2018年02月13日

Warwick社製5弦ベースのメンテナンス

 昨年12月頃、ちょっとした同窓会的な集まりが有って、そこでお預かりした楽器なのですが、、富山県に住む古い友人からの依頼で、Warwick社製の5弦ベースをメンテナンスする事になりました。
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 これは、また素材が非常に宜しく、無垢のフレイムメイプル2ピースでウエンジネック&指板と言う、とにかく楽器本体を硬くし、木部では弦振動を減衰させないという強い意志や。またMECピックアップのJJ配列等、とにかく素直に弦振動をピックアップに拾わせると言う、哲学の様なものを感じてしまう楽器ですね。スラップ系というよりは、重低音で隙間を埋めていくプレイに向いた音でした。もちろんスラップでも問題なく使えますけどね。

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とは言え、楽器は楽器、使えば傷む事も当たり前ですから、今回は弦振動系に関わる部分のメンテナンスとチェックを行います。
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 まずはブリッジですが、とにかく可動部が全てがリジットに固定出来る様な、ボルトが入っております。又ボティーには可動部と言う意味での木ネジは使われておりませんでして、可動部は全てボルトとなっています。(木ネジは固定部品にのみ使用されています) こう言ったボルトのネジ切り規格は基本的にミリかインチの汎用品規格だったりするのですが、、、長さに関しては中々規格通りにはいきません。その為、市中で手に入る物はボルトオンでは使えない事も多く、錆びたりすると交換するのに苦労したりします。事実この楽器も既にサビが来始めていた為、さび止めと言う意味、サビさせない方策として、ネジ切り部分にグリスを薄く散布して置く事とします。酷い場合は別のケミカルを使って手を打つのですが、今回はひどくもなんともない普通の状態にちょっとしたサビが付いてる程度でした。

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 また、ワーウイック社製楽器の特殊な仕様として、ブラスフレットが挙げられます。正直、何故ブラスフレットを使うのか、メーカーから直接説明を聞いた事が無いので何とも言えませんが、ナットからブリッジまで弦接点の材質を揃えたかったのかな?と言う気もします。そういった理由は取り敢えず置いといて、ブラスと言う素材は本当に磨きがいのある材質でして、コンパウンドや金属磨きクロスを使って磨きこめば、金やプラチナの様な輝きを放つ素材でもあります。そんな訳で、磨き始めるとキリがないのですが、ガンガン作業を進めます。又今回はフレット頂点の擦り合わせは必要ありませんでした。

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 取り敢えず、フルマスキングをして磨いてみます。右上の画像の中3本が磨いた後、下3本が磨く前です。画像だとちょっとわかり難いですね。

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 ブラスナットだとどうでしょうかね?磨く前の画像を撮り忘れていて無いのですが、取り敢えず御参考程度に。因みにこのナットも弦高調整用ボルトが入ってますので、当然ながらグリスアップしてあります。

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 全て磨き終わったら、オレンジオイルでネック及び指板を磨きあげます。

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 諸々、調整時に弄っていて思うのは、ワーウイック社の思想は部品の全てをリジットに、且つ極めて自由にセッティングできる設計になっていて、設計思想としては一つの頂点ではないかと思ったりします。音はまた好みの話なので、そこはそれと言う話ですが。

 そんな訳で後は諸々弦高調整等、振動系の画像に出来ない様な調整を行い、ワーウイック5弦ベースのメンテナンス完了。触るととてもいい感触で、細かいフレーズとかどこまでも繊細な音がしました。いつまでも弾いていたい感じがするのですがって、それって大事な事ではないかなと。

 本日はここまで。
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 因みにこの楽器の持ち主は富山県で管楽器のリペア工房を営む高木君だったりします
リペアスタジオ高木
管楽器の修理でお困りの方は是非お声掛けください。ご紹介させて頂きます。
posted by IRP Products at 00:00| Comment(0) | 楽器リペア関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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