これはお客様が所謂ジャンク品と言う事で素材を入手され、リフレット等をお客様ご自身が行われた個体でした。
そういった作業は出来るのですが、電気系となるともう手がつけられないとの事で、私共で電装系再配線/改修をさせて頂く運びとなった次第です。
元々付いていた回路がこんな感じで、年代を感じさせる佇まいですね。。
殆ど駄目になっていると言った状態です。
で、懸案のJE-1200の回路部はこんな感じです。
この回路、私のBLOGで過去にも取り上げた為、お陰さまで今まで沢山触らせていただく機会が有りました。
生産時期によってでちょっとづつマイナーチェンジしている部分が有ったりして、なかなかメーカーの歴史を感じさせる部分が又個人的には良かったりします。
どこがどう変わってるかって言うと、変更の時期は解りませんが大きな所ではガラスエポキシ基板から、紙フェノール基板に変わったりしてますね。多分アメリカ製と日本製なんて違いもあったりしたんじゃないかと思います。
チェックしてみると、やはりと言うかなんと言うか、製造から何年も経っているので当然の様に調子を崩していました。今回ですとブーストが正しく効かない事と、絶望的に音量が低い事でしょうか。
今回も駄目になっている電解コンデンサ等、基板上の部品を交換しますと、ちゃんと生き返りました。
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これは余談
これはあくまで思った事止まりですが、JE-1200/1000/1500等は時代に埋もれさせるにはちょいと惜しい回路でも有ります。現在お持ちの方で調子を崩している物をお持ちの方のみ対象にサードパーティーとして基板やパーツセットを提供しても良いかなと思ったりしています。と言うのも本家ジャクソン(もうフェンダーですけどね。実生産工場は)ではもう既に生産は行われておりませんし、補修用部品として持っておきたい方もいらっしゃるかと。
但し回路配置利用権等の権利的な事に抵触する事が有ってはマズいですし、あくまでオリジナルの現物をお持ちの方に対してのみお譲りするとか。私の気が向いて且つ時間が有って、基板を起こして〜ってなると相当気が長い話ですが。(実際この回路は件の法規に抵触するのかどうかもこれから調べるぐらいの優先度が低い話)
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次はワイヤリングですね。
前回のソロイストと違う所は、レバースイッチが4回路5接点のいわゆるスーパースイッチが搭載されている点でしょうか。
当然今回もそのまま当時の仕様に倣って新品の物を使用します。
このスイッチを使う事によって様々なPUコイルレイアウトが可能です。
今回のレイアウトは以下の通り(ストラトに倣う書き方では)
1:フロント位置 フロントPUの直列ハムバッカー
2:フロントセンターハーフトーン位置 フロントPUのネック側が生きるコイルタップ
3:センター位置 フロントPUネック側/リアPUネック側のハーフトーン
4:センターリアハーフトーン位置 リアPUネック側が生きるコイルタップ
5:リア位置 リアPUの直列ハムバッカー
今回はスーパースイッチでなければできない配線ではないのですが、今後の発展性も含めて使用と言った所でしょうか。
PUも取り付け、きっちり配線しなおします。様々なスペース的な諸事情から、結構込み入った配線になってしまいました。後ノイズ対策で導電性塗料も散布して、裏パネルにも当初貼られていなかった高周波ノイズ対策用アルミシートを張りつけて、蓋をします。
そんな所で電装系は終了。
次は、ブリッジを取り付けて最終調整をしたら完了です。
ケーラーの80S'物ですね。年代の割に綺麗で、ブリッジサドルのローラーも綺麗に回転しました。
最近になってケーラーブランドは復活したらしいですが、荒井貿易様扱いで輸入されておりますので、もし何かトラブルが有ってもユニットごと交換が今の所で有れば可能です。
http://www.ariaguitars.com/jp/02prod/04kahler/index.html
ルックスは随分違いますが、アーミングタッチ等のフィーリングは殆ど変りません。
但し、こう言った商材はいつ取り扱いが終わるか解りませんが。。。ケーラーブランド自体がどうなるかと言った所でしょうか。
私、個人的にはこのアーミングタッチが結構好きで、このブリッジを使いたいが為に自分用のギターを作ったりしてました。もう手元には無いのがさびしい所。
そんな感じで最終調整まで終わったら完成です。やっぱりこのプリアンプとこのPUの組み合わせはツボに入るいい音してます。
資料的に挙げると、こんな音。ちょっとわかりにくいかも。。ですが、どっかの外人さんの動画。
K様ご依頼ありがとうございました。
またのご用命とご愛顧の程お待ち申し上げております。