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2022年03月20日

フェンダー社製テレキャスターへのサスティナー搭載作業をご依頼いただきました

兵庫県のH様より、今回フェルナンデス社製のサスティナーキット増設取り付けのご依頼を頂戴いたしました。

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入庫時の状態はフェンダーノイズレスピックアップのテレPUセット+ストラト用センターPU3シングル搭載、22フレット、6連ブリッジで、ストラトみたいにいろんな音楽に対応出来る様にアップデートされた実践的な仕様のモデルとなっています。

今回はこの楽器にザックリ言うと、トレモロユニットとサスティナーを搭載するという作業を行いますが、最終着地イメージは、現在市販中のフェンダー社製Miyaviモデルテレキャスターになります。

以前よりYOUTUBE等で拝見しているギタリストさんだったのですが、今回の作業を担当させて頂く際に、再度動画をいくつか拝見致しましたが、まあ物凄いテクニカルなギタリストさんですね。久しぶり現れたギターヒーローである事を強く認識しました。

その結果、個人的にファンになりました。今回はその根幹に触れる様な作業でしたので気合が入ります。




個人的にこれ自体は非常によくできているピックアップだと思っていますが、今回のフェルナンデス社製のサスティナーキットとはどうしても組み合わせ的にリアピックアップのパワーが足りないことが予見されます。

そんなことも含めて今回はセイモアダンカン社製のlittle59TELEのリア版に交換する事となりました。


 セイモアダンカン社製テレキャスタータイプのリプレイスメントピックアップとしては定番仕様ですね。そして直流抵抗が17kΩ近い為、非常にパワフルなピックアップとなります。

併せてセンターピックアップは同じくセイモアダンカン社製のvintage for stratというものでした。

 個人的には、このピックアップは大好きで、私が個人所有しているストラトキャスターのピックアップの一部はこのpピックアップを使用しています。パワフル且つ、ミットレンジの食いつき感と、巻弦に対するバイト感(噛みつき感)がとても優秀なピックアップかと思います。

 ただ昔から思っていることですが、この手のリプレイスメントPUに関して、付属されている高さ調整用のパーツがいまだにゴムスリーブである事が微妙な気持ちとなります。共振を起こす可能性が否定できない事や組み立て効率などはゴムスリーブのほうがいいのかもしれませんが、経年変化で飴のように固まってしまっているものも見受けられますので、うーんどうにもなあ、、という気持ちになってしまうものです。

これは余談ですが、このバネもピックアップマウントビスも非磁性体の方が良いんじゃないかと思っているんですが(それが何故かはまたいつか機会があればご説明します)ピックアップ付属のビス類は殆どが磁性体のものですね。

また今回ブリッジも、最新のテレキャスターブリッジでMAVERICK SUPER VEEトレモロシステムというものを組み込みます。

(トレモロの画像挿入)

そして今回、最も重要なデバイスであるフェルナンデス社製サスティナーキットFSK-401を搭載します。

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最近、フェルナンデス社製のギターの流通量が少なかったり、このキット単体も結構入手ルートが限られている、というか、フェル社の公式サイトぐらいしか入手の方法が無い様です。

これは余談ですが、現在新型コロナの関係や、国際物流上の海上コンテナ不足等により、電子部品の流通が安定しない状況ですし、今後もこのキット単体の入手は難しくなるのかもしれませんね。

さて、作業的には、構造変更などを伴い、楽器の種類を根底から変更させるような作業が必要となります。

そうなると、最初のプランニング、その段取りが非常に重要になります。

今回の作業要件としては以下の通り
  1. テレキャスターブリッジからトレモロ仕様のブリッジに変更
  2. フェルナンデス社製サスティナーを搭載
  3. バッテリーボックスの搭載
  4. すべてのピックアップを交換
  5. 電装コントロールの交換
  6. 最終調整
箇条書きにしても結構なボリュームな作業になります。

幸いにして今回は上記のサスティナーキット単体及び使用する部品を全て、お客様に御支給戴きました。

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その為、部品の到着待ちなどでフィッティングが止まるなどという事はありませんでした。

まずトレモロ増設を行うという事は、まずその加工が可能なのかどうかを各部採寸を行いながら作業のスケジュールを立てる必要があります。
これの位置や、加工可否、セッティングの可否が決まらないと、2番へ作業を進めることができませんので、慎重に製図やフィッティングなどを何度も何度も行い、最適な位置、取付方法の模索を行います。

MAVERICK SUPER VEEトレモロシステムのセットには寸法図が付属しておりますので、その通りにインストールすればいいのですが、実機との整合性を取りながら、慎重にセッティングを詰めていきます。


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実際には何度も部品をあてがっては採寸等のフィッティングを行い、楽器として無理が無い様に、尚且つ作業上危険がない方法を模索していきます。

図面上指定された数値を基にすると元の楽器と整合性が取れるのかどうか、その検証には時間をかけ最も気を遣う所です。

そして、木工用トリマーのジグを作成し、木工を始めます。

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当方は小規模工房なので、大型機械などを入れる場所がありません。出来得る限りスペースをやり繰りして木部加工を進めます。
画像上はすでにサスティナー回路を収める部分の座繰りも済んでいます。

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合わせて、フェルナンデス社製オリジナルバッテリーボックスの座繰りも行ってあります。

この後、キャビティーには導電性塗料を散布し、ノイズ対策を行います。

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フェルナンデス社製サスティナー搭載作業を行います。
ブリッジの取り付けが終了、楽器として成立する事を確認した後、いよいよサスティナーの取付のための準備に入ります。

実際miyaviモデルを画像で確認していると、なぜこの部分がこうなっているのか?等を想定を含め、実機にフィッティングを行いながら、作業を進めていきます。

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実際、今回はmitavi氏モデルのお手本がある為、それを踏襲しながら、なぜご本人さんがこの様にしているか、それをイメージしながら滅茶苦茶アナログ的なフィッティング作業を行っていきます。画像だけ見るとアホか?と思うほどアナログです(笑)

フェルナンデス社製サスティナーキットは基板をスイッチで固定する方式の為、この子定位置を間違うとリカバリー出来ない程の事態を招いてしましますので、慎重に(と言ってもいつもですが)作業を進めます。
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ここでピックガードに対してサスティナー基板の取付穴を決めており、実際はボディーの座繰りよりも先にこちらを決めていて、それを基に上記のボディーに対する座繰り位置を決めています。

又余談と言いますか、大前提になりますが、フェルナンデス社製サスティナーはアクティブ駆動となっているため、パッシブでは一切音が出ません。

又、上記でご紹介した通り、ピックアップはすべて交換し、フロントPU部分にはサスティナードライバーが搭載されます。
サスティナードライバーその物をシングルコイルとして使うとしたら、少しイメージが違う音色になってしまいますが、ハムバッカーとして使うならばこういう音のPUあるよねー的な音色がするのも事実です。単に盲目的にこのドライバーの音が悪いという風にDISる気にはあまり元々私にはありません。

サスティナーキットの詳細は以下の通り
インストールマニュアルなんかもダウンロード可能です。


とまあこんな感じに仮組を行い、サスティナーの動作及び効きを確認しながら進めます。
サスティナーキットにはもともとサスティンボリュームがついているのですが、それは半固定抵抗で置き換え、ヴォリュームフルの状態でコントロールキャビティーに内蔵します。

合わせて、パッシブ部分の電装系は今回そう交換する事になりました。この辺りは一般的なCTS社製ポットとオレンジドロップ、スムーステーパーボリュームキットを実装します。


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実際サスティナーキット以外の部分はパッシブ定数でコントロールを構成する事が出来ますので、これらの作業自体は何ら難しい事ではありません。

最終調整に関しては、プレーヤーさんの好みにもよりますが、基本的にはサスティナーを安定して駆動させることを中心に考えます。とはいえ、この回路の性格を把握しておかないとどうにもなりませんので、フェルナンデス社様のサスティナーキットのhpからインストールマニュアルをダウンロードして確認しながら、細かく進めていきます。


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参考にするのは上記リンクでした。まあ物凄いプレイですね。
今回のセッティングは結構近い所まで攻められたのではと思います。

そして、最後の最後まで気を抜くことなく、組み上げていきます。

そうして漸く下記の状態で完成になりました。

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とまあこんな感じで作業完了です。トレモロキャビティーは木部むき出しのままではあまり良いとは言えませんので簡易的に下地から部分塗装を行っております。


こんな感じで作業終了です。

作業的中、ほぼ楽器を半分作ってるようなイメージでした。色々考えながら作業を行っておりましたが、所謂シグネイチャーモデルがなぜこのようになるのか、こうなっている理由、等を深く考える機会を頂きました事を御礼申し上げます。

この度はご依頼ありがとうございました。

サスティナーチューンUPに関して、ご要望等ある方は下のメールからご連絡の程、お願い申し上げます。

(但し本記事を参考に作業なさった場合のトラブル等は当方では負いかねますのでご留意くださいますようお願い致します。)

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2018年02月13日

Warwick社製5弦ベースのメンテナンス

 昨年12月頃、ちょっとした同窓会的な集まりが有って、そこでお預かりした楽器なのですが、、富山県に住む古い友人からの依頼で、Warwick社製の5弦ベースをメンテナンスする事になりました。
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 これは、また素材が非常に宜しく、無垢のフレイムメイプル2ピースでウエンジネック&指板と言う、とにかく楽器本体を硬くし、木部では弦振動を減衰させないという強い意志や。またMECピックアップのJJ配列等、とにかく素直に弦振動をピックアップに拾わせると言う、哲学の様なものを感じてしまう楽器ですね。スラップ系というよりは、重低音で隙間を埋めていくプレイに向いた音でした。もちろんスラップでも問題なく使えますけどね。

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とは言え、楽器は楽器、使えば傷む事も当たり前ですから、今回は弦振動系に関わる部分のメンテナンスとチェックを行います。
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2018年02月12日

Crews Maniac Sound社製アコースティックプリアンプの修理

 今年は何十年振りかの寒波だそうで、寒い思いをしている昨今ですが、皆様、体調に関してはくれぐれもご自愛くださいませ。

 年明けから既にいくつかの作業依頼を受けておりまして、その中でもこれはちょっと面白かったと言う物をご紹介したいと思います。修理品目としてはエフェクターになるのですが、機能等を勘案するとrecスタジオにある様なラックマウントプリアンプみたいな転がしのエフェクターの不具合について修理します。

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 確かこのシリーズの原型になるプリアンプは90年代の終わりか00年代の初めに似は既に有った様な気がするのですが、最初は歪系エフェクターだったでしょうか。その後、このケースを流用した多品種展開になって、バッファだとかアコースティックギター用プリアンプだとか、そう言う展開をしていたように思います。今も後継機種っぽい物はある様ですが、http://www.crewsguitars.co.jp/cmx-3/今回修理する様なプリアンプに関しては、生産終了っぽいですね。部品が生産中になった為とか何とか。

 さて今回はどんな不良かと言いますと、電源が入らないとの事。事前にヒアリングしていると、一瞬電源が入ったり切れたりするとかって話だったので、「んーたぶん、電源のicかその周りのコンデンサ、配線がちぎれかけてるとか」そんなところだろうと読んで、今回の修理をお受けする事にしました。
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2015年01月23日

フジゲン社製 JAZZ BASSモデル PU交換作業

今回はY様よりフジゲン社製JAZZ BASSモデルのPUの交換作業をご依頼ただきました。

今回の楽器の製造元のフジゲン株式会社は楽器業界の重鎮的な楽器製造メーカーですね。古くはグレコやハートフィールド、フェンダージャパンやそも本家フェンダーその物を作って輸出すると言った様な本当に技術及び生産製品の評価が高いメーカーさんですね。色んな情報から行くと最近ではトヨタ自動車のレクサスなどのウッドパネルの製造やアイバニーズの上位機種やG&Lの楽器を製造していたり、また、日本に流通しているギブソンの楽器の検品も行っているんだそうです。

そんなフジゲンの自社ブランドで展開している楽器が今回のBASSになります。
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この様な感じで非常に丁寧に作られた楽器でした。
今回のメニューはPU交換/電装系引き直し/ノイズ処理のやり直しと言った様な感じです。

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ざっくり見て行くとPUが国産なのか韓国製か解りませんが、あまり品質が良いとは言えない物が搭載されておりました。国産の楽器は電気パーツについて、安価な物を使う傾向が有りまして、結果コスト削減を行っております。コスト以外の理由では、楽器弾き特有の好みの問題が有り、あくまでPU等は交換前提で最初は低グレードの物が搭載される事が多く、その浮いた原価分を木部加工の費用に回すと言ったイメージを持って頂けると良いかと思います。

それでは作業に入ります。
今回は電装系部品は全てご支給頂いておりましたので、ご指定のパーツで組んでいきます。
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今回はコントロールパネルを全てユニット交換して入れ替えてしまうと言ったご依頼でした。支給頂いた部品はCTSポットやオレンジドロップ、スイッチクラフトのジャックと言った所謂ハイエンド品となります。丁寧に組み込んでユニット化してしまいます。

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その間に、ボディー側のシールディング加工を行います。この塗料が乾けば組み込めるような状態ですね。

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今回搭載するのはバルトリーニ社製のJAZZ BASS用PU(品番で言うとJ-BASS)になります。
これは一世を風靡したモデルで、スタジオシーンで非常に人気が有り、今でも根強いファンが居るモデルですね。このPUとTCTと言う楽器内蔵型プリアンプを組み合わせてマーカスミラー的なモデルに仕上げるのが流行ったりもしました。個人的には見た目とか音の質感が大好きだったりします。

そんなPUを今回はゴトー社製スポンジスプリングを介してパッシブでマウントしていきます。

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とまあこんな感じでマウントして、楽器を組み直して調整したら終了です。
終了後の画像が無いのですが、イメージだけでも伝わればと思います

音的にどんなのかと言うと、、これは参考動画なのですが、、

どこかの外人さんの動画です。確かにこんな感じの音でした。

こう言った国産楽器には本当に品質が高い物が沢山有るのですが、どうにも電気パーツでその魅力がスポイルされているケースが多々あります。理由は上にも付記しましたが、メーカーが色んな理由から楽器の最終調整をユーザーの手に委ねてしまっているのですね。そう言った所を鑑みると、電気パーツを組み替えて自分好みの物を作れると言い換えられるかも知れません。ですのでまずは良い入れ物(キャンバス)を手に入れるというのが、現在の国産楽器との正しい付き合い方なのかなとも思います。

そんな所から電気系に何かちょっとした不満が有る方は、上記の様な作業をしてみたらいかがでしょうか?全く別の感触の楽器に生まれ変わるかもしれませんよ。大抵の楽器はそんな可能性は十分に秘めています。

Y様ご依頼ありがとうございました。
またのご用命お待ちしております。
ラベル:JAZZ BASS PU交換
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2015年01月14日

'80S'Yesteryear Charvel SOLOIST

今回横浜市のS様より古いシャーベル社製ソロイストの修理のご依頼を頂きました。
過去の修理例の幾つかをBLOGに記載をしておりますので、古いジャクソン&シャーベルの電装系修理の仕事が入る事が多くあります。今回のお客様もそのような経緯でご依頼を下さったお一人でした。

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今回のモデルはソロイストなんですが、お客様に手によりストライプのデコレーションが施されていて、ケーラー社製ブリッジが搭載されているスルーネックモデルですね。症状としては音が出ないと言った内容です。

この電装系が往年のジャクソンのサーキットが採用されています。が、配線がかなり。。な事になっておりますので、綺麗に再配線を行い、調子を崩しているJE-1200ミッドブースター回路を修復する作業となりました。

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こんな感じに全ての配線を摘出します。以前にもこう言った記事の際に書きましたが、量産メーカーでライン作業による生産の場合、アッセンブリーは組込前にプレ配線されているのが通常です。

また特にアクティブサーキット物ですと配線の本数等も増え、モデルごとに微妙に違うレイアウトにも有る程度対応しやすい様に配線を長めに設定されている事が多く、生産効率を中心に考えた場合、コントロールレイアウトに合わせて配線を切り詰めるといった作業は殆ど行われません。その為、長さの余った配線材はキャビティーに無理やり詰め込まれて必然的にグチャッとした配線になりがちなのです。

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次の作業はいつもの通り、導電性塗料によるノイズシールディング作業を行います。
アクティブサーキット搭載の楽器はこの作業をきっちり行っていないと、却ってノイズを増幅させてしまう事が有りますので、必ず行います。

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今回搭載されていたPUはジャクソンMODEL6用の初期型PUセットでした。今や貴重なPUですね。

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この貴重なPUをメンテナンスしてから組み込みます。

その後、懸案の音が出ないとされたJE-1200の方を改修していきます。
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いつも通り細かく見て行くと、ブースターボリュームへ出力する配線部に基板のパターン剥がれが有り、回路が正しく動作しない状態でした。
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今回はパターンを復活させる事は出来ませんので、画像の通り配線を延長して部品に直接半田付けを行いました。
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その後、基板上の部品をチェックし、消耗しているパーツを交換して改修完了です。
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生産から20年以上経つと、こう言った回路に限らず電解コンデンサは大概駄目になってますね。
全て新品のコンデンサに入れ替えます。これに合わせてOPアンプも交換です。8ピンのデュアルパッケージの物で有れば、JRC5532等の入力インピーダンスのマッチングが取り難い品種でない限り、大体どの様な物を使っても音自体は出ます。後は音色の落とし込みについては今回はJRC4558DDと言うローノイズの物に変更しました。

そして楽器に戻し、再配線をし直して完成です。
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こんな感じですね。当初の状態から比べて頂けると一目瞭然ですが、とにかくロス無く綺麗に配線を行いました。

これにて完成です。
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今回の作業は難易度その物は高くないのですが、有る程度電気回路の知識とトラブルが起きやすい部位を経験則で知っていないと対処できない内容でした。
このBLOGをご覧の方で、修理の方法をお教えて欲しいと言ったお問い合わせを頂きますが、こればっかりは破損の内容が各々で違いますので、実際は実機を見ないとなんとも言えませんけれども、有る程度の事で有ればお答えできますので。是非メールフォームよりお問い合わせください。

過去の記事は次の通り
ジャクソンソロイストJE-1200電気系改修
80'sシャーベルMODEL6の電装系〜総合修理
Jackson guitars of yesteryear
80年代シャーベルの再配線作業

と言った所で本日はここまで。

横浜市S様ご依頼有難うございました。
引き続きのご愛顧のほど宜しくお願い致します。
posted by IRP Products at 22:34| Comment(2) | TrackBack(0) | 楽器リペア関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年01月12日

Duesenberg社製 D52-GT PU交換作業

今回は大阪のギタリストT様よりご依頼いただきました、Duesenberg社製 D52-GT PU交換作業を行います。

このドイツ製のこのブランドと言えば、椎名林檎女史ご愛用ギターブランドと言う事で10〜15年前ぐらいは大変人気を博したブランドでしたね。彼女の物はセミアコタイプでしたが、大変ポップなグリーンが目を引くカラーリングの楽器でした。彼女の人気のお陰か、当時、販売数がかなり多かった事や、色々調子を崩したこのブランドの楽器修理を沢山担当させて頂いたのも良い思い出です。

そんな同ブランドの物ですが、実は沢山バリエーションが有りその内の一つが今回のモデルです。

ぱっと見でいくと、単にレスポールタイプと言えばそうなんですが、これは金属パーツのほとんどがオリジナル品になってますので、開発に非常にお金が掛っているプロダクトですね。
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ロッドカバー、ブリッジ、ペグボタン、エスカッション、コントロールつまみ類は全てオリジナルプロダクトです。こう言うのはお金かかるんで、一般的な楽器メーカーは手を出さない感じです。それをちゃんとやるんだから、まあ野心的なブランドである事は間違いありませんね。儲かってるかどうかは良く解りませんがw

特に特筆すべき点はブリッジの精度ですね。この精度と剛性感はほかのバダスタイプには中々見られない物が有ります。代理店さん、これだけでも別売してくれないかなあ?

さて今回の作業メニューは、お客さまのご希望によりPU交換、配線系改修、ナット交換、後諸々メンテナンスを行うと言った所ですね。

早速ですがバラしていきます。
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1PUで3WAYレバースイッチですから、たぶん古いエスクワイヤーの様なトーンセレクターかフロントPUをシミュレーションする様な回路が組まれていると想像してました所、どんぴしゃでした。早い話、コンデンサと抵抗だけでハイとローのカットオフ周波数を調整して、あたかもフロントPUが存在している様な音を作るパッシブフィルターですね。こう言うのは使い様とでもいうんでしょうか、あんまり積極的に使う人にはお会いした事が有りません。

そんなにトーンセレクターも、良質なコンデンサが組まれていた為、音ととしては悪くないのですが、今回の回路はすべて撤去。以下の通り配線を仕込み直します。

@PUセレクターをブリッジ側の時トーン回路カット
APUセレクターをセンター側の時トーン回路生かし
BPUセレクターをネック側の時配線をオールダイレクト


とまあこんな感じでしたので、サクッと配線しちゃいます。

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フロントPUシミュレーション用コンデンサは不要となりますので撤去。それ以外は全て部品が真新しく消耗もほとんど見られませんでしたので再利用します。

因みに画像の様な国産ポットと言いますと、みなさんすぐ交換して欲しいと仰られますが、結構電気的には良質な部材なんですよ。CTSの様に堅甲無骨と言った佇まいでは有りませんが、抵抗値のバラツキもありませんし。ただ惜しいのはグリスが入って居ない為、回転軸等が消耗しやすいと言う所は有ります。それも追加工してあげればいいんですが。

そして懸案のPUですが、今回ご用意いただいたのは、、、
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セイモアダンカン製のスラッシュモデルですね。このPU一回使ってみたかったので、渡りに船って感じでした。

PU交換準備でいつものように導電性塗料を使い、ノイズレス加工を行います。
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実は元々、このエスカッションを生かしてPUの載せ替えが出来るかどうか、受注のミーティングの際にもサイズ的にかなり難しいのではないか?と想定していたのですが、、、
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実機は通常のハムバッカーサイズのP-90でした。裏面はこんな感じ。

そんな訳で、心配は杞憂に終わり通常のPUの取付用の耳を切れば普通に収まりますが、、
ただこの取り付け耳を切り取るのを一瞬ためらったのですが、相談しました所、オーナーさんから切って良し!という指示を頂きましたので、心おきなく切って取り付けました。
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こんな感じです。ばっちり嵌ってますね。

そして残りはナット交換です。
交換中の画像等があんまり残ってないのですが、この様に作業を行っております。
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こんな感じでナットの処理を終了させて、各部の調整を行ったら完成です。

完成画像を撮り忘れてしまったので残念ですが、音はと言うと純然たるレスポールサウンドと言うよりは、ブリッジが大きな要因を締めているとは思うのですが、どこかハイパワーな暴れ馬みたいな、荒々しいザクザクした音色の楽器になりました。
これはギター&ヴォーカルさんなんかだと非常に扱いやすい音色じゃないかなと思います。
勿論シグネイチャーPUだけあって、ガンズと言うかスラッシュのあの感じも出ますよ。

少し話は変わって因みにこの楽器、どうもこのプレーク(PLAK)マシーンを使って最終調整をしているというパンフレットがハードケースに入っていました。

このマシンはどういった物かと言うと、弦を張った完成品の状態で、このマシーンのオペレーションルームにセットし、ネック・フレット・ナット・ブリッジのコンディションをスキャンして数値化し、フレットおよびネックの僅かな歪を精密に切削する事が出来る、なんというか有機的なNCルーターの様な機械です。



私は実物をアメリカと日本の有るメーカー現場では見ましたが、実際には触った事もありません。どうもオペレーションその物が非常に難しい様ですが、ギブソン等大メーカー等には導入している所も増えている様でして、大体一台一千万ぐらいするんだそうです。儲かったらうちもぜひ欲しいなあとは思ってますが、まあ当分は無理ですね。。

と言った所で本日はここまで。

大阪府T様ご依頼有難うございました。
引き続きのご愛顧のほど宜しくお願い致します。
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2014年07月14日

トーカイストラトキャスターミッドブースター搭載とノイズ対策の話

今回のご依頼は神奈川県S様からのご依頼で、トーカイ製ストラトキャスターモデルのPU交換及びミッドブースター搭載作業を行いました。

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こんな感じのギターです。
安価なモデルとお客様はおっしゃられてましたが、とは言えそこは流石国内産。ちゃんと作るべき所はきっちりされてました。良質なモデルかとは思いますが。。

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国産モデルはどうにも電気パーツが駄目になりやすい物が使われていたり、なんか大事な帯域がスコンと抜けたPUが載っている事が多いのが残念ですね。。まあPUの音に関しては感性の問題なので、好きな人は好きかもって話ですが。

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で、今回はPU交換と言う事でお客様指定により手配したPUがコレ。フェンダーヴィンテージノイズレスですね。
物凄いパワフルなPUなのにノイズが少なくて、私個人的には非常にお気に入りのモデルです。今回はこれにミッドブースターを組み込むと言う指定の作業でした。

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早速ばらして各部フィッティングの具合を見て行くと、、どうにもPUキャビティーが浅すぎて今回のPUが載せられません。じゃあ掘るかって感じでざっと切削加工した後の絵が右の写真です。

加工中の画像は結局撮り忘れてしまいました。まあ早い話が、木工用ルーターで必要サイズ掘り下げたと言う事。このフェンダーノイズレス系は本体に結構な厚み(高さ)が有る為、国産ストラトに限って言ってもポン付け出来ない事が多い様に感じます。

その後、むき出しの木部にシーラー(目止)を打ってから、外来ノイズ防止用の導電性塗料を散布します。このBLOGには沢山この作業が出てくる割にはあまり説明を書いた記憶が無いので、これが塗られていると一体どういう効果が有るのか簡単な説明を。(時折ご質問も頂きますし)

現代の様々なエレキギターが使われるシーンでは、空間中に様々なノイズの元になる電波や電磁波が存在します。幾つかの例を挙げると、携帯電話の電波や蛍光灯、エアコンやPCの電源ファン等々。これらの電磁ノイズがPUや楽器内部の信号線を直撃し、アンプによって増幅されて音として出現するのが「ノイズ」です。ギタリストにはお馴染みの「ジー」とか「ビー」とか言う音ですね。

これらの電磁波ノイズはエレキギターが開発された50年代には殆ど存在しなかった物ばかりでした。その為、あまりノイズ対策をなされておらず、今でも開発当時の構造をあくまで再現しているモデルは欠点をも引き継いでしまっています。(その点ギブソンのセスラバーさんは偉い!50年代の後期にはこの電磁波ノイズを遮断するシステムを開発した訳ですから。その製品の名前がお馴染みのハムバッカーと言います。)

では外来ノイズを防ぐためにはどうしたらよいのか?と言う研究は随分昔から進められており、紆余曲折を経て「キャビティー等へアースに繋がった金属ボックスを埋め込んだり、又は金属箔を使用して、シールドボックスを形成し、防御壁として信号線を閉じ込めて、外来ノイズの侵入を防ぐ」という解決法が編み出されました。

正確にはどなたが一番最初に導電性塗料を使って始めたのかは存じ上げませんが、加工等の容易さと、かなりの効果が有った為、この塗料を使った手法は画期的なノイズ対策法の決定打となり世の中に広まって行きました。今やハイエンドなギターでこの処理が施されていない物は皆無です。

但し、効果が有れば副作用もありまして、ノイズが減ると言う事は、若干高域のキラキラした音色の部分をスポイルしてしまう為、その辺はまた別の工夫が必要になります。

簡単な説明ですが、実際の作業はと言うと、、、
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こんな風にマスキングをして、導電性塗料を筆で塗布していきます。
この塗膜を正しくアースに接続してやる事で、信号線を全てアースボックスによって囲ってしまう訳ですね。

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ピックガード裏にはアースボックスの蓋の機能として、アルミシートを貼り、アッセンブリーを全て組み込みます。ここに塗料を使うとPGが歪んでしまう恐れが有りますのでアルミシートを使用します。

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ミッドブースターはいつも通りこんな感じ。今回はブースターのバイパススイッチをトーンポットに同梱させました。これによりパッシブでも使用可能です。

ここまで作業すれば、後は型通りの組込と調整ですね。

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今回ナットの状態が芳しく無かった為、溝と外形を調整しました。

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その他調整にあたり、ネックポケットに残っていた生産時のマスキングテープの粘着と思しき汚れを掃除し、平面に調整し直しました。これやっておくと結構ご機嫌な鳴りに変化するので、個人的には手を入れる事の多い場所です。

組み込んで調整したら。。
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完成です。
バッテリーボックスはお馴染みの場所へ取り付けてあります。

こんな感じで作業が終了しました。

ミッドブーストの掛り具合や鳴りに関しても、中々ご機嫌なドライブサウンドが得られました。マスタートーンのスイッチポットでブースターをオフれば、パッシブサウンドも出力できますので、色んなシーンで活躍できる一本に仕上がりました。

ざっと作業を一連の記事に仕立ててみましたが、如何だったでしょうか。

ご興味のある方は一度是非ご連絡を頂ければ幸いです。

神奈川県S様ご依頼ありがとうございました。
またのご愛顧お待ちしております。
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2014年07月10日

ギブソンカスタムショップレスポールのPU交換作業や色々

今回は大阪府のT様からのご依頼でギブソンカスタムショップ製レスポールのPU交換作業を行いました。

お預かりしたレスポールはどんな物かと言うと、、
IMG_3322_R.JPG
本当に凄い杢の入ったメイプルトップですね。真っ当に行って販売価格は幾らの楽器だったんでしょうか。
良質な木材が使われている所謂プレミアムグレードな個体でした。

今回の依頼PU前後交換とヴォリュームポットの交換です。
そこに至るまでの経緯は次の通り。

レスポールのスタンダードなコントロール回路には500KΩのVOPOTが使用されていますが、この使用部材である所のCTSのポットは、ノブ的にはVOゼロの際でも、内部の残留抵抗(数Ω〜50Ω程度)が大きく残っていて、音量がゼロにならない事が有ります。

特にこれが問題として表れる顕著な例が、レスポールのスタンダード回路で、PUセレクターをハーフトーンポジションで片方のVOを絞って有る場合のみ音が漏れると言う症状です。

これは単純に2系統ある内、ゼロのVOPOTに残留抵抗が有る為で、ハーフトーンの際、もう1系統のVOPOTの抵抗が合成抵抗として加算されてしまい、信号ラインから見た回路上、信号が残留抵抗分アースから浮いてしまう為に起こる現象です。
気になる方は合成抵抗の計算等をしてみて下さい。残留抵抗が50Ωもあると結構な合成抵抗値が出ます。。

又、プレーヤーの方で音漏れが気になる方はぜひ交換を!

これらを回避する為には残留抵抗が無いVOPOTを使用するか、配線を改造するしか手は有りません。
今回はあくまでレスポールの基本回路を再現すると言う要望でしたので、当然選択肢としては前者を選択する事になります。
そもギブソンが最初からちゃんと選別したVOPOTを使っていればこんなことにはならない訳で。。。

まあそんなこんなで手配したロングシャフトのVOPOTなのですが、やはり同じくCTS製を選択しました。
IMG_3364_R.JPG
なんだかんだ言っても耐久性は非常に高い事と、残留抵抗さえなければ間違いのない電気部材ですのでね。
私は過去の経験からあまり好きではないのですが、エレキ業界と言えばコレと言うぐらいスタンダードな物なのでどうしても外す訳にはいきません。

次はPUに特殊な加工を施します。
IMG_3332_R.JPG
今回載せ替えるのはコレ。今やダンカンのスタンダードですね。

これを有る特殊な作業をし、調整してから楽器にマウントします。
IMG_3334_R.JPG
こんな感じですね。電気分解だとか、イオンだとか何だとか書き始めるとキリが無いので、何やってるかは企業秘密と言う事で。

IMG_3335_R.JPG
で色々各部調整やらエイジド加工やらを行って。。PUは完成。

IMG_3336_R.JPG
楽器側はシールディング加工を施し、回路配線もプリビルドしてから仕込みます。

IMG_3367_R.JPG
今回使ったコンデンサは私のお気に入りのオレンジドロップのとある品番のものですし、トーンポットにもバイパス出来るフルトーンをストックの物を加工して仕込みました。これだけでももうぜんぜん別物です。

IMG_3369_R.JPG
次はナット交換をして、、、、

IMG_3370_R.JPG
ブランクの牛骨材から削り出します。これがまた5年物のオイルボーンでとうとう5年物のストックが尽きました。まあ都度都度仕込んでますんで在庫は問題ありませんが。

で交換後のアップ写真が無いのですが、様々な所を調整して、、
IMG_3383_R.JPG
完成です!

完成後、弾いてみましたが無茶苦茶カッコいいレスポール然とした音が出てまして、これならジャズでもサザンロックもハードロックも何ら問題無くイケる感じでした。
面構えも良いですしね。

と言った様な所で本日はここまで。

大阪府T様
ご用命有難うございました。またのご愛顧お待ちしております。
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2014年05月31日

グレコサンダーバードボディー割れ修理と膠(にかわ)の話

今回の記事はグレコのサンダーバードの修理について面白い症状の物だったので記事にして残しておきます。

東京でガレージノイズバンドをやっているO氏より、「メインで使ってるベースのボディーが割れてるかもしんないから、ちょっとメンテナンスがてら見て」ってて言う連絡が入ったのが始まり。

サンダーバードとかファイヤーバードって、材質的にも構造的にも、確かにボディーの接ぎの部分が割れやすいよなー等とはおもうのですが。
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実機を見たらこれこの通り。スタッドとブリッジ、メタルエスカッションとピックアップとで、辛うじて繋がっている状態でした。
IMG_3388.JPG
当然外すとバラバラに。

別角度から
IMG_3390.JPG

まー見事に割れ(と言うか接ぎの部分の剥がれ)てますね。

取り敢えず養生をして接着準備に入ります。
IMG_3391.JPG

IMG_3392.JPG
これ、木部がダメージによって割れたのではなく、生産当時に使われた接着剤の劣化が原因ではと疑われる症状です。

と言うのも破断面を触ってみると接着剤が全面泡立ったような状態になっており、明らかな接着層の劣化が疑われる状態でした。生産当時に使われた接着剤は匂い等から判断して、恐らく膠系の物が使われており、又、ホルマリンが添加されている物とみられ、その添加量が多すぎた為か、経年変化で接着層が破壊されてしまったと推測できます。

そも、膠(にかわ)とは何か?
動物の臓物や魚の皮など、所謂動物性たんぱく質を煮出して作る、伝統的な接着剤の一つで、5000年前にはすでに使用された例が有る事を示す壁画などの資料が残っているそうで、古くはエジプトの壁画などにも使用されている事で有名です。
またこれらの発展的な製品として身近な物では、、、精製された物が食品用のゼラチンとして使用されている為、一般的なゼリーなどの食品として口に入っている物でも有ります。その他ではオブラートなんかも有名な使用例ですね。

では、膠にホルマリンをなぜ添加するのかと言う話ですが、一般的な膠として売られている三千本等の膠製品は固形物として販売されています。

これを使用の為に水やお湯で溶いた膠溶液はたんぱく質のゲル状に濃度調整をしてから使用するのですが、この材質上、細菌が繁殖しやすい培養基のような物ですので、空気中や溶いた水、そも自己が持っている細菌により、腐敗及び品質及び接着強度が変質しやすいのが特徴となり、これが膠が使いにくいと言われる所以です。これを避ける為に、石炭酸などの殺菌剤、防腐剤等を僅かに膠溶液に添加する事があり、その防腐添加材が楽器業界では「ホルマリン」が良く使用されるという訳です。また、接着作業以降でも、木材が湿気を発したり、接着層が湿気を被って、膠が緩んだ際の腐敗を防ぐ意味もあります。

しかしながらホルマリンは水溶性の添加剤でしか有りませんので、自身には接着力を高める能力はなく、あくまで溶液使用中の接着剤の変質を防ぐ一つの成分でしか有りません。つまり添加しすぎると、薄めた接着剤を使っているのと同じ事になる訳ですね。またホルマリンその物が変質した際に、接着層を破壊してしまうという側面もあるようです。

今回のボディー割れの原因はこう言った事が原因の一つで接着面が緩んだ所に何らかの衝撃が加わり、接着層が剥離してしまったのではないかと推測できます。

楽器の世界は膠が高級で、それ以外は駄目だと仰られる方もいらっしゃいますが、使用用途と使い方次第かなと私は考えておりますが、例えば将来的に修理する必要が生じやすいアコースティック系楽器のネックジョイント/表板/ブリッジ周辺部分は水で溶ける膠を使うべきですし、今回の例では、将来的にも絶対に割れて欲しくない個所の修理ですから、勿論エマルジョン系の接着剤を使用すべきとの結論です。

昔、お世話になった方で、オーストリアのクラシックギターの製作家の方とお話しさせて頂いた事が有るのですが、その方は「接着剤には膠を使うんだけれども、所謂三千本と言った非精製製品ではなく、食品用の精製ゼラチンを使うのだ。また防腐剤にはホルマリンではなく石炭酸を使うし、濃度と鮮度には非常に気を使う」と仰られていました。これが一つの製作家の考え方。

私個人は、基本的に後の修理のし易さと、剥がれて欲しくない部位と音色の兼ね合いを見た上、バランスを取ることが重要であると言う結論の為、この部位には絶対コレという使い方はしない感じです。これも一つの考え方。

また、懇意にさせて頂いているとあるリペアマンの方には、絶対に膠は使わない。と言いきる方もおられます。やっぱりこれも一つの考え方。

それぞれ製作家の考え方は様々ですが、ヴァイオリン属やクラシック/フォークギター属、ウクレレ属といった軽量且つ、各部材を接着で構成する部位の多い物、弦振動を音色に変換する響板が薄い物は、音色の何パーセントかを占めるファクターとして、接着材単体の硬度も寄与していると考えられます。

結果/現象に対し、何をどう自分の考えの主軸に置くかと言ったところでしょうか。

とまあ接着剤の話を長々としても仕方ありませんので実際の接着作業へ。

上記の考えの中から選択肢として、今後もう剥がれて欲しくない部位の修理ですので、今回はフランクリン社から発売されているタイトボンド(エマルジョン系)を使用します。
IMG_3396.JPG
楽器修理製作の世界や家具の世界ではお馴染みの接着剤ですね。
これは一般的に日本で有名な白い木工用ボンドに比べて、硬化後の硬度が高く、ソリッドな伝達効率を持つと考えられます。もし両方お持ちの方が居れば、割りばしの表面にでも双方塗ってみて下さい。乾いた後、ガラスコップをその割りばしで叩いてみたら各々音色の違いが良く解ります。良い/悪いではないですが。

IMG_3395.JPG
これを接着面を整えてから両面に塗布し、接着します。。。
が、接着中の画像を撮り忘れてしまいました。滅多に見れない様な画でしたが勿体ない話。。

で、
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接着のち割れた部分を、面相筆にて部分着色し、シーラーとラッカークリアを盛り付けて・・・

IMG_3398.JPG
表面研磨。

IMG_3403.JPG IMG_3407.JPG

組み込んだら完成です。

IMG_3404.JPG

今回は部分塗装に留まりましたが、破断部分はそれほど違和感なく、よく見たら解る程度にまで修復できました。

こんな所で修理と調整完了です。

で、オーナーのO氏はNOISE A GO GO'Sと言うバンドをやっており、ノイズ&ハードコアパンクなバンドの方です。

O様 ご依頼ありがとうございました。またのご愛顧をお待ちしております。
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2014年01月26日

Epiphone by Gibson TAK MATSUMOTO SIGNATURE DC STANDARD 総メンテ

今回の記事は掲題通りエピフォンのTAK松本モデルのメンテナンスになります。
ご依頼主は私の古い友人でもあり、富山の管楽器工房を経営する高木君からのご依頼でした。
彼は古くからのB'Zファンでして、僕もそれを知ってはいましたが、まさかエピフォンとは言えシグネイチャ−を買うとは。
と言った所で、今回のメニューは以下の通り

1:フレットすり合わせ
2:ナット交換
3:ブリッジ交換
4:テールピース交換
5:PUスイッチ以外全て電装系交換

と言った様な所が今回のメニューです。

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中国青島ファクトリー製ですが、各部見ると中々良い造形をしていると思います。
おっと、うちの社長のカエル子さんが。
因みにカエル社長は作業場でふんぞり返っている、うちの癒しキャラでして、
たまにBLOGに載せてあげよう/若しくはこいつが喋ったら面白いな等と思ったりしてます。
BLOG内でカエル社長を見たで1割引き!とかやっても面白いかもしれませんね。

そんな事はさて置き、各部をチェックしながら部品を一旦全て取り外します。
IMG_2589_R.JPG IMG_2600_R.JPG
今回はフレットのすり合わせですがセットネック物なので、取り回し上、ボディー全体を養生します。

又この作業と並行して、ネックの状態を確認しておきます。
IMG_2594_R.JPG IMG_2601_R.JPG

で今回触って、へぇーと思った事が。
それはこのネック、ダブルアクショントラスロッドが使われておりまして、順反りと逆反りの両方に対応出来るロッドが仕込まれておりました。つまりプアでよく動くネック材でもある程度の動きには追随出来ると言う事。正しく仕込まれてさえいれば、ある種物凄く楽器を長持ちさせる事が出来る可能性を秘めたネックとも言えます。

又、触った感触及び使うレンチの種類から類推すると、、、
http://www.stewmac.com/shop/Truss_rods/Adjustable_truss_rods/Hex_Nut_Hot_Rod_Truss_Rod.html?tab=Pictures
おそらくこのトラスロッドが使われている感じがします。製作家の方ならご存知かと思いますが、このロッドの調整範囲の広さ及び効き方はガチです。かなり強力に反りを修正できますので、ヴィンテージ仕様に拘らず、あくまでストレスフリーな道具としての楽器製作の依頼が有った際、私が製作する楽器はほぼこの種のロッドが採用されています。
欠点も無くはないのですが、、取り敢えずその話はまた別の機会に。

IMG_2604_R.JPG
後はいつも通りの作業です。
今回それ程フレット上面の高さの不揃いが発生していなかった為、フレットを削る分量も割合少なくて済みました。一回これで状態を整えてあげると、消耗するゾーンが温存されてますので長く使えるって事ですね。

次は電装系を見て行きます。
IMG_2560_R.JPG IMG_2559_R.JPG IMG_2566_R.JPG
こんな感じで所謂量産楽器としては至極普通の状態ですが、導電性塗料の塗り斑が有ったり、配線処理等、割と雑然としてますので、その辺も修正整理します。

IMG_2568_R.JPG IMG_2567_R.JPG IMG_2572_R.JPG
導電性塗料を塗り直した後、乾燥待ちの間に並行してサーキットを作っていきます。

IMG_2576_R.JPG IMG_2633_R.JPG
組み込んだらこんな感じですね。
今回はポットはCTS社製の物×3 パッシブトーンには在庫していたオイルコンデンサを使って仕上げ、配線材はここの所私が気に入って使っているとある会社の小容量シールドケーブルを使います。

配線処理を済ませた所で、次はナット交換。
IMG_2592_R.JPG
元は良く有るプラ素材のナットですが、取り付け方が良くないので、ローフレットでの弦高が非常に高く、Fのコードで音程を測ると、最大で音程が7セント程もシャープしてしまう代物でした。これは頂けないので溝切り調整をし直しても良いのですが、これを機会に交換してしまいます。

今回交換に使用するのはグラフテック社製のカーボン系素材のナットです。
この素材、色々広告では面白い事が書いてありますが、その特筆すべき点は素材自体が持っている潤滑性でしょうか。所謂平織り/綾織りのカーボン素材のナット材より柔らかくて加工がしやすく、潤滑性に富んでいる為、摩耗が少ないという利点もあります。その為、チューニングが安定しやすく、音色も上々なので近年は色んな方に好んで使われてます。

IMG_2631_R.JPG IMG_2646_R.JPG
今回は在庫の原材サイズから削り出し、完成させました。

ってな感じで弦を張って調整/検討/調整を行えば完成です。
IMG_2642_R.JPG IMG_2645_R.JPG

今回実は写真が無いのですが、精度があまり宜しくないオリジナルのブリッジ交換と同じくテールピース交換も同時に行っておりまして、結果的には木部とPUとペグ以外は全部私の手が入った状態と言う事になりますね。

弾いてみた感じ、成る程、これはこう言う音がする楽器なのか。と先ず膝を打つ様な音で、
PUがTAKモデルのバーストバッカーと言うのもあるのでしょうが、馴染みのある音色になりました。
レスポールとも少し違ういい感じに低域の抜けた歪みの乗りやすい音ですね。これ個人的には好きな音です。

又ポールピース毎の音量バランスもフロント/リア/全弦で取ってあるので、弾いた感じだとコード感が一発で固まって出てくるような音色に仕上げてます。

言葉で言うと。。。

前に飛ぶフロントPUによるリードトーン
クリーンではぞくぞくする綺麗なハーフトーン
リアではバランス良く歪みを刻める

そんなバランスで組み立ててあります。

高木君、ご依頼ありがとうございました。

彼は冒頭にも書きましたが、富山県で管楽器のリペア工房をやってます。
リペアスタジオ高木
もし管楽器の事でお困りの方がいらっしゃれば是非覗いてみて下さい。
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2013年05月23日

テレキャスターへのミッドブースター搭載

三重県K様より2本目の楽器内蔵型MID BOOSTER搭載加工のご用命を頂戴しました。
こちらワーモス社製の部材を使ってとても丁寧に製作された事が伝わってくる逸品です。

IMG_1783_R.jpg IMG_1784_R.jpg

ケース開けた瞬間に「アンティグアカラーって珍しい!」とひとりで呟く程、珍しいフィニッシュでした。しかもリア1PUって言うのが又大変男らしい仕様でもあります。

今回も私共のオンボードタイプミッドブースターを追加するのですが、フロントPUスペースに電池を納める仕様としました。

IMG_1795_R.jpg IMG_1797_R.jpg IMG_1798_R.jpg

その外形は9Vバッテリーはほぼピッタリが嵌るのですが、深さが当然浅く、そのままでは当然電池は収まりませんので、必要な分だけキャビティーを掘り下げ加工を行います。

作業途中の画像はないのですが、真ん中の画像が既に掘り下げた後ですね。キャビティーの壁面を利用してそのまま綺麗に掘り下げ、電池が収まるように加工を行います。

IMG_1799_R.jpg
当然その後、フロントPU部分にも導電性塗料を散布。ノイズ対策もきっちり行います。

IMG_1785_R.jpg IMG_1800_R.jpg IMG_1801_R.jpg
そしてミッドブースターをマスタートーン位置に組み込んで調整に調整を重ねたら。。。

IMG_1802_R.jpg IMG_1803_R.jpg

完成です!

今回のスイッチングレイアウトでは、3WAYスイッチでフラット/ミッドブースト/キルスイッチの組み合わせになりますので1PUでもかなり多彩な音が作れます。又クラプトンモデルのミッドブースターの様な歪感が増えて行くタイプの音色ではなく、パライコの様な効き方をする回路ですし、ブーストゼロならインピーダンス変換プリアンプとして非常に優秀ですので、ノイズにも大変強くなります。その為か、ツボに嵌る方は大変長らくご愛顧頂いておりまして、有難い話です。

もし気になった方はメールだけでも頂ければ幸いです。冷やかし歓迎!

K様ご依頼ありがとうございました。
またのご用命とご愛顧の程お待ち申し上げております。
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2013年05月16日

E社ストラトコピーモデルの改修

今回はベーシックなストラトの改修作業をさせて頂きました。

IMG_1728_R.jpg IMG_1730_R.jpg IMG_1732_R.jpg

過去にE社が発売していたストラトで、かなりベーシックなモデルにハードレリックが施されている状態の物でした。オーナーのT様は何年か前に手に入れた物の、殆ど弾かなかったけれど、調整して弾けるようにしたいと言うご要望が有り、作業させて頂きました。

作業としては
@PU交換
Aトーンカット
B回路調整(多少太い音が出る様に)
Cノイズレス加工
Dペグの交換
Eナット交換
Fフレット磨り合わせ
G総調整

そんな所です。これらの作業は一般的に良く有る作業内容です。
この個体は非常に素材が良く出来ており、私個人的には一本買っても良いかもしれないと考えており、時折オークションなどをチェックしております。

IMG_1736_R.jpg IMG_1737_R.jpg

早速分解していきますと、ブリッジ取付穴がささくれ立っていたので、面取りビットで軽くビス穴を面取りしておきます。私の場合、再度組み込む際に塗装が割れたりするのが嫌だったり、諸般の理由からここに限らずビス穴と言うビス穴は基本全て面取りしていきます。

IMG_1738_R.jpg IMG_1739_R.jpg

次にボディー側キャビティーにマスキングを行いキャビティー内部へ導電性塗料を散布し、シールディング作業を行います。

IMG_1740_R.jpg IMG_1741_R.jpg 

次は配線周りですね。
このモデルは量産品としては大変美しい配線が施されておりまして、個人的にかなり評価点が高く、良いコンディションを保っておりました。又でデフォルトの状態でセイモアダンカン社のSSL-1が搭載されています。但し今回のオーナーさんは線の細さが気になった様で、ハードロック的な押し出しが強い物へ交換を望まれておりました。

今回オーナーさんがPU等ご支給下さったセイモアダンカン社のSSL-3へフロントリア共に交換し、オリジナルと同じように美しい配線になる様に仕上げます。トーンカットの上、ボリュームポットは問題有りませんでしたので再利用しました。

この後、方法は申し上げられませんが、定数を調整して高域のギラつきを無くし比較的落ち着いたトーンを狙って回路セッティングを仕上げました。ご興味が有る方はメールにてお問い合わせください。

IMG_1771_R.jpg

次にネックですが、フレットが一部浮き上がっていたり、指板サイドから飛び出しており、磨り合わせ研磨調整を行いました。この作業の意義/効果/必要性は過去に何度も記事にしておりますのでお馴染みかと思います。良ければ過去ログもいくつか読んでみて下さい。

IMG_1747_R.jpg IMG_1770_R.jpg IMG_1769_R.jpg

その後ナット交換作業を行います。元々のナットはナット溝が広く弦が暴れやすい状態になっておりましたので、こちらへ入庫後、診断の結果交換する事になりました。今回も5年物のオイル漬け牛骨を使っておりまして、非常に弦の滑りが良い状態となっておりチューニングの安定性に一役買っています。この作業ももうお馴染みですね。

完成するとこんな感じです。
IMG_1777_R.jpg
レリック系のフィニッシュに合わせて、しっとりとした半艶程度の表面処理に仕上げてあります。

その後、ペグをゴトー製ロックペグに交換したのですが、画像を撮り忘れていました。

次にブリッジ等も組み込み、電気系、振動系の調整を終えたら完成です。

IMG_1776_R.jpg

画像上、見た目は最初の状態を変わりませんが、振動系やアンプからの出音等のレスポンスはかなり向上しました。PUの交換による楽器自体の出力アップやノイズレス化、定数調整等も複合的に功を奏しているので、かなりのハイゲイントーンでもノイジーにならず、輪郭もきっちり出せる状態まで持ち込みました。

参考音源的に一番近いなと思ったのはこんな感じですね。

圧縮音源ですので、あくまで近いと言う意味ですが、、

そんな所で今回記事は終了です

T様ご依頼ありがとうございました。
またのご用命とご愛顧の程お待ち申し上げております。


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2013年05月12日

フェンダージャパン ジャガー改修

今回は最近書いていたジャクソンとは対極にあるプロダクトのギターで、フェンダージャパンのジャガーを改修させて頂きました。

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今回のメニューは以下の通り
@フレットの減りに対しての磨り合わせ
Aチューニングの安定化の為のブリッジ交換
Bナット交換
C電装系殆ど駄目だった為PUも含めてオールリプレス

よく有る作業内容では有りますが、ご紹介させて頂きます。

ジャガー/ジャスマスターに搭載されているフローティングトレモロなんですが、これ、アームタッチ等好きな人は好きですが(マイブラディーバレンタインファンの人とか)、チューニングが安定し難い為、使うのが難しいトレモロでも有ります。

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これにしか出せないタッチニュアンスは確かに有るのですが、なんだかんだ言っても使わない人の方が多いかなと。

マイブラと言えばコレですかね。轟音系ファズギターとか。

私は大好きですが。

どっかの外人さんの試奏動画

そうそう、素だとこんな音って感じ。

このトレモロには実はトレモロロックの機能が付いていて、その機能を使えばユニットを全く動かなくすることも可能です。
今回はチューニングの安定って事で、トレモロの動きを完全にロックしてしまうセッティングに直しました。と言っても、ドライバー一本で出来るので画像等が残ってないのですが。

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このブリッジって、固定式じゃないのはオーナーさんにはお馴染みかもしれませんが、アームの動きに連動してヤジロベーみたいに前後に動くようになっています。またそのブリッジの動きの範疇を超えてブリッジサドル上を弦が滑って行く為、チューニングの中立点が保ちにくく、極めてチューニングが狂いやすい構造となっています。写真が少なくて中々伝わらないかもしれませんが。

サクッと分解した所。オーナーさんの手によってブリッジスタッドの中にティッシュが詰めてあり、ブリッジが動きにくくなるように加工してありました。

今回の依頼ではブリッジをレスポール等に使われるチューン・O・マティックに交換するのが目的ですので、スタッドも慎重に抜いてしまいます。

今回用意したブリッジは後藤ガット製のブリッジでナッシュビルタイプのスタッド有りの物です。
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このブリッジは安価ですがチューニングの安定性が良く、調整幅が広いのも特徴です。
このスタッドは実はジャガーのオリジナルの物にはサイズ上合わないので、スタッド穴を一旦埋め戻して、再度開け直します。
作業の詳しい内容は随分昔の記事になりますが、履歴が有りますので、こちらをご参照ください。
http://repairtech.seesaa.net/article/19345031.html
実の所、今回の分は写真を撮り忘れています。
又、このブリッジを使用する場合、ネックの仕込み角度が足りなくなる場合が多く、弦高とブリッジ部のテンションを稼ぐ必要が有ります。この個体もそれに該当しましたので、ネックポケットの加工し、約1度ネックの仕込み角度を上げました。

その他、ジャガーの場合、某社のテンションバーを増設しているケースも見受けられますが、個人的にはアレを使わずにテンションコントロールをして仕上げる方が、音はジャガーらしさが残ると感じています。今回のご依頼の方向から行くと、テンションバーは付けない方がベターで有ると判断しネック角度を起こしました。

次に電装系も全て引き直し、PU交換もご用命の内でしたので、再利用できない部品は全て手配して交換していきます。
今回で有ればPUセレクタースイッチ及びローカットスイッチ VOポット等ですね。

まずは外部ノイズ対策で生産時から塗られてある導電性塗料が不完全な為、重ね塗りでキャビティーを完全にアースに落とせるように加工します。
IMG_1527_R.BMP
導電性塗料を散布してから、卵ラグをキャビティーにビス止めしアース用配線を這わせます。
このとき使う配線はかなり良質な物某社の物を使用しています。そうしないと又ノイズが出てしまう事も有りますので。

そして電装系をパーツを交換していきます。
IMG_1542_R.BMP IMG_1543_R.BMP
今回は6弦側のプリセットコントロールは使用しない為、ダミー配線状態で信号は送りません。

IMG_1550_R.BMP IMG_1544_R.BMP
今回スイッチ/ポットコンデンサ/ジャックは良質なアメリカ製を使用し、再配線を行いました。
この状態でも電気楽器としては随分状態が回復したかなと思います。

そして今回最もお金が掛っているという面ではPUでしょうか。
IMG_1545_R.BMP IMG_1548_R.BMP
セイモアダンカン社のジャガーシリーズHOTを使用して組み込んでいきます。
ただこのPU、カバー、ヨーク等は標準では付属しない為、オリジナルの物を再利用しました。
音はと言うと、ハイパワー版と言う事も有って、かなり出力高めでからっとした音がポイントです。
コレ結構私個人的には好な音がしまして、自分のストラトのフロントにヨーク無しで使っていたりします。

並行して、ネックですが、フレットがずいぶん減っておりましたのですり合わせを行います。

IMG_1535_R.BMP IMG_1536_R.BMP
本来であれば一部だけでも打ち変えるレベルまで減っているのですが、こればっかりは予算が有りますので、今回は擦り合わせで対応しました。この楽器では次回のフレット消耗時は完全に打ち変えとなります。また、写真は無いですが、ナットはこの後交換しております。

そんな一連の作業を終了させたら組み込んで。。。

IMG_1576_R.BMP IMG_1577_R.BMP IMG_1579_R.BMP

作業終了です。

結構写真を撮ってるようで撮れていない為、伝わり難い所が多くなってしまいました。

S様ご依頼ありがとうございました。
またのご用命とご愛顧の程お待ち申し上げております。
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2013年05月06日

Jackson guitars of yesteryear

今回も引き続きジャクソン系ギターの電装系改修事例をご紹介します。
ご依頼頂きましたのはアレキシライホっぽいジャクソンランディーローズVモデルでして、恐らく近年生産されたモデルではないかと推察されるのですが、正確な製造年は不明です。
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アレキシライホ本人が使っていたジャクソンは盗まれたとかなんとか。その後ESPとエンドースメント契約をしていているので、何となく最近はジャクソンではなくESPのイメージが強いですが。

今回のご依頼内容で一体何を行うかと言うと、現状のEMGワンハムから、ジャクソンの古いPUでJ-50BCとゲインブーストプリアンプのJE-1000へ電装系一新するという作業でした。

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部品関係はお客様がご手配されたのですが、やはり古い部品は大体色んな所に不具合が生じていたりしますので、それの改修も合わせて行います。

IMG_1967.JPG
で、今回取り付けるPUはEMGより一回り大きく、楽器側そのままでは取り付けが不可な為、PUキャビティーの拡張加工が必要です。ジャクソンは専用カバーからエスカッションまで自前で金型を起こしていた訳で、景気が良かったころとは言え、まあほんとに物凄いなと思っちゃいますね。

今回の電装系レイアウトは以下の通り。
1:マスターボリューム
2:マスタートーン(アクティブ回路後段)
3:キルスイッチ
4:ブーストオンオフスイッチ

この辺りからほとんど現物合わせになるのですが、ボディーに直接マスキングテープを張って罫書/位置決めを行います。
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そんな所で、PUキャビティーの拡張作業を行い、各部コントロールの増設穴を開けたら終了です。今回はジャクソンPU専用の拡張治具を製作しました。

その他、キルスイッチをオリジナルの回路に追加と言う依頼も有った為、その加工も済ませます。

キルスイッチ(KILL SWITCH)ってなんですか?という説明も軽く。

IMG_2011.JPG
このスイッチはどういう物かと言うと、プッシュボタンを押している間だけ信号を切断してしまう効果が有り、所謂モーメンタリ/プッシュオフと呼ばれるスイッチです。これはあまり楽器屋さんの筋では手に入らない部品ですね。

このスイッチは色んな使い方が有るのですが、一世を風靡した使い方があって、

15年ぐらい前は、この機能のスイッチを付けて欲しいと言う依頼が沢山有った様に記憶しています。
(形状はどうであれ色んなスイッチで対応可能です。今回のはその一例)
この動画の0:01〜0:35秒と3:43〜3:58秒辺り、ギターのトムモレロが一弦側カッタウェイに有るPUセレクター/3WAYトグルスイッチを連射切り替えをしているのですが、このスイッチの場合はセレクターがセンターの時は信号がオフになるように配線されています。その為音を出しながら連続切り替えを行うと、トレモロっぽかったり、DJのスクラッチ効果や、アーム/ワウと絡め喋るギター的な使い方等、色々な使い方ができると言う事で当時一部で大変に流行した気がします。

他にもまだまだ色々使い道があるかもしれませんので、何かギミックっぽい手法をお探しの方は使ってみては?と言った感じの機能です。最近またちょっと流行りの兆しが有るのかな?と思う様なご依頼が続いておりますので、もし宜しければご相談下さい。

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キャビティーに導電性塗料を塗りシールディングを行った後、各部を修復したJE-1000をワイヤリングして行きます。トーンはあくまでアクティブ回路の後段に付くようにオリジナル通り設置。コンデンサ等は新しくオーディオ用途の良質な物に交換してあります。

そしてPUをキャビティーに収めてビス止めし、弦を張って調整したら完成です。

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こんな感じで往年のジャクソンギターの回路を搭載したランディーVの完成です。

このプリアンプのJE-1000は結構根強い人気が有る様で、海外のその手の掲示板巡りをすると、結構熱い情報が出回っていたりします。日本ではオークションなんかでジャンク部品として見かける事が多いですが状態が良い物が少ない感じです。

あ、後キャビティー背面から設定する様になっているプリセットディップスイッチとゲインですが、これは多少手ごわいなあと言う感じがしまして、使うエフェクターやアンプによって随分違ってくるので、その都度裏蓋を開けるのはめんどくさい。そんな感じです。仕掛けとしてはただ単に高域のカットスイッチなんですけどね。ESPが販売しているアレキシライホシグネイチャープリアンプなんかは恐らくこれを下敷きにした物だろうと推測しています。

http://www.espguitars.co.jp/parts/mm-04.html

肝心の音はもうご機嫌なディストーションサウンドが出まして、アンプ類をきっちり調整すれば恐らく良い感じのメタルサウンドが作れるはずです

例によって参考音源はどこかの外人さんですが、確かにこんな感じの音でした。


T様ご依頼ありがとうございました。
またのご用命とご愛顧の程お待ち申し上げております。
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2013年05月05日

80年代シャーベルの再配線作業

前回に続、同じくJE-1200が搭載されたシャーベルソロイストモデルの電装系改修作業を担当させて頂きました。
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これはお客様が所謂ジャンク品と言う事で素材を入手され、リフレット等をお客様ご自身が行われた個体でした。

そういった作業は出来るのですが、電気系となるともう手がつけられないとの事で、私共で電装系再配線/改修をさせて頂く運びとなった次第です。

元々付いていた回路がこんな感じで、年代を感じさせる佇まいですね。。
IMG_1942.JPG 殆ど駄目になっていると言った状態です。

で、懸案のJE-1200の回路部はこんな感じです。
IMG_1945.JPG
この回路、私のBLOGで過去にも取り上げた為、お陰さまで今まで沢山触らせていただく機会が有りました。
生産時期によってでちょっとづつマイナーチェンジしている部分が有ったりして、なかなかメーカーの歴史を感じさせる部分が又個人的には良かったりします。
どこがどう変わってるかって言うと、変更の時期は解りませんが大きな所ではガラスエポキシ基板から、紙フェノール基板に変わったりしてますね。多分アメリカ製と日本製なんて違いもあったりしたんじゃないかと思います。
チェックしてみると、やはりと言うかなんと言うか、製造から何年も経っているので当然の様に調子を崩していました。今回ですとブーストが正しく効かない事と、絶望的に音量が低い事でしょうか。
今回も駄目になっている電解コンデンサ等、基板上の部品を交換しますと、ちゃんと生き返りました。

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これは余談
これはあくまで思った事止まりですが、JE-1200/1000/1500等は時代に埋もれさせるにはちょいと惜しい回路でも有ります。現在お持ちの方で調子を崩している物をお持ちの方のみ対象にサードパーティーとして基板やパーツセットを提供しても良いかなと思ったりしています。と言うのも本家ジャクソン(もうフェンダーですけどね。実生産工場は)ではもう既に生産は行われておりませんし、補修用部品として持っておきたい方もいらっしゃるかと。

但し回路配置利用権等の権利的な事に抵触する事が有ってはマズいですし、あくまでオリジナルの現物をお持ちの方に対してのみお譲りするとか。私の気が向いて且つ時間が有って、基板を起こして〜ってなると相当気が長い話ですが。(実際この回路は件の法規に抵触するのかどうかもこれから調べるぐらいの優先度が低い話)

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次はワイヤリングですね。

前回のソロイストと違う所は、レバースイッチが4回路5接点のいわゆるスーパースイッチが搭載されている点でしょうか。
当然今回もそのまま当時の仕様に倣って新品の物を使用します。
IMG_1947.JPG
このスイッチを使う事によって様々なPUコイルレイアウトが可能です。

今回のレイアウトは以下の通り(ストラトに倣う書き方では)
1:フロント位置 フロントPUの直列ハムバッカー
2:フロントセンターハーフトーン位置 フロントPUのネック側が生きるコイルタップ
3:センター位置 フロントPUネック側/リアPUネック側のハーフトーン
4:センターリアハーフトーン位置 リアPUネック側が生きるコイルタップ
5:リア位置 リアPUの直列ハムバッカー

今回はスーパースイッチでなければできない配線ではないのですが、今後の発展性も含めて使用と言った所でしょうか。

IMG_1946.JPG IMG_1948.JPG IMG_1949.JPG

PUも取り付け、きっちり配線しなおします。様々なスペース的な諸事情から、結構込み入った配線になってしまいました。後ノイズ対策で導電性塗料も散布して、裏パネルにも当初貼られていなかった高周波ノイズ対策用アルミシートを張りつけて、蓋をします。

そんな所で電装系は終了。

次は、ブリッジを取り付けて最終調整をしたら完了です。
IMG_1943.JPG
ケーラーの80S'物ですね。年代の割に綺麗で、ブリッジサドルのローラーも綺麗に回転しました。
最近になってケーラーブランドは復活したらしいですが、荒井貿易様扱いで輸入されておりますので、もし何かトラブルが有ってもユニットごと交換が今の所で有れば可能です。

http://www.ariaguitars.com/jp/02prod/04kahler/index.html

ルックスは随分違いますが、アーミングタッチ等のフィーリングは殆ど変りません。
但し、こう言った商材はいつ取り扱いが終わるか解りませんが。。。ケーラーブランド自体がどうなるかと言った所でしょうか。
私、個人的にはこのアーミングタッチが結構好きで、このブリッジを使いたいが為に自分用のギターを作ったりしてました。もう手元には無いのがさびしい所。

IMG_1952.JPG IMG_1954.JPG IMG_1955.JPG

そんな感じで最終調整まで終わったら完成です。やっぱりこのプリアンプとこのPUの組み合わせはツボに入るいい音してます。

資料的に挙げると、こんな音。ちょっとわかりにくいかも。。ですが、どっかの外人さんの動画。


K様ご依頼ありがとうございました。
またのご用命とご愛顧の程お待ち申し上げております。
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2013年05月01日

ジャクソンソロイストJE-1200電気系改修

又前回のブログ記事から時間が空いてしまってますが、今回は掲題通りジャクソンソロイストの電気系改修作業を担当させて頂きましたので、その内容を記事にしたいと思います。

今回作業するのは、ジャクソン社製JE-1200と言うミッドブースト機能付きプリアンプでして、とある資料から内容を紐解いてみますと、650HZを最大60dbブースト可能というプリアンプになります。この製品はファンの方が多いようでして、エレキギター用内蔵プリアンプとしては相当数の販売されたのではないかと想像されます。しかしながら生産から20年以上経っており、基板上の消耗部品が駄目になって調子を崩しているケースが目立ちまして、今回お預かりした楽器の回路もそういった諸般の都合から不調をきたしている状態の物でした。

楽器の全景から
IMG_1403.jpgIMG_1404.jpgIMG_1406.jpg
どうもリフィニッシュされている様ですが、非常にきれいなマジョーラ系パールホワイトで塗られていました。ジャクソン系のギターはこう言うペイントが映えるので、リフィニッシュされる方が多い様に思います。

さて懸案の回路チェックですが、、、
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リフィニッシュの際に再配線されているようですので、それほど問題となる様な所は有りませんでした。
これ、私はメーカに居たので解るのですが、楽器は生産時、「とにかく音が出れば良い」「プレ配線を以下に切らないで手早く配線するか」がポイントになっている為、無茶苦茶雑な配線がなされている可能性が高いです。特にアクティブ回路物は。

話は少し脱線しますが、エレキギターに於いてアクティブ回路が広まらない一つの理由として、「壊れやすい」「調子を崩しやすい」と言う物が有ります。それはプリアンプその物が原因よりも、それを取りまわす周辺配線の粗雑さによるトラブルが挙げられます。ですので、適切に配線処理された物はそんなに壊れる物ではありません。まあとは出音の好みどうこうですが。

次は早速、外した回路をチェックついでに、基板をある種の洗浄液に漬けて洗浄します。
そしたら出るわ出るわ。まっ茶色に変色したフラックスやそれに付着した埃等が物凄い事になっています。
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その後、基板上に乗っかっているICや電解コンデンサのチェックを行い、ヘタっている物は全て交換してしまいます。
今回の例でいきますと、電解コンデンサ総交換となりました。
また、洗い流したフラックスは再度散布しておきます。出来るだけ基板が酸化しないようにしたい所。

そして再度組み付けて完成。
IMG_1425.jpg

この回路はポット自体に基板が直取り付けできるような機構なのですが、今回の作業で随分基板側に痛みが見られましたので、基板直付けVOポットから切り離し、キャビティー内に基板を別取り付けする事にしました。こうしておけば、ポットだけの交換も容易に出来ますし、後に再配線の必要に駆られた際も作業が容易です。

こんな感じで作業は終了です。
やっぱり、JE-1200は色んな意味で名作ですね。これはアクティブ嫌いの人でも一回弾いてみると良いかも。です。
現存している物は大抵調子を崩しているようですが、そのまま取り外して捨てられたりするのは勿体ないなーと思いますので、音が出なくて困ってらっしゃる方や、気になる方は一度ご相談頂けると幸いです。

S様ご依頼ありがとうございました。
またのご用命お待ちしております。
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2013年01月28日

YAMAHA SBVノイズレス加工

今回も掲題通りYAMAHA SBVノイズレス加工作業を担当させていただきました。

このモデル、非常に愛好者の方が多く、変形モデルとしては一つの定番に近い所まで行った珍しいモデルではないかと思っております。
古くは60年代のエレキブーム時代に寺内タケシ氏の為に開発されたそうで、デザインに関しては諸説ありますが、今でも当時のモデルに関して熱心な研究家の方がいらっしゃるモデルですね。
デビュー後、30年間ほど絶版になっていた所、15年ぐらい前にまた寺内タケシ氏の為に完全リファインして発売されたと記憶しております。その流れからバリエーションモデルとして沢山の廉価版モデルなどが発売されるに至り、今回紹介するベースも発売されたようです。その中でも今回手掛けた物は近年製作された物となります。

Y様より承った時点で電装系パーツは全て取り除かれており、新たに組み込み、調整を行うのも今回の作業内容です。

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こんな感じで全くノイズ対策がされていない状態ですね。

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今回はお客様より部品を全てご支給頂きましたのでそれらを使用し組み込んでいきます。

これらのパーツはオールパーツ社やモントルー社など色んなパーツサプライヤーが有りますが、パッキンされているパーツその物ははっきり申し上げまして一緒です。パーツサプライヤーによって変わると言う事は有りません。検品選別はしている可能性は有りますが、あまりそういった話は聞いたこと有りませんね。ですので同じパーツで有れば、安いサプライヤーさんから買うのが一つのコツかもしれません。

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まずはこんな感じでいつもの導電性塗料を塗布し、アースにつながるように加工します。
この導電性塗料ですが、今は様々な製品が出ており、ユーザーさんが手に入れて塗布する事も可能です。ただその場合、必ず塗料自体がアースに落ちる様に施工しなければならない事と、信号が通る端子がキャビティーに触れない様に細心の注意を図って作業する必要が有ります。もしそれらの作業に不備が有った場合、ノイズが増える可能性や、そもピックガードを閉めたと同時に音が出なくなるなんて事もあり得ます。その辺りは基本的には経験と勘と言った様な所で細心の作業をしていきます。

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こんな感じで電装部品を組み込みます。この辺りはパッシブの良さが最大限発揮できるよう、ロスの無い配線を心掛けます。
又ピックガード裏には高周波用アルミシートを貼り込みます。このシート、性能は良いのですが、大変薄く、貼り込み作業が難しいのです。。その内他の部材に変更しようと現在各種部材を試験的に取り寄せていますが、、入手性が良く性能も良いと言った様な良い物に出会えておりません。

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アッセンブリを組み込み、弦を張って調整したら。。。

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無事完成です。ノイズに関してはほぼ無い状態にまで持ち込んでおります。
これは特殊なPUの所為か、これにしか出せない音が有り、大変魅力的な音色でした。
PUレイアウトから想像すると、一見PB系の音がしそうですが、それだけでもないなんとも別のテイストが入った独特の音色です。何よりフロントのプレシジョンPUが大変素晴らしく。。

Y様ご依頼ありがとうございました。
またのご用命お待ちしております。
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2013年01月27日

グヤトーン社製ビザールギターの改修

今回は掲題通り、K様のグヤトーン社製ビザールギターの改修を担当させて頂きました。
1960年代、エレキブームに乗っかって下駄屋もエレキギターを作ったと言われるそんな時代に生まれたグヤトーンのギターですね。
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日本のビザールギターに関しては詳しい方も沢山おいでですので、モデル考証等、ご存知の方は私に教えて頂きたい位、作業をしていて面白いギターでした

今回のメニューはブリッジの新規取り付け及びペグの交換、電装系のチェックでした。

残念な事に、ブリッジサドルが欠品しており弦が張れない状態でしたので、元の音がどんな音か定かでは有りません。その状態へゴトー社製のチューン・オー・マティックブリッジを取付、ペグもゴトー社製クルーソンタイプに交換と言う依頼でした。

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元の状態はこんな感じですね。

スイッチが沢山付いていて良く解りませんが、各PUのオンオフスイッチ及びローカットトーンスイッチ、プリセットボリュームと通常のボリューム/トーンと言った盛りだくさんな内容となっております。恐らくフェンダージャガー等を意識して作られたんじゃないかなーと言う仕様。またこの時代のギターの多くはピックガードが金属プレスの上にメッキされている様な物が多く見受けられます。50'Sのアメ車みたいで無茶苦茶カッコイイなあと感心してしまいました。

デザイン的には当時の世相や音楽の流行り/生産技術的には家電の生産技術の応用/楽器の理論と言う物が全くない状態で型を起こしたり/木工製品生産技術に関する点など、総合して出来たのがこういった極めてオリジナリティーの強いモデルだと思われます。恐らく当時はフェンダー社製のギターなどそうそう実物を見る事も出来ませんので、レコードジャケットの写真から想像力だけでエレキギターを作っていたと言われています。

それってすごい事だと思いませんか?買えないなら作れば良い/見た事ないけど大体こんなんじゃないかなあ?でプロダクトを起こしてビジネスが始まる辺り、戦後日本の技術者の底力を見た気がします

そんな諸先輩方に敬意を表しながら、使える楽器にする事が今回の作業です。

IMG_7858.JPG 
トレモロを分解してみました。まあ良くあるビグズビー/モズライトタイプと言った感じの押しバネで作動するタイプですね。きれいに磨いて組み込みます。

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スポンジがもう加水分解されてボロボロでした。

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またPU固定/調整ビス間のゴムチューブも完全に固着して用をなさない状態となっています。

これらはこうもう関するしか有りませんね。
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と言う事で、円錐ばねを用意して交換します。

IMG_7913.JPG IMG_7925.JPG
次は電装系ですね。作業方針は配線材交換し、きれいに引き直して完了です。
これらのビザールギター等の古いコンデンサは機能している限り極力交換はしないのが私の考え方です。理由は音色が変わると言う事もあるのですが、現在のE系の定数では存在しない数値のコンデンサが使われている事が有り、その存在だけでも大変貴重なのです。ですので、こう言ったギターの場合、私は極力コンデンサは交換しない様にしています。

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次はペグの交換作業です。
元のペグは非常に精度が悪く、ギアもかなり摩耗し、バックラッシュなども起きている状態でしたので、楽器として機能させるには交換は必須の条件でした。

IMG_7871.JPG IMG_7872.JPG

まずは全てのペグを外し、サビや潤滑油がかなり回ってしまっている元の取付穴を一度ドリル攫い、全て埋め戻します。
元々作業的にはそれほど難しくは有りませんが、元のネック材はかなり柔らかい材種のメイプル?樫の木の様で、怖いぐらいに簡単にビス穴の攫いが出来てしまいました。

IMG_7926.JPG
これが今回新調する為に用意したゴトー製のペグになります。
このセット、ちょっと特殊でして、通常ストラト等に使われるペグの場合、取付用ビス穴部分がカットされていて、1本のネジで二つのペグを固定する様になっているのですが、
st_t_hc8.jpg
(こんな風ですね)
今回、その取り付け方は出来ない為、特別にレスポールジュニア等に使われる取付ビスの穴が切り落とされる前の物で片連セットになった物を用意しました。

IMG_7936.JPG IMG_7937.JPG

取り付けてみるとこんな感じですね。ペグ穴の間隔に若干のずれが有るようで、一部収まりが悪い部分も有りましたが、耳同士を均等に削って合わせて取り付けてあります。

次はブリッジの取付ですね。
IMG_7929.JPG IMG_7932.JPG
こんな風にセンター出しと、ネックスケールから割り出したオクターブ位置にブリッジを取り付けます。この辺りはギターの物理的な理屈に則って作業すれば問題ありません。
今回のブリッジはお客様からの指定の品番で、ブリッジアンカーが必要な物でした。
比較的大口径の取付穴をボール盤でボディー面に垂直で開ける必要なあります。

IMG_7933.JPG
穴あけ作業後、ブリッジを取り付けたらこの部分の作業は一旦完成

因みにキャビティーが黒いのは既に導電性塗料が塗られている所為ですね。

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その後、各種組み込みを行い、調整し、正常に作動することを確認したら作業完了です。

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完成後、チェックの為に随分弾いてみましたが、結構いい音がするPUが有りました。
この時代のPUを含め、ビザールギターは恐らくもう二度と作る事は出来ません。
こう言ったギターの音色は文化的な価値から行くと結構高いのでは?と常々思っているのですが、残念ながら失われてしまった技術や、もう現物がこの世に存在しない物まで沢山有るのだと思うと大変さびしい限りですが。

オールドギターは何もギブソン/フェンダーだけが文化的価値が有るのではなく、これらの楽器を一番最初に作ったエンジニアや、購入したファーストオーナーの想いや、その時代の臭い、移り変わっていく時代の中で不遇な扱いを受けた歴史など、それらを含めて価値が有るのだと思っています。

ただ、こう言った作業で改修を行うと、上に挙げた様な価値が損なわれると大変お怒りになられる方もおいでかもしれません。ですが楽器はやはり弾いてこそ意味が有るのでは?と言う想いから、複雑な気持ちを抱えながらも作業させて頂いた次第です。

そんな訳で、大変貴重な経験をさせて頂いた訳ですが、作業後の全体写真を撮り損ねているのは大変残念です。

K様ご依頼ありがとうございました。
またのご用命とご愛顧の程お待ち申し上げております。
posted by IRP Products at 23:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 楽器リペア関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年01月12日

フェンダーUSA/PJベースのメンテナンス

今回の記事は掲題通りフェンダーUSAプレシジョンベースのメンテナンスになります。
ご依頼主は私の古い友人でもあり、富山の管楽器工房を経営する高木君からのご依頼でした。

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小ぶりなプレシジョンタイプのボディーにレースセンサーPU/アクティブサーキット、そしてフェンダー刻印入りのブリッジにファインチューナーが付いていたりして、専用設計を思わせますし、中々面白い楽器かと。

特にブリッジは何やらシャーラー製っぽい作りになっているのですが、これが中々良い重量と構造をしています。私このブリッジ、結構好きです。

ただ、このベース、色々調べましたが中々製品詳細が判りません。
Guns N' Rosesのダフがこんな色のベース使ってたなーと言う感じでしょうか。

ボディースタイルはプレシジョンベースですが、リアにジャズべPUが付いていて、ピックガードレスなのも特徴ですね。90年代初頭はこう言うPJスタイルの物がかなり流行っていた様で、各社このPUレイアウトの楽器を発売していました。

私はこのレイアウトに関してはどうしてもPUの位置の問題で、構造的に無理が有ると考えています。

理由の一つがプレシジョン用PUは1/2弦と3/4弦の弦振動をピックアップする位置が違うハムバッキングなのですが、これを通常のジャズべ用PUと組み合わせてハーフトーンを出した際、必ず1/2弦又は3/4弦の弦振動をピックアップする位置が違う為、少し特殊はハーフトーンになります。いわゆるジャズベースのハーフトーンとは違うイメージの音色になってしまいますね。

求めるものが違うと言ってしまえばそこまでですが。


但し、これにはこれにしか出せない音色が有るのも事実で、潜在的なユーザーの方は多いんじゃないかと思っています。

まあそんな感じですかね。

後このベースは、亡くなった私の師匠筋に当たる方が一度メンテナンスを担当したのですが、それから10年近く経ち、随分各部の調整が緩くなっていました。

作業内容は以下の通り

@バッテリーボックスの増設
Aトータルのメンテナンス
B配線の引き直し

取り敢えずコントロールキャビティーを開けてみました。
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量産品だし、こんな物と言えばこんな物。駄目と言えば駄目。と言った感じですね。

このプリアンプは2バンドEQでPUバランサー及びマスターボリュームまで一枚の回路基板で構成されていて、尚且つコントロールポットをボディーに取り付ければ自動的に回路基板が固定されると言う、非常に生産工数的にも優れた仕組みになっています。さすがアンプも作っているフェンダーの開発力と言ったところでしょうか。また結構良いポイントを押さえたEQカーブをしています。

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いつも通りゴトー製バッテリーボックスを追加工して増設。

次はコントロールキャビティーのシールディング加工を追加
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元々塗られていた導電性塗料は非常に薄く、又塗り斑がひどかった為に重ね塗りを行いました。
各部の導通をテスターで確認してから、、、

IMG_0533.JPG

回路を再組み込みしました。
再組み込みの際、基板から出ている配線等も処理し直し、各ポットやキャビティーとも配線できちんとアースに落として有ります。これでノイズ対策はバッチリ。

IMG_0539.JPG

こんなノブですら専用設計ですから、やっぱりフェンダーの開発力は凄い。しかも実に使いやすいのです。
無茶苦茶因みな話ですが、これスタックノブ/2軸2連ポットでして、古いジャズベースなんかに有りましたが、これは下段がEQで上段がVOになってます。
普通に考えたら下段だけセンタークリック付きの2軸2連ポットで、更に抵抗体の定数が上下で別って相当レアですし、これぞ専用設計!って感じです。
何となくですが、ジョン・サー氏が開発したんじゃないかなーとか想像してしまいますね。
因みにエリッククラプトンのミッドブースターはジョン・サー氏が設計したものだった筈。それより前のエリートストラト系のプリアンプは現在BBE社で取締役のポール・ギャゴン氏がフェンダー在籍時代に開発したと何かの資料で読んだ事が有ります。

と言った様な所で各部振動系統をメンテナンス/調整して終了です。

音を出してみて思ったのがやっぱりレースセンサーはベース用でもレースセンサーだなーと思った次第。

後は、各部調整中、色んな点で亡くなった師匠筋の方が調整の際に触った痕跡を見つけ、ちょっと色んな事を思い出したりしました。

高木君、ご依頼ありがとうございました。

彼は冒頭にも有りましたが、管楽器のリペア工房をやってます。
リペアスタジオ高木
もし管楽器の事でお困りの方がいらっしゃれば是非覗いてみて下さい。
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2012年07月16日

Rickenbacker/Model 4003 弦をボディー裏通し加工

掲題通り今回はRickenbacker/Model 4003 の弦裏通し加工についての記事をアップします。

今回はリッケンバッカー4003といえばポールマッカートニーですとか、モーターヘッドのレミーなんかがユーザーとして有名ですね。
これにしか出せない音色があるので大変人気があるますね。
私個人的にはポールマッカートニーが大好きなので多少思い入れは深いのです。

今回はそれほど大掛かりな加工でも有りませんのでさらっとご紹介に留めます。

IMG_0017.JPG
まずはボディーのみ全景から。まあ普通の状態です。

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ブリッジも至って普通の状態

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ブリッジを外した状態ですね。このキャビティーのおかげでリッケンは他のブリッジとの互換性がゼロに等しい訳ですよ。。

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だって、バダスを正しい位置に置くとこれだけキャビティーにかぶってしまうのですよ。。。
これ正しく取り付けようとしたら、埋めて均して塗装する必要が有りますね。。。これは流石に費用面でゴーが出る事は珍しいです。

と言う事で、今回は元のブリッジを使用して裏通しブッシュを取り付け、表の弦が上がってくるラインにも木部保護用のブッシュを打ち込む作業を行います。

IMG_0062.JPG

まずは表のブッシュの位置決めからこの位置決めで全てが決まりますので、かなり綿密な検討と製図が必要になります。またこの位置決めには物理的な制約が有りまして。。詳しくは割愛しますが、力学的にバランスが取れた状態が得られる位置と言うのが存在するのですが、それを探す長い検証作業が必要なのです。
因みに、このブッシュ、テレキャスターの弦止めブッシュを加工して利用しています。

なぜこの表ブッシュが必要なのかと言いますと、これは裏から弦が上がってきた際に木部むき出しの状態でテンションが掛ると、どんどんボディー材が弦の圧力で潰れて行ってしまうのですね。それを避ける為の方策です。

で位置決めが終わりましたら、穴あけ〜加工ブッシュ打ち込みと言う作業を行います。

IMG_0063.JPG
表のブッシュ位置から垂直に真裏まで通し穴をあけ、裏ブッシュを取り付けます。
写真では写ってませんが、当然段穴加工で、この部分、ボール盤を使用の上、三種類のサイズのドリルで加工しております。(加工作業自体はかなりすっ飛ばしてますが)

表ブッシュ.JPG

表ブッシュはこんな塩梅ですかね。どうでしょうか。

IMG_0082.JPG

次に配線ですが、お客様がPU交換をされたとのことで、この部分のメンテナンスも承っておりますので、並行して作業します。

IMG_0101.JPG

とはいっても部品自体はヴォリュームポット以外、消耗もほとんどなく交換する程傷んでおりませんでしたので、VO交換〜再配線/再半田等クリーニングの上再利用します。

表ブッシュ2.JPG

で懸案の裏通し加工ですがブリッジを取り付けて、弦を張りなおしたら完成です。

私個人は音やタッチの関係は結構変わった感じもしますが、実際はユーザーさんや色々な要素が絡んできますので、即日のレビューは難しいかもしれません。ただ一点だけ言える事は、アタックが早くなり、基音の輪郭がはっきりします。

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かなり駆け足で写真も少ない状態でのご紹介でしたが、如何でしょうか?
この様な内容の作業もご相談頂ければご対応させて頂きます。
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