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2008年05月15日

楽器に関するQ&A電気回路編その1

前回に引き続き、頂いているご質問に、一問一答形式でお答えしようと思います。今回は電気系統編

Q1
ポッドからガリが出るんですが接点復活剤とかで直りますか?

A1

電気系統のトラブルと言ったらこれ!と言う位、よく頂くご質問ですね。
ポットとは所謂ヴォリュームと言う部品の事なのですが、
ポットアレコレ
(サムネイルをクリックしてください。画像が拡大します)
こういうルックスのものですね。楽器屋さんでも売られています。

これらの部品は楽器本体についてるツマミやエフェクタ・アンプに付いている物も機構としては同じ物になります。

このガリが起こる多くの原因は以下の画像の部分、
ポットアレコレ2
ヴォリューム内部にあるブラシや、それに接する抵抗体の磨耗や酸化です。接点復活剤と言うのは、その消耗してしまった部分を一時的に回復させるだけの代物で、完全に回復させる訳ではありません。あくまで一時しのぎとお考え下さい。
完全に修理するには部品の交換以外はありません。

酸化防止の為の密閉型のヴォリュームなどもありますので、交換の際にはそういった長寿命品を候補に入れておくのも良いかと思います。

因みに「ポッド」と言うのは間違いで、正しくはポテンショメーター(Potentiometer)の略で「ポット(Pot)」と言います。ネット上で誤記されているのを良く見かけますが・・・・・

これは余談なんですが、メールで「ポッドのガリが出るんですが直りますか?」と言うご質問を頂いた場合、たまにLINE6のPODシリーズの事だと勘違いする事があります。

ご質問をくださる場合は、もう少し細かい内容をお知らせ頂けると幸いです。

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Q2
コンデンサってどこの物が良いのですか?お勧めはありますか?

A2
コンデンサとはこういうルックスの物です。
コンデンサアレコレ
左からオイル・電解・セラミック・タンタル・マイラとなります。
この外にもマイカ・スチロール・MKTと言った物がありますが、パッシブの楽器内部使われるのは、セラミック・マイラ・オイルが一般的でしょうか。

コンデンサの銘柄によって音が微妙に変わるのは周知の事実ですが、どこの製品の音が良い・悪いと言うのは、プレーヤーや楽器によりますので一概には言えません。出したい音の着地点次第でしょうか。そういった意味で、お勧め品と言うのは一言では言えません。私個人としてはある基準に則って選択するようにしています。

同数値のコンデンサでも「銘柄が変わると音が変わる」と言う現象についてなのですが、実物は数値に誤差が結構有ります(LCRメーターで計ると良く判る)。
「オイルコンだから音が太い」とか「セラミックコンデンサだからローが出ない」などの「〜だから」と言うのはあまり当てになりません。
楽器の音(電気に絞ると)はPUのコイル成分や、ポットの抵抗値やカーブの誤差によるトーンの使用感の違い、その他の要因も複雑に絡み合って音というのは成り立ちます。

ですので、盲目的に「オイルの物が良い」、「マイラは駄目だ」とは言えないでしょう。

但し、価格の高いコンデンサは、それなりの理由があります(詳しくはここでは割愛します)

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Q3
配線材による音質の違いや、配線材その物の良し悪しとはどういう事を指すのでしょうか?

A3
配線材に関しては、上記のコンデンサの話同様、良い悪いは一概に言えません。又半田付けの仕方でも随分差が出ます。

そういえば、近年WEなどのヴィンテージの配線材などが持て囃されていますが、皮膜の中で錆びていたり、単線だとボキボキに折れていたり、半田が乗りにくかったりするものも見受けられる為、諸手を上げて良い物だとは言い切れない所もあります。

やはりプレーヤーと出音と着地点と予算次第で、色々試すのが良いかと思います。

これは個人的な話ですが、皮膜が熱に弱い物や、あまりに柔らかい物は断線等の危険性を回避する為、避けるようにしています。

その為、私の方で常備している配線材は、あるケーブル会社が作っているUL規格の製品で、耐熱皮膜が使われている物を主に使っています。
それ以外にも使い分けが必要なので、必要とあらば配線材自体を良質な材料から、何種類か用途別に作る事もあります。構造も使う材料も適度に変えて有ります。

この辺はとりあえず秘密にさせてください。

Q4
半田付けのコツを教えて下さい

A4
半田付けのコツは、

「常にコテ先を綺麗に保っておく事」
「接合面を綺麗にする事」
「予備半田をきちんとする事」
「接合する部品同士をきちんと暖めてあげる事」
「コテ先で半田を混ぜない事」
「暖め過ぎない事」

文字で書くと良く判りませんね(笑)

一番重要なのは

「何度も経験する事」

でしょうね。がんばって練習してみてください。

次に半田付け作業の良し悪しの基準ですが、ポイントとして、「半田で部品を接合してはいけません(半田自体に接合強度を求めてはいけません)」と言う事ですか。
あくまで「半田は接合の補助をする為の物」です。物理的な強度は殆ど期待できません。

前提として部品同士をちゃんと絡げて(端子に配線を巻き付ける)、その状態で導通が確保出来ていて、その状態を維持する為に少量の半田を流して固定してあげる、と言うのが本来の半田付けです。実験機などは絡げてしまうと面倒ですのでこの限りでは有りませんが。

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といったここまで書いた所で力尽きましたので本日はここまで!
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2008年04月22日

楽器に関するQ&A塗装編

BLOGの方お休みしている間にも沢山のご質問等々頂きましたので、今回は塗装関連に絞ってそれら関するお答えを、一問一答形式でお答えしようと思います。

Q1
ラッカー塗装(今回の説明は全てニトロセルロースラッカーとします)ポリエステル塗装(今回はポリ「エステル」に絞ってお話します)って音が違うのですか?

A1

違います。正確には塗装膜の厚さにより音色が変わります。

Q2
ラッカー塗装とポリエステル塗装の違いを教えて下さい。

A2
難しい分子レベルや塗装工程の事は省略いたしますが(硝化綿やバインダー関連など)、乾燥後の硬度が違います。

一般的に「ポリエステルの方が硬く、傷には強いが、衝撃には脆い」、「ラッカーの方が柔らかく、傷には弱いが、衝撃には多少粘りが有る」傾向があります。

仕上がり傾向としては、ラッカークリアの方が完成直後は艶が美しいと感じますが、劣化が早い為、長期的な美観を保つには細心の注意が必要です。また、ポリエステルクリアは比較的長く美観を保つことが出来ますが、経年後、塗料の調合具合や外部刺激によって、表面がうっすら黄色やグリーンに変色する事があります。

Q3

ラッカー塗装の楽器はお手入れが大変と言われる事がありますがなぜですか?

A3
ラッカー塗料はその素材の特性において、外部からの刺激に非常に敏感です。その為、お手入れの為のクリーニング剤などに反応して溶けてしまったり、ギタースタンドなどに直で置くと、スタンドのゴムと反応して溶けてしまう事が多々あります。
それを避ける為には、クリーニング剤にはラッカー塗装にも使える物をお使い頂くと共に、ギタースタンドの楽器が接する部分には楽器磨き用のクロス(ラッカーにも使えると明記してあるもの)や、ネルの布などを掛けて、ゴムが直接塗装に触れない様にして下さい。

又、よく起こる事としては、夏場にプリントTシャツ一枚で楽器を弾いていると、そのTシャツのプリントインクがラッカー塗装を溶かす事もあります。その辺りはお気を付け下さい。

Q4
塗装した楽器としない楽器はどちらが音がいいの?

A4
これは楽器に限らずですが、木工品における塗装の目的は、「製作物に美観を与える事」と、「外部の湿気から木を守る」と言う二つの意味合いがあります。

「良い音」と言う事を定義・説明するのは難しいですが、楽器の塗装と音響に関して研究が盛んな世界に居るヴァイオリン製作者の多くは、塗装しない(又はする前)楽器の方が「音が良い」と考えている様です。私もこの考えにはほぼ同意で、実際に無塗装のギターを弾くと、オープンに木部が鳴る事を感じられます。しかし、音(鳴り)の調整目的で塗装される事もあるので、楽器にとって一概に塗装がいけない訳ではありません。(但し塗装その物で楽器全体の音質の改善は出来ません。あくまで引き算の調整です)

前出の部分でもう一点。外部の湿気に晒され続ける楽器の場合ですが、塗装膜で保護してあげないと、外部から汗(人脂)などを吸って木が痛んでしまう事や、湿気でコンディションがキープできない事を避ける・・保護目的の為に最低限度の塗装を施して置く必要性があります。

そこから導き出される答えとして、「音の事を考えると、塗装膜は最低限に薄く」、「長期に渡る美観を優先すると、経年後の塗装膜の痩せ・磨きシロを考慮して、塗装膜は厚くする必要がある」と考えられます。

Q5
(楽器で言う所の)オイルフィニッシュって何ですか?

A5
「乾性油」と呼ばれる、「乾くと凝固する油」を木部に刷り込んで仕上げる手法の事を言います。このフィニッシュの場合、オイルが木部の表層以下に染み込んで硬化の後、塗装膜(厳密には違う)を形成する為、仕上がりの風合いが無塗装に近くなります。
しかし、木部の表面が無塗装に近い仕上げの為、手垢等の汚れが付き易く、一旦汚れてしまうと回復させる事は困難です。美観を長く保ちたい方には不向きな仕上げともいえます。
もう一点、無塗装に近いフィニッシュの為、湿気には若干弱いとお考え下さい。

稀に、お手入れ用のレモンオイルやオレンジオイルでオイルフィニッシュにセルフで挑戦しようと言う方がいらっしゃいますが、絶対にお止め下さい。
あれらは「不乾性油」と言いまして、乾燥も凝固もしない物です。その為、一旦は木に染み込んだ様に見えた油分がジワジワと染み出して来たりします。又、木部に修理が必要になった場合、染み込んだ油が接着剤を弾く為、修理が出来なくなる恐れが有ったり、塗料も弾いてしまうのでリフィニッシュも不可能になる事が多いのです。
オイルフィニッシュには必ず「乾性油」をお使い下さい。

Q6
エイジドフィニッシュのやり方を教えて下さい。

A6
私は個人的に「新品なのにエイジドフィニッシュ」が好きではありませんので、ヴィンテージ関連のリペアに必要な手法(部分塗装後のクラック合わせなど)しか使いません。手法等内容は秘密にさせて下さい。

これは極めて個人的な考えですが、良く使い込まれた楽器の美しさと、エイジドフィニッシュの美しさは似て非なる物だと思っております。

Q7

個人でブリッジなどの金属部分に塗装って出来ますか?市販品に無い色にしたいのですが・・・

A7
塗るだけなら・・・・・市販品の様な塗装膜強度を出すのは個人では不可能です。どうしても挑戦したい場合は、車の修理屋さんなどで、焼付け塗装を施して貰うのが良いのではないかと思います。さらにメッキ仕上げを行いたい場合はもっと大変です。
プラモデルが趣味の方で、メタルキットが特に好きな方ですともしかすると可能かもしれません。

私は昔メッキ屋さんでアルバイトしていた事がありますが、その経験から言いますと、綺麗に着色〜メッキを行うにはかなり特殊な塗料と設備が必要になります。
因みに東急ハンズ等で簡易的な液体メッキ塗料セットなるものが売られていたりしますが、あまり綺麗にメッキを施す事は出来ません(実体験です)。

もし個人で上記成功された方がいらっしゃいましたら、ご一報下頂けると幸いです。

Q8
塗装に傷が付いたので直したいのですが。。。。。

A8
浅い傷であれば、#1000〜2000位の耐水ペーパーで傷の周辺をなだらか且つ、広く研磨してコンパウンドで磨くと消せる事もあります。しかし下手を打つと修正不可能になる事がありますのでお気をつけ下さい。
この辺りは傷の深さ次第ですので、プロのリペアマンに任せた方が良いでしょう。

Q9
塗装が割れてしまったのですが、自分で直せますか?

A9
ご自分での修復は難しいと思われます。プロにお任せ下さい。大抵の場合修復可能です。但し、ブランドデカール部分の欠損や、グラフィックペイント部分などを修復する場合は、大変時間がかかる事もあります。


といったような所で力尽きましたので本日はここまで!


posted by IRP Products at 18:14| Comment(3) | TrackBack(0) | 楽器に関するQ&A | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする