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2008年05月24日

LPスタジオの修理調整

埼玉県在住のH様より、LPスタジオの修理調整の作業をご依頼頂きました。

H様がしばらく友人に貸していたそうで、戻ってきた時にはとてもじゃないが弾けないし、なぜかどう調整しても3〜4弦のビビリが取れない状況になっているので何とかならないか?とのご相談でした。

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(サムネイルをクリックしてください。画像が拡大します)
到着時の写真を見るだけでは大してトラブルを抱えているようには思えないのですが、弾きながら各部を観察していると、ネックが逆反り・ナットの弦溝の底が割れていると言う症状で、ブリッジでの弦高調整ではローフレットの弦高までは上げられない状態でした。

雑然と管理された楽器では良くある症状ですね。

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今回ブリッジで起きていた症状で、写真で見ただけでは判らないのですが、

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ブリッジが(長年の)弦の圧力によって真ん中辺りが湾曲してしまっております(この写真で見るより実物はもっと曲がってます)。この状態では、1弦6弦と3〜4弦の弦高バランスが悪くなって指板Rと合わなくなってしまうんですね。

この症状の為、指板Rとブリッジ弦高バランスの崩れが相まって3〜4弦の弦高が異様に下がってしまっていまして、これが今回のビリ付き症状の大きな原因でした。

この辺りオーナー様と話し合いを持った結果、ブリッジはゴトー製の新品に交換してしまう事にしました。(曲がってしまったブリッジも逆にまげて治せない訳じゃないんですが、オーナー様の気持ち的な所が大きいですね)

因みに、こんな事本当に起こるの?なんて不思議にお思いの方もいらっしゃるかと思いますが・・・・古いギブソン系の楽器は、かなりの割合でこの症状が起きてます。古いLPなどをお持ちの方は一度チェックしてみてはいかがでしょうか。

次はネック周りですね。
懸案のネックの逆ゾリですが、トラスロッドが効かない程逆ゾリしている場合、否応無しで指板修正の為にフレット打ち変えになってしまうのですが、このネックはトラスロッドを緩めるとばっちり真っ直ぐに戻せましたのでこの部分は一安心です。

因みに逆ゾリでロッドが効かないネックを治す場合、指板を削ってネックを仮想的に真っ直ぐにする訳ですが、そうするとポジションマークやインレイが擦り切れてしまう事が多いので、インレイの入れ直し費用が掛かってしまう事があります。指板も部分的に薄くなるので、ネックの厚みが部分的に変わり、グリップ感やフィーリングも変わってきます(この辺り、気になる方と気にならない方と極端に別れますが)

h_lp_st4.jpg
フレット周りを観察すると、全体的にはあまり弾かれていない形跡で特定の部分のみが減っている状態でした。最初はフレット打ち変えをご希望だったんですが、フレットは擦り合わせで十分対応出来ると判断しました。

その辺りオーナー様に報告しました所、「じゃあ擦り合わせで御願いします!費用的にも助かりました!」的な話で喜んで頂けました。

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次は、ひびが入ったりしていたナットをさくっと交換ですね。(この辺りもう何度も記事にしてきていますので、思い切って割愛させて頂きます)

因みに、このナット溝の一部、穴が開いているのが判りますでしょうか?
これ、ギブソン社の工場でネックグリップなどを加工する際、機械に固定するジグ用の取り付け穴だったりします。ここは空いたままになっているのも気持ち悪いのでマホガニー材で埋めてしまいます。

その後、新しいナットを取り付けて外形を削り出したら・・・・
h_lp_st7.jpg
完成です。この後、調整の最終段階でナット溝の切り込み深さをばっちり決めて、ローフレットでの弦高を決定します。ここはピッチ(音程)も重要に関りあう部分ですので慎重に作業します。

h_lp_st6.jpg

今回ブリッジを交換して綺麗に弦溝を掘って整え、音の立ち上がり(基音)もしっかり出せるように各部精密に調整して完成!

ちゃんとギターとしての機能を全て回復させました。
音はというと、LPスタジオは結構特殊な(セミホロー状のマホガニーバック材に「入れ子構造」で別の柔らかい材が組み込まれています)ボディー構造をしているので、独特な。。他に無い音のLPですね。

オーナー様より、「ちゃんと弾ける様になって戻ってきてとても嬉しいです」と言うような喜びの声を頂けました。

と言った様な所で本日はここまで!

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