2013年05月06日

Jackson guitars of yesteryear

今回も引き続きジャクソン系ギターの電装系改修事例をご紹介します。
ご依頼頂きましたのはアレキシライホっぽいジャクソンランディーローズVモデルでして、恐らく近年生産されたモデルではないかと推察されるのですが、正確な製造年は不明です。
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アレキシライホ本人が使っていたジャクソンは盗まれたとかなんとか。その後ESPとエンドースメント契約をしていているので、何となく最近はジャクソンではなくESPのイメージが強いですが。

今回のご依頼内容で一体何を行うかと言うと、現状のEMGワンハムから、ジャクソンの古いPUでJ-50BCとゲインブーストプリアンプのJE-1000へ電装系一新するという作業でした。

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部品関係はお客様がご手配されたのですが、やはり古い部品は大体色んな所に不具合が生じていたりしますので、それの改修も合わせて行います。

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で、今回取り付けるPUはEMGより一回り大きく、楽器側そのままでは取り付けが不可な為、PUキャビティーの拡張加工が必要です。ジャクソンは専用カバーからエスカッションまで自前で金型を起こしていた訳で、景気が良かったころとは言え、まあほんとに物凄いなと思っちゃいますね。

今回の電装系レイアウトは以下の通り。
1:マスターボリューム
2:マスタートーン(アクティブ回路後段)
3:キルスイッチ
4:ブーストオンオフスイッチ

この辺りからほとんど現物合わせになるのですが、ボディーに直接マスキングテープを張って罫書/位置決めを行います。
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そんな所で、PUキャビティーの拡張作業を行い、各部コントロールの増設穴を開けたら終了です。今回はジャクソンPU専用の拡張治具を製作しました。

その他、キルスイッチをオリジナルの回路に追加と言う依頼も有った為、その加工も済ませます。

キルスイッチ(KILL SWITCH)ってなんですか?という説明も軽く。

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このスイッチはどういう物かと言うと、プッシュボタンを押している間だけ信号を切断してしまう効果が有り、所謂モーメンタリ/プッシュオフと呼ばれるスイッチです。これはあまり楽器屋さんの筋では手に入らない部品ですね。

このスイッチは色んな使い方が有るのですが、一世を風靡した使い方があって、

15年ぐらい前は、この機能のスイッチを付けて欲しいと言う依頼が沢山有った様に記憶しています。
(形状はどうであれ色んなスイッチで対応可能です。今回のはその一例)
この動画の0:01〜0:35秒と3:43〜3:58秒辺り、ギターのトムモレロが一弦側カッタウェイに有るPUセレクター/3WAYトグルスイッチを連射切り替えをしているのですが、このスイッチの場合はセレクターがセンターの時は信号がオフになるように配線されています。その為音を出しながら連続切り替えを行うと、トレモロっぽかったり、DJのスクラッチ効果や、アーム/ワウと絡め喋るギター的な使い方等、色々な使い方ができると言う事で当時一部で大変に流行した気がします。

他にもまだまだ色々使い道があるかもしれませんので、何かギミックっぽい手法をお探しの方は使ってみては?と言った感じの機能です。最近またちょっと流行りの兆しが有るのかな?と思う様なご依頼が続いておりますので、もし宜しければご相談下さい。

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キャビティーに導電性塗料を塗りシールディングを行った後、各部を修復したJE-1000をワイヤリングして行きます。トーンはあくまでアクティブ回路の後段に付くようにオリジナル通り設置。コンデンサ等は新しくオーディオ用途の良質な物に交換してあります。

そしてPUをキャビティーに収めてビス止めし、弦を張って調整したら完成です。

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こんな感じで往年のジャクソンギターの回路を搭載したランディーVの完成です。

このプリアンプのJE-1000は結構根強い人気が有る様で、海外のその手の掲示板巡りをすると、結構熱い情報が出回っていたりします。日本ではオークションなんかでジャンク部品として見かける事が多いですが状態が良い物が少ない感じです。

あ、後キャビティー背面から設定する様になっているプリセットディップスイッチとゲインですが、これは多少手ごわいなあと言う感じがしまして、使うエフェクターやアンプによって随分違ってくるので、その都度裏蓋を開けるのはめんどくさい。そんな感じです。仕掛けとしてはただ単に高域のカットスイッチなんですけどね。ESPが販売しているアレキシライホシグネイチャープリアンプなんかは恐らくこれを下敷きにした物だろうと推測しています。

http://www.espguitars.co.jp/parts/mm-04.html

肝心の音はもうご機嫌なディストーションサウンドが出まして、アンプ類をきっちり調整すれば恐らく良い感じのメタルサウンドが作れるはずです

例によって参考音源はどこかの外人さんですが、確かにこんな感じの音でした。


T様ご依頼ありがとうございました。
またのご用命とご愛顧の程お待ち申し上げております。
posted by IRP Products at 13:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 楽器リペア関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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