日本で有名な白い木工用ボンドに比べて、硬化後の硬度が高く、ソリッドな伝達効率を持つと考えられます。もし両方お持ちの方が居れば、割りばしの表面にでも双方塗ってみて下さい。乾いた後、ガラスコップをその割りばしで叩いてみたら各々音色の違いが良く解ります。良い/悪いではないですが。

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これを接着面を整えてから両面に塗布し、接着します。。。
が、接着中の画像を撮り忘れてしまいました。滅多に見れない様な画でしたが勿体ない話。。

で、
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接着のち割れた部分を、面相筆にて部分着色し、シーラーとラッカークリアを盛り付けて・・・

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表面研磨。

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組み込んだら完成です。

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今回は部分塗装に留まりましたが、破断部分はそれほど違和感なく、よく見たら解る程度にまで修復できました。

こんな所で修理と調整完了です。

で、オーナーのO氏はNOISE A GO GO'Sと言うバンドをやっており、ノイズ&ハードコアパンクなバンドの方です。

O様 ご依頼ありがとうございました。またのご愛顧をお待ちしております。
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2014年01月26日

Epiphone by Gibson TAK MATSUMOTO SIGNATURE DC STANDARD 総メンテ

今回の記事は掲題通りエピフォンのTAK松本モデルのメンテナンスになります。
ご依頼主は私の古い友人でもあり、富山の管楽器工房を経営する高木君からのご依頼でした。
彼は古くからのB'Zファンでして、僕もそれを知ってはいましたが、まさかエピフォンとは言えシグネイチャ−を買うとは。
と言った所で、今回のメニューは以下の通り

1:フレットすり合わせ
2:ナット交換
3:ブリッジ交換
4:テールピース交換
5:PUスイッチ以外全て電装系交換

と言った様な所が今回のメニューです。

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中国青島ファクトリー製ですが、各部見ると中々良い造形をしていると思います。
おっと、うちの社長のカエル子さんが。
因みにカエル社長は作業場でふんぞり返っている、うちの癒しキャラでして、
たまにBLOGに載せてあげよう/若しくはこいつが喋ったら面白いな等と思ったりしてます。
BLOG内でカエル社長を見たで1割引き!とかやっても面白いかもしれませんね。

そんな事はさて置き、各部をチェックしながら部品を一旦全て取り外します。
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今回はフレットのすり合わせですがセットネック物なので、取り回し上、ボディー全体を養生します。

又この作業と並行して、ネックの状態を確認しておきます。
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で今回触って、へぇーと思った事が。
それはこのネック、ダブルアクショントラスロッドが使われておりまして、順反りと逆反りの両方に対応出来るロッドが仕込まれておりました。つまりプアでよく動くネック材でもある程度の動きには追随出来ると言う事。正しく仕込まれてさえいれば、ある種物凄く楽器を長持ちさせる事が出来る可能性を秘めたネックとも言えます。

又、触った感触及び使うレンチの種類から類推すると、、、
http://www.stewmac.com/shop/Truss_rods/Adjustable_truss_rods/Hex_Nut_Hot_Rod_Truss_Rod.html?tab=Pictures
おそらくこのトラスロッドが使われている感じがします。製作家の方ならご存知かと思いますが、このロッドの調整範囲の広さ及び効き方はガチです。かなり強力に反りを修正できますので、ヴィンテージ仕様に拘らず、あくまでストレスフリーな道具としての楽器製作の依頼が有った際、私が製作する楽器はほぼこの種のロッドが採用されています。
欠点も無くはないのですが、、取り敢えずその話はまた別の機会に。

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後はいつも通りの作業です。
今回それ程フレット上面の高さの不揃いが発生していなかった為、フレットを削る分量も割合少なくて済みました。一回これで状態を整えてあげると、消耗するゾーンが温存されてますので長く使えるって事ですね。

次は電装系を見て行きます。
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こんな感じで所謂量産楽器としては至極普通の状態ですが、導電性塗料の塗り斑が有ったり、配線処理等、割と雑然としてますので、その辺も修正整理します。

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導電性塗料を塗り直した後、乾燥待ちの間に並行してサーキットを作っていきます。

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組み込んだらこんな感じですね。
今回はポットはCTS社製の物×3 パッシブトーンには在庫していたオイルコンデンサを使って仕上げ、配線材はここの所私が気に入って使っているとある会社の小容量シールドケーブルを使います。

配線処理を済ませた所で、次はナット交換。
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元は良く有るプラ素材のナットですが、取り付け方が良くないので、ローフレットでの弦高が非常に高く、Fのコードで音程を測ると、最大で音程が7セント程もシャープしてしまう代物でした。これは頂けないので溝切り調整をし直しても良いのですが、これを機会に交換してしまいます。

今回交換に使用するのはグラフテック社製のカーボン系素材のナットです。
この素材、色々広告では面白い事が書いてありますが、その特筆すべき点は素材自体が持っている潤滑性でしょうか。所謂平織り/綾織りのカーボン素材のナット材より柔らかくて加工がしやすく、潤滑性に富んでいる為、摩耗が少ないという利点もあります。その為、チューニングが安定しやすく、音色も上々なので近年は色んな方に好んで使われてます。

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今回は在庫の原材サイズから削り出し、完成させました。

ってな感じで弦を張って調整/検討/調整を行えば完成です。
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今回実は写真が無いのですが、精度があまり宜しくないオリジナルのブリッジ交換と同じくテールピース交換も同時に行っておりまして、結果的には木部とPUとペグ以外は全部私の手が入った状態と言う事になりますね。

弾いてみた感じ、成る程、これはこう言う音がする楽器なのか。と先ず膝を打つ様な音で、
PUがTAKモデルのバーストバッカーと言うのもあるのでしょうが、馴染みのある音色になりました。
レスポールとも少し違ういい感じに低域の抜けた歪みの乗りやすい音ですね。これ個人的には好きな音です。

又ポールピース毎の音量バランスもフロント/リア/全弦で取ってあるので、弾いた感じだとコード感が一発で固まって出てくるような音色に仕上げてます。

言葉で言うと。。。

前に飛ぶフロントPUによるリードトーン
クリーンではぞくぞくする綺麗なハーフトーン
リアではバランス良く歪みを刻める

そんなバランスで組み立ててあります。

高木君、ご依頼ありがとうございました。

彼は冒頭にも書きましたが、富山県で管楽器のリペア工房をやってます。
リペアスタジオ高木
もし管楽器の事でお困りの方がいらっしゃれば是非覗いてみて下さい。
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2013年05月23日

テレキャスターへのミッドブースター搭載

三重県K様より2本目の楽器内蔵型MID BOOSTER搭載加工のご用命を頂戴しました。
こちらワーモス社製の部材を使ってとても丁寧に製作された事が伝わってくる逸品です。

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ケース開けた瞬間に「アンティグアカラーって珍しい!」とひとりで呟く程、珍しいフィニッシュでした。しかもリア1PUって言うのが又大変男らしい仕様でもあります。

今回も私共のオンボードタイプミッドブースターを追加するのですが、フロントPUスペースに電池を納める仕様としました。

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その外形は9Vバッテリーはほぼピッタリが嵌るのですが、深さが当然浅く、そのままでは当然電池は収まりませんので、必要な分だけキャビティーを掘り下げ加工を行います。

作業途中の画像はないのですが、真ん中の画像が既に掘り下げた後ですね。キャビティーの壁面を利用してそのまま綺麗に掘り下げ、電池が収まるように加工を行います。

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当然その後、フロントPU部分にも導電性塗料を散布。ノイズ対策もきっちり行います。

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そしてミッドブースターをマスタートーン位置に組み込んで調整に調整を重ねたら。。。

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完成です!

今回のスイッチングレイアウトでは、3WAYスイッチでフラット/ミッドブースト/キルスイッチの組み合わせになりますので1PUでもかなり多彩な音が作れます。又クラプトンモデルのミッドブースターの様な歪感が増えて行くタイプの音色ではなく、パライコの様な効き方をする回路ですし、ブーストゼロならインピーダンス変換プリアンプとして非常に優秀ですので、ノイズにも大変強くなります。その為か、ツボに嵌る方は大変長らくご愛顧頂いておりまして、有難い話です。

もし気になった方はメールだけでも頂ければ幸いです。冷やかし歓迎!

K様ご依頼ありがとうございました。
またのご用命とご愛顧の程お待ち申し上げております。
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2013年05月16日

E社ストラトコピーモデルの改修

今回はベーシックなストラトの改修作業をさせて頂きました。

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過去にE社が発売していたストラトで、かなりベーシックなモデルにハードレリックが施されている状態の物でした。オーナーのT様は何年か前に手に入れた物の、殆ど弾かなかったけれど、調整して弾けるようにしたいと言うご要望が有り、作業させて頂きました。

作業としては
@PU交換
Aトーンカット
B回路調整(多少太い音が出る様に)
Cノイズレス加工
Dペグの交換
Eナット交換
Fフレット磨り合わせ
G総調整

そんな所です。これらの作業は一般的に良く有る作業内容です。
この個体は非常に素材が良く出来ており、私個人的には一本買っても良いかもしれないと考えており、時折オークションなどをチェックしております。

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早速分解していきますと、ブリッジ取付穴がささくれ立っていたので、面取りビットで軽くビス穴を面取りしておきます。私の場合、再度組み込む際に塗装が割れたりするのが嫌だったり、諸般の理由からここに限らずビス穴と言うビス穴は基本全て面取りしていきます。

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次にボディー側キャビティーにマスキングを行いキャビティー内部へ導電性塗料を散布し、シールディング作業を行います。

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次は配線周りですね。
このモデルは量産品としては大変美しい配線が施されておりまして、個人的にかなり評価点が高く、良いコンディションを保っておりました。又でデフォルトの状態でセイモアダンカン社のSSL-1が搭載されています。但し今回のオーナーさんは線の細さが気になった様で、ハードロック的な押し出しが強い物へ交換を望まれておりました。

今回オーナーさんがPU等ご支給下さったセイモアダンカン社のSSL-3へフロントリア共に交換し、オリジナルと同じように美しい配線になる様に仕上げます。トーンカットの上、ボリュームポットは問題有りませんでしたので再利用しました。

この後、方法は申し上げられませんが、定数を調整して高域のギラつきを無くし比較的落ち着いたトーンを狙って回路セッティングを仕上げました。ご興味が有る方はメールにてお問い合わせください。

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次にネックですが、フレットが一部浮き上がっていたり、指板サイドから飛び出しており、磨り合わせ研磨調整を行いました。この作業の意義/効果/必要性は過去に何度も記事にしておりますのでお馴染みかと思います。良ければ過去ログもいくつか読んでみて下さい。

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その後ナット交換作業を行います。元々のナットはナット溝が広く弦が暴れやすい状態になっておりましたので、こちらへ入庫後、診断の結果交換する事になりました。今回も5年物のオイル漬け牛骨を使っておりまして、非常に弦の滑りが良い状態となっておりチューニングの安定性に一役買っています。この作業ももうお馴染みですね。

完成するとこんな感じです。
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レリック系のフィニッシュに合わせて、しっとりとした半艶程度の表面処理に仕上げてあります。

その後、ペグをゴトー製ロックペグに交換したのですが、画像を撮り忘れていました。

次にブリッジ等も組み込み、電気系、振動系の調整を終えたら完成です。

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画像上、見た目は最初の状態を変わりませんが、振動系やアンプからの出音等のレスポンスはかなり向上しました。PUの交換による楽器自体の出力アップやノイズレス化、定数調整等も複合的に功を奏しているので、かなりのハイゲイントーンでもノイジーにならず、輪郭もきっちり出せる状態まで持ち込みました。

参考音源的に一番近いなと思ったのはこんな感じですね。

圧縮音源ですので、あくまで近いと言う意味ですが、、

そんな所で今回記事は終了です

T様ご依頼ありがとうございました。
またのご用命とご愛顧の程お待ち申し上げております。


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2013年05月12日

フェンダージャパン ジャガー改修

今回は最近書いていたジャクソンとは対極にあるプロダクトのギターで、フェンダージャパンのジャガーを改修させて頂きました。

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今回のメニューは以下の通り
@フレットの減りに対しての磨り合わせ
Aチューニングの安定化の為のブリッジ交換
Bナット交換
C電装系殆ど駄目だった為PUも含めてオールリプレス

よく有る作業内容では有りますが、ご紹介させて頂きます。

ジャガー/ジャスマスターに搭載されているフローティングトレモロなんですが、これ、アームタッチ等好きな人は好きですが(マイブラディーバレンタインファンの人とか)、チューニングが安定し難い為、使うのが難しいトレモロでも有ります。

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これにしか出せないタッチニュアンスは確かに有るのですが、なんだかんだ言っても使わない人の方が多いかなと。

マイブラと言えばコレですかね。轟音系ファズギターとか。

私は大好きですが。

どっかの外人さんの試奏動画

そうそう、素だとこんな音って感じ。

このトレモロには実はトレモロロックの機能が付いていて、その機能を使えばユニットを全く動かなくすることも可能です。
今回はチューニングの安定って事で、トレモロの動きを完全にロックしてしまうセッティングに直しました。と言っても、ドライバー一本で出来るので画像等が残ってないのですが。

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このブリッジって、固定式じゃないのはオーナーさんにはお馴染みかもしれませんが、アームの動きに連動してヤジロベーみたいに前後に動くようになっています。またそのブリッジの動きの範疇を超えてブリッジサドル上を弦が滑って行く為、チューニングの中立点が保ちにくく、極めてチューニングが狂いやすい構造となっています。写真が少なくて中々伝わらないかもしれませんが。

サクッと分解した所。オーナーさんの手によってブリッジスタッドの中にティッシュが詰めてあり、ブリッジが動きにくくなるように加工してありました。

今回の依頼ではブリッジをレスポール等に使われるチューン・O・マティックに交換するのが目的ですので、スタッドも慎重に抜いてしまいます。

今回用意したブリッジは後藤ガット製のブリッジでナッシュビルタイプのスタッド有りの物です。
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このブリッジは安価ですがチューニングの安定性が良く、調整幅が広いのも特徴です。
このスタッドは実はジャガーのオリジナルの物にはサイズ上合わないので、スタッド穴を一旦埋め戻して、再度開け直します。
作業の詳しい内容は随分昔の記事になりますが、履歴が有りますので、こちらをご参照ください。
http://repairtech.seesaa.net/article/19345031.html
実の所、今回の分は写真を撮り忘れています。
又、このブリッジを使用する場合、ネックの仕込み角度が足りなくなる場合が多く、弦高とブリッジ部のテンションを稼ぐ必要が有ります。この個体もそれに該当しましたので、ネックポケットの加工し、約1度ネックの仕込み角度を上げました。

その他、ジャガーの場合、某社のテンションバーを増設しているケースも見受けられますが、個人的にはアレを使わずにテンションコントロールをして仕上げる方が、音はジャガーらしさが残ると感じています。今回のご依頼の方向から行くと、テンションバーは付けない方がベターで有ると判断しネック角度を起こしました。

次に電装系も全て引き直し、PU交換もご用命の内でしたので、再利用できない部品は全て手配して交換していきます。
今回で有ればPUセレクタースイッチ及びローカットスイッチ VOポット等ですね。

まずは外部ノイズ対策で生産時から塗られてある導電性塗料が不完全な為、重ね塗りでキャビティーを完全にアースに落とせるように加工します。
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導電性塗料を散布してから、卵ラグをキャビティーにビス止めしアース用配線を這わせます。
このとき使う配線はかなり良質な物某社の物を使用しています。そうしないと又ノイズが出てしまう事も有りますので。

そして電装系をパーツを交換していきます。
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今回は6弦側のプリセットコントロールは使用しない為、ダミー配線状態で信号は送りません。

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今回スイッチ/ポットコンデンサ/ジャックは良質なアメリカ製を使用し、再配線を行いました。
この状態でも電気楽器としては随分状態が回復したかなと思います。

そして今回最もお金が掛っているという面ではPUでしょうか。
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セイモアダンカン社のジャガーシリーズHOTを使用して組み込んでいきます。
ただこのPU、カバー、ヨーク等は標準では付属しない為、オリジナルの物を再利用しました。
音はと言うと、ハイパワー版と言う事も有って、かなり出力高めでからっとした音がポイントです。
コレ結構私個人的には好な音がしまして、自分のストラトのフロントにヨーク無しで使っていたりします。

並行して、ネックですが、フレットがずいぶん減っておりましたのですり合わせを行います。

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本来であれば一部だけでも打ち変えるレベルまで減っているのですが、こればっかりは予算が有りますので、今回は擦り合わせで対応しました。この楽器では次回のフレット消耗時は完全に打ち変えとなります。また、写真は無いですが、ナットはこの後交換しております。

そんな一連の作業を終了させたら組み込んで。。。

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作業終了です。

結構写真を撮ってるようで撮れていない為、伝わり難い所が多くなってしまいました。

S様ご依頼ありがとうございました。
またのご用命とご愛顧の程お待ち申し上げております。
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2013年05月06日

Jackson guitars of yesteryear

今回も引き続きジャクソン系ギターの電装系改修事例をご紹介します。
ご依頼頂きましたのはアレキシライホっぽいジャクソンランディーローズVモデルでして、恐らく近年生産されたモデルではないかと推察されるのですが、正確な製造年は不明です。
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アレキシライホ本人が使っていたジャクソンは盗まれたとかなんとか。その後ESPとエンドースメント契約をしていているので、何となく最近はジャクソンではなくESPのイメージが強いですが。

今回のご依頼内容で一体何を行うかと言うと、現状のEMGワンハムから、ジャクソンの古いPUでJ-50BCとゲインブーストプリアンプのJE-1000へ電装系一新するという作業でした。

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部品関係はお客様がご手配されたのですが、やはり古い部品は大体色んな所に不具合が生じていたりしますので、それの改修も合わせて行います。

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で、今回取り付けるPUはEMGより一回り大きく、楽器側そのままでは取り付けが不可な為、PUキャビティーの拡張加工が必要です。ジャクソンは専用カバーからエスカッションまで自前で金型を起こしていた訳で、景気が良かったころとは言え、まあほんとに物凄いなと思っちゃいますね。

今回の電装系レイアウトは以下の通り。
1:マスターボリューム
2:マスタートーン(アクティブ回路後段)
3:キルスイッチ
4:ブーストオンオフスイッチ

この辺りからほとんど現物合わせになるのですが、ボディーに直接マスキングテープを張って罫書/位置決めを行います。
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そんな所で、PUキャビティーの拡張作業を行い、各部コントロールの増設穴を開けたら終了です。今回はジャクソンPU専用の拡張治具を製作しました。

その他、キルスイッチをオリジナルの回路に追加と言う依頼も有った為、その加工も済ませます。

キルスイッチ(KILL SWITCH)ってなんですか?という説明も軽く。

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このスイッチはどういう物かと言うと、プッシュボタンを押している間だけ信号を切断してしまう効果が有り、所謂モーメンタリ/プッシュオフと呼ばれるスイッチです。これはあまり楽器屋さんの筋では手に入らない部品ですね。

このスイッチは色んな使い方が有るのですが、一世を風靡した使い方があって、

15年ぐらい前は、この機能のスイッチを付けて欲しいと言う依頼が沢山有った様に記憶しています。
(形状はどうであれ色んなスイッチで対応可能です。今回のはその一例)
この動画の0:01〜0:35秒と3:43〜3:58秒辺り、ギターのトムモレロが一弦側カッタウェイに有るPUセレクター/3WAYトグルスイッチを連射切り替えをしているのですが、このスイッチの場合はセレクターがセンターの時は信号がオフになるように配線されています。その為音を出しながら連続切り替えを行うと、トレモロっぽかったり、DJのスクラッチ効果や、アーム/ワウと絡め喋るギター的な使い方等、色々な使い方ができると言う事で当時一部で大変に流行した気がします。

他にもまだまだ色々使い道があるかもしれませんので、何かギミックっぽい手法をお探しの方は使ってみては?と言った感じの機能です。最近またちょっと流行りの兆しが有るのかな?と思う様なご依頼が続いておりますので、もし宜しければご相談下さい。

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キャビティーに導電性塗料を塗りシールディングを行った後、各部を修復したJE-1000をワイヤリングして行きます。トーンはあくまでアクティブ回路の後段に付くようにオリジナル通り設置。コンデンサ等は新しくオーディオ用途の良質な物に交換してあります。

そしてPUをキャビティーに収めてビス止めし、弦を張って調整したら完成です。

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こんな感じで往年のジャクソンギターの回路を搭載したランディーVの完成です。

このプリアンプのJE-1000は結構根強い人気が有る様で、海外のその手の掲示板巡りをすると、結構熱い情報が出回っていたりします。日本ではオークションなんかでジャンク部品として見かける事が多いですが状態が良い物が少ない感じです。

あ、後キャビティー背面から設定する様になっているプリセットディップスイッチとゲインですが、これは多少手ごわいなあと言う感じがしまして、使うエフェクターやアンプによって随分違ってくるので、その都度裏蓋を開けるのはめんどくさい。そんな感じです。仕掛けとしてはただ単に高域のカットスイッチなんですけどね。ESPが販売しているアレキシライホシグネイチャープリアンプなんかは恐らくこれを下敷きにした物だろうと推測しています。

http://www.espguitars.co.jp/parts/mm-04.html

肝心の音はもうご機嫌なディストーションサウンドが出まして、アンプ類をきっちり調整すれば恐らく良い感じのメタルサウンドが作れるはずです

例によって参考音源はどこかの外人さんですが、確かにこんな感じの音でした。


T様ご依頼ありがとうございました。
またのご用命とご愛顧の程お待ち申し上げております。
posted by IRP Products at 13:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 楽器リペア関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年05月05日

80年代シャーベルの再配線作業

前回に続、同じくJE-1200が搭載されたシャーベルソロイストモデルの電装系改修作業を担当させて頂きました。
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これはお客様が所謂ジャンク品と言う事で素材を入手され、リフレット等をお客様ご自身が行われた個体でした。

そういった作業は出来るのですが、電気系となるともう手がつけられないとの事で、私共で電装系再配線/改修をさせて頂く運びとなった次第です。

元々付いていた回路がこんな感じで、年代を感じさせる佇まいですね。。
IMG_1942.JPG 殆ど駄目になっていると言った状態です。

で、懸案のJE-1200の回路部はこんな感じです。
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この回路、私のBLOGで過去にも取り上げた為、お陰さまで今まで沢山触らせていただく機会が有りました。
生産時期によってでちょっとづつマイナーチェンジしている部分が有ったりして、なかなかメーカーの歴史を感じさせる部分が又個人的には良かったりします。
どこがどう変わってるかって言うと、変更の時期は解りませんが大きな所ではガラスエポキシ基板から、紙フェノール基板に変わったりしてますね。多分アメリカ製と日本製なんて違いもあったりしたんじゃないかと思います。
チェックしてみると、やはりと言うかなんと言うか、製造から何年も経っているので当然の様に調子を崩していました。今回ですとブーストが正しく効かない事と、絶望的に音量が低い事でしょうか。
今回も駄目になっている電解コンデンサ等、基板上の部品を交換しますと、ちゃんと生き返りました。

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これは余談
これはあくまで思った事止まりですが、JE-1200/1000/1500等は時代に埋もれさせるにはちょいと惜しい回路でも有ります。現在お持ちの方で調子を崩している物をお持ちの方のみ対象にサードパーティーとして基板やパーツセットを提供しても良いかなと思ったりしています。と言うのも本家ジャクソン(もうフェンダーですけどね。実生産工場は)ではもう既に生産は行われておりませんし、補修用部品として持っておきたい方もいらっしゃるかと。

但し回路配置利用権等の権利的な事に抵触する事が有ってはマズいですし、あくまでオリジナルの現物をお持ちの方に対してのみお譲りするとか。私の気が向いて且つ時間が有って、基板を起こして〜ってなると相当気が長い話ですが。(実際この回路は件の法規に抵触するのかどうかもこれから調べるぐらいの優先度が低い話)

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次はワイヤリングですね。

前回のソロイストと違う所は、レバースイッチが4回路5接点のいわゆるスーパースイッチが搭載されている点でしょうか。
当然今回もそのまま当時の仕様に倣って新品の物を使用します。
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このスイッチを使う事によって様々なPUコイルレイアウトが可能です。

今回のレイアウトは以下の通り(ストラトに倣う書き方では)
1:フロント位置 フロントPUの直列ハムバッカー
2:フロントセンターハーフトーン位置 フロントPUのネック側が生きるコイルタップ
3:センター位置 フロントPUネック側/リアPUネック側のハーフトーン
4:センターリアハーフトーン位置 リアPUネック側が生きるコイルタップ
5:リア位置 リアPUの直列ハムバッカー

今回はスーパースイッチでなければできない配線ではないのですが、今後の発展性も含めて使用と言った所でしょうか。

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PUも取り付け、きっちり配線しなおします。様々なスペース的な諸事情から、結構込み入った配線になってしまいました。後ノイズ対策で導電性塗料も散布して、裏パネルにも当初貼られていなかった高周波ノイズ対策用アルミシートを張りつけて、蓋をします。

そんな所で電装系は終了。

次は、ブリッジを取り付けて最終調整をしたら完了です。
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ケーラーの80S'物ですね。年代の割に綺麗で、ブリッジサドルのローラーも綺麗に回転しました。
最近になってケーラーブランドは復活したらしいですが、荒井貿易様扱いで輸入されておりますので、もし何かトラブルが有ってもユニットごと交換が今の所で有れば可能です。

http://www.ariaguitars.com/jp/02prod/04kahler/index.html

ルックスは随分違いますが、アーミングタッチ等のフィーリングは殆ど変りません。
但し、こう言った商材はいつ取り扱いが終わるか解りませんが。。。ケーラーブランド自体がどうなるかと言った所でしょうか。
私、個人的にはこのアーミングタッチが結構好きで、このブリッジを使いたいが為に自分用のギターを作ったりしてました。もう手元には無いのがさびしい所。

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そんな感じで最終調整まで終わったら完成です。やっぱりこのプリアンプとこのPUの組み合わせはツボに入るいい音してます。

資料的に挙げると、こんな音。ちょっとわかりにくいかも。。ですが、どっかの外人さんの動画。


K様ご依頼ありがとうございました。
またのご用命とご愛顧の程お待ち申し上げております。
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2013年05月01日

ジャクソンソロイストJE-1200電気系改修

又前回のブログ記事から時間が空いてしまってますが、今回は掲題通りジャクソンソロイストの電気系改修作業を担当させて頂きましたので、その内容を記事にしたいと思います。

今回作業するのは、ジャクソン社製JE-1200と言うミッドブースト機能付きプリアンプでして、とある資料から内容を紐解いてみますと、650HZを最大60dbブースト可能というプリアンプになります。この製品はファンの方が多いようでして、エレキギター用内蔵プリアンプとしては相当数の販売されたのではないかと想像されます。しかしながら生産から20年以上経っており、基板上の消耗部品が駄目になって調子を崩しているケースが目立ちまして、今回お預かりした楽器の回路もそういった諸般の都合から不調をきたしている状態の物でした。

楽器の全景から
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どうもリフィニッシュされている様ですが、非常にきれいなマジョーラ系パールホワイトで塗られていました。ジャクソン系のギターはこう言うペイントが映えるので、リフィニッシュされる方が多い様に思います。

さて懸案の回路チェックですが、、、
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リフィニッシュの際に再配線されているようですので、それほど問題となる様な所は有りませんでした。
これ、私はメーカに居たので解るのですが、楽器は生産時、「とにかく音が出れば良い」「プレ配線を以下に切らないで手早く配線するか」がポイントになっている為、無茶苦茶雑な配線がなされている可能性が高いです。特にアクティブ回路物は。

話は少し脱線しますが、エレキギターに於いてアクティブ回路が広まらない一つの理由として、「壊れやすい」「調子を崩しやすい」と言う物が有ります。それはプリアンプその物が原因よりも、それを取りまわす周辺配線の粗雑さによるトラブルが挙げられます。ですので、適切に配線処理された物はそんなに壊れる物ではありません。まあとは出音の好みどうこうですが。

次は早速、外した回路をチェックついでに、基板をある種の洗浄液に漬けて洗浄します。
そしたら出るわ出るわ。まっ茶色に変色したフラックスやそれに付着した埃等が物凄い事になっています。
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その後、基板上に乗っかっているICや電解コンデンサのチェックを行い、ヘタっている物は全て交換してしまいます。
今回の例でいきますと、電解コンデンサ総交換となりました。
また、洗い流したフラックスは再度散布しておきます。出来るだけ基板が酸化しないようにしたい所。

そして再度組み付けて完成。
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この回路はポット自体に基板が直取り付けできるような機構なのですが、今回の作業で随分基板側に痛みが見られましたので、基板直付けVOポットから切り離し、キャビティー内に基板を別取り付けする事にしました。こうしておけば、ポットだけの交換も容易に出来ますし、後に再配線の必要に駆られた際も作業が容易です。

こんな感じで作業は終了です。
やっぱり、JE-1200は色んな意味で名作ですね。これはアクティブ嫌いの人でも一回弾いてみると良いかも。です。
現存している物は大抵調子を崩しているようですが、そのまま取り外して捨てられたりするのは勿体ないなーと思いますので、音が出なくて困ってらっしゃる方や、気になる方は一度ご相談頂けると幸いです。

S様ご依頼ありがとうございました。
またのご用命お待ちしております。
posted by IRP Products at 00:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 楽器リペア関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年01月28日

YAMAHA SBVノイズレス加工

今回も掲題通りYAMAHA SBVノイズレス加工作業を担当させていただきました。

このモデル、非常に愛好者の方が多く、変形モデルとしては一つの定番に近い所まで行った珍しいモデルではないかと思っております。
古くは60年代のエレキブーム時代に寺内タケシ氏の為に開発されたそうで、デザインに関しては諸説ありますが、今でも当時のモデルに関して熱心な研究家の方がいらっしゃるモデルですね。
デビュー後、30年間ほど絶版になっていた所、15年ぐらい前にまた寺内タケシ氏の為に完全リファインして発売されたと記憶しております。その流れからバリエーションモデルとして沢山の廉価版モデルなどが発売されるに至り、今回紹介するベースも発売されたようです。その中でも今回手掛けた物は近年製作された物となります。

Y様より承った時点で電装系パーツは全て取り除かれており、新たに組み込み、調整を行うのも今回の作業内容です。

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こんな感じで全くノイズ対策がされていない状態ですね。

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今回はお客様より部品を全てご支給頂きましたのでそれらを使用し組み込んでいきます。

これらのパーツはオールパーツ社やモントルー社など色んなパーツサプライヤーが有りますが、パッキンされているパーツその物ははっきり申し上げまして一緒です。パーツサプライヤーによって変わると言う事は有りません。検品選別はしている可能性は有りますが、あまりそういった話は聞いたこと有りませんね。ですので同じパーツで有れば、安いサプライヤーさんから買うのが一つのコツかもしれません。

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まずはこんな感じでいつもの導電性塗料を塗布し、アースにつながるように加工します。
この導電性塗料ですが、今は様々な製品が出ており、ユーザーさんが手に入れて塗布する事も可能です。ただその場合、必ず塗料自体がアースに落ちる様に施工しなければならない事と、信号が通る端子がキャビティーに触れない様に細心の注意を図って作業する必要が有ります。もしそれらの作業に不備が有った場合、ノイズが増える可能性や、そもピックガードを閉めたと同時に音が出なくなるなんて事もあり得ます。その辺りは基本的には経験と勘と言った様な所で細心の作業をしていきます。

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こんな感じで電装部品を組み込みます。この辺りはパッシブの良さが最大限発揮できるよう、ロスの無い配線を心掛けます。
又ピックガード裏には高周波用アルミシートを貼り込みます。このシート、性能は良いのですが、大変薄く、貼り込み作業が難しいのです。。その内他の部材に変更しようと現在各種部材を試験的に取り寄せていますが、、入手性が良く性能も良いと言った様な良い物に出会えておりません。

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アッセンブリを組み込み、弦を張って調整したら。。。

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無事完成です。ノイズに関してはほぼ無い状態にまで持ち込んでおります。
これは特殊なPUの所為か、これにしか出せない音が有り、大変魅力的な音色でした。
PUレイアウトから想像すると、一見PB系の音がしそうですが、それだけでもないなんとも別のテイストが入った独特の音色です。何よりフロントのプレシジョンPUが大変素晴らしく。。

Y様ご依頼ありがとうございました。
またのご用命お待ちしております。
posted by IRP Products at 00:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 楽器リペア関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする