さて、今回は古くからの知人にフロイドローズのアームアップ用リセスを掘ってくれと頼まれまして、その作業+関連作業を記事にする事にします。
80年代初頭、ヴァンヘイレンがフロイドローズを使い初めて華麗なアーミングを決めた事ががきっかけで世界的に広まりましたが、その登場初期はボディートップにユニットをベタ付けしてしまい、アームアップをさせないか、シンクロ同様にユニットの後段が持ち上がる形でアームアップに対応するのが常道で、ユニットの厚さが増す分や、さらに弦高調整の為に弦がボディートップからずいぶん離れるセッティングが主流だったそうです。
又、ネックの角度や仕込みの深さの変更も必要だったり、とにかく搭載には手間の掛かるユニットでした。
当然ヴァンヘイレンののギターもそう言うセッティングになっていましたが。
所が、こういったセッティングのギターを弾いてみると解るのですが、弦がボディーから離れ過ぎていて、ピックがかなり引っ掛かり易く、特に1弦のアップピッキングでピックがボディー側に入り込みすぎて、弦が切れてしまうといったトラブルもよく有ったそうです。
そんな中、色んな技術者やプレーヤーが意見を出しあって生まれたのが、現在の様なボディーがユニットの形に掘り込まれて、ユニットがボディーに潜るような方式工法だったりします。
これが近年(と言っても、もう10ん年以上経ってますが)では完全にスタンダード化しました。この工法を取る事で、アームダウン/アップの音程差もそれなりに確保した上、ネックを深く仕込め、ボディートップでの弦高が下がり、良い事づくめな感じがしますね。音に関してはちょっと中域が抜けてすっきりしてしまう気がしますけれど・・・・・
そう言えば、スティーヴヴァイはザッパバンドの頃に、自分でブリッジ下を削って同様の事をやってましたね。完全にユニットが潜る形ではなかったと思いますが。
前置きが長くなりましたが、実際に掘りましょうか。
寸法等々は各部測ったりして実際に導き出します。図面も有るには有るんですが、今回はその辺はを割愛します。

(サムネイルをクリックして下さい。画像が拡大します)
前後の写真がありませんが、各部寸法を出して治具を貼り付けた所です。
治具が貧相なベニヤ製ですが、度重なる引越しで、もっと見た目がマシなアクリル製治具を失くしてしまいまして、急造したものです。この治具にあわせてトリマーと言う機械で掘って行く訳ですね。

掘って見ました。
この後、ユニットが収まる後方の部分にかけて、傾斜を付けて、深くなって行くように削ります。そうする事によってスタッド周辺の木部の切削量を減らしてもアームアップ量も稼げます。
スタッド周りの深さはブリッジプレートが丁度ボディーと面一で埋まる位で、オクターブビスの周辺は上げたい音程によって変えます。
しかしマホボディーにしちゃ常軌を逸するくらいに重いんですよね。このボディー。
ってな訳で写真をすっ飛ばしましたが、

こんな感じで完成です。
削り出してて剥き出しになった木部は、シーラー+着色剤を塗って保護しました。
なんとなくオクターブビスにあわせてザグリの形状も斜めにしてみましたが、この辺は個人的な趣味です(笑)
このフロイドローズを見てこのギターがフェルナンデス社の物だと判った人は30代以上の方か、マニアでしょうか(笑)作業前の写真を取り忘れているので、又これらの作業が完了次第全体像を載せる事にします。
さて駆け足で作業内容を記事にして見ましたが、こんな感じで今回は終了です。
本日はここまで!