今回作業するのは、ジャクソン社製JE-1200と言うミッドブースト機能付きプリアンプでして、とある資料から内容を紐解いてみますと、650HZを最大60dbブースト可能というプリアンプになります。この製品はファンの方が多いようでして、エレキギター用内蔵プリアンプとしては相当数の販売されたのではないかと想像されます。しかしながら生産から20年以上経っており、基板上の消耗部品が駄目になって調子を崩しているケースが目立ちまして、今回お預かりした楽器の回路もそういった諸般の都合から不調をきたしている状態の物でした。
楽器の全景から
どうもリフィニッシュされている様ですが、非常にきれいなマジョーラ系パールホワイトで塗られていました。ジャクソン系のギターはこう言うペイントが映えるので、リフィニッシュされる方が多い様に思います。
さて懸案の回路チェックですが、、、
リフィニッシュの際に再配線されているようですので、それほど問題となる様な所は有りませんでした。
これ、私はメーカに居たので解るのですが、楽器は生産時、「とにかく音が出れば良い」「プレ配線を以下に切らないで手早く配線するか」がポイントになっている為、無茶苦茶雑な配線がなされている可能性が高いです。特にアクティブ回路物は。
話は少し脱線しますが、エレキギターに於いてアクティブ回路が広まらない一つの理由として、「壊れやすい」「調子を崩しやすい」と言う物が有ります。それはプリアンプその物が原因よりも、それを取りまわす周辺配線の粗雑さによるトラブルが挙げられます。ですので、適切に配線処理された物はそんなに壊れる物ではありません。まあとは出音の好みどうこうですが。
次は早速、外した回路をチェックついでに、基板をある種の洗浄液に漬けて洗浄します。
そしたら出るわ出るわ。まっ茶色に変色したフラックスやそれに付着した埃等が物凄い事になっています。
その後、基板上に乗っかっているICや電解コンデンサのチェックを行い、ヘタっている物は全て交換してしまいます。
今回の例でいきますと、電解コンデンサ総交換となりました。
また、洗い流したフラックスは再度散布しておきます。出来るだけ基板が酸化しないようにしたい所。
そして再度組み付けて完成。
この回路はポット自体に基板が直取り付けできるような機構なのですが、今回の作業で随分基板側に痛みが見られましたので、基板直付けVOポットから切り離し、キャビティー内に基板を別取り付けする事にしました。こうしておけば、ポットだけの交換も容易に出来ますし、後に再配線の必要に駆られた際も作業が容易です。
こんな感じで作業は終了です。
やっぱり、JE-1200は色んな意味で名作ですね。これはアクティブ嫌いの人でも一回弾いてみると良いかも。です。
現存している物は大抵調子を崩しているようですが、そのまま取り外して捨てられたりするのは勿体ないなーと思いますので、音が出なくて困ってらっしゃる方や、気になる方は一度ご相談頂けると幸いです。
S様ご依頼ありがとうございました。
またのご用命お待ちしております。