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2015年01月27日

実験用リアンプDI製作

今回は私共で使用する実験用モジュールでリアンプDIを製作しましたので、それを記事にしたいと思います。

リアンプとは広義の意味で「一度ライン録音したトラックをギターアンプ等で再生し、スピーカーから出た音をもう一度マイク録音する」際に使用されるレコーディング手法です。今回はその際に使用されるライン信号のインピーダンス変換機としてのDIを作成しました。これを「リアンプDI」「リバースDI」、古い方なら「逆DI」なんて呼ぶ事もありますね。

通常ラインによるレコーディングされたトラックはアンプによる録音トラックに比べると、空気感の無いデッドでフラットで味気ない音像になる事が殆どです。その場合、そのトラックの信号レコーダーやPCから出力、実際の楽器アンプに入力して、音色を調整しマイクによる録音を行う事をRE:AMP(りあんぷ)と呼ぶのです。

但し、この際に要注意なのが、レコーダーや例えばPCの出力インピーダンスとアンプ入力のインピーダンスが合わず、アンプ側が小/過入力になってアンプが持っている本来の音色を生かした音作りが出来ない・・つまりエレキギターやギターアンプが本来持っている音色にはならないと言った問題が起こります。

例えば、インピーダンスマッチングが悪い為、アンプやエフェクターが歪まない、ギター用ディレイの掛りが変になるだとか・・一般的なギター等の音色とはかけ離れた物になってしまう事が多く有ります。

そんな時にカントリーマンに代表されるトランス型D.Iの内部配線を改造してアンプ入力レベルに調整して、アンプを鳴らし切れる様な機材を作った・・そしてマイクで再録したと言った手法が始まりだったそうです。

この文章にすると複雑な工程がなぜ行われるようになったかは、諸説ありますが、代表的なお話を。

ライン録音と言うのは実際に音を出さない分、昨今ではヘッドホンとインターフェースとレコーダーが有ればすぐに録音できる気軽さが有りますが、これだけでは一番重要な「空気感や雑味」が抜け落ちてしまっています。そこはそれで、作曲やアレンジ時には素の音で録音して置き、その素の音を大きな音が出せるスタジオに持ち込んでリアンプ処理をして音色を詰めて改めてマイクで録音と言う作業になります。(他の手段でアンプシミュレーターを使う手法もありますがここではあくまでリアンプの話に絞って進めます)

この利点は大きく分けて2つ

@ライン録音時は自宅等でゆっくり時間を掛けて、心行くまでフレーズの修正が出来る為、最高に弾き切れたフレーズの生データに対して音色を後からDAWや卓やアンプやエフェクターで調整できる。

リアンプについて小林信一氏が解説する動画が有りましたので、引用しておきます。
これはあくまでDAW上で作業をするデモ動画ですが、勿論実機でも理屈は同様です。

Aレコスタの限られた時間で、音作りのみ集中して行う事が出来る。
もう一つ突っ込んで言うならば、その再生するアンプ用スピーカーでも、録る為のマイクでも音は変わるので、それらをある種のフィルターとして利用する事も出来ます。

特に再生するスピーカーというのは重要で、エレキギターの例では、ギターアンプに戻した場合、遙かにギターに適した再生域の音色を作り、本来ギターが持つレンジの音にマイク録音による空気感という自然さが加わることで、ライン録音の不自然さを払拭出来る訳です。

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なぜうちがこの様な物を作る事になったかと言うと、現在、作業進めているエフェクター製作プロジェクトが有りまして、今回の場合ですとその実験の為にPCからライン録音のギターを延々ループで流し続け、リアンプをしてから、エフェクタの回路に入力し回路を弄って追い込んでいくと言う作業に必要不可欠でした。今後使用する商材の動画撮影等にも使用できると言う事で、今回急遽有り物で作った機材になります。

話は長くなりましたが、実物を見るとなんともまあ簡素な有り物ジャンクの寄せ集めです。
IMG_4369_R.JPG IMG_4370_R.JPG IMG_4371_R.JPG
こんな感じで脱力系ですね。

今回この為に買い増した物はトランジスタトランス一個だけですから、ジャンクもそれはそれで貯め込んでおけば又別の機材に生まれ変わるという好例かと。

相変わらずキャノンジャックのケース加工に手を焼きます。材厚が薄いので今回はまだマシですが、通常のアルミダイキャストのエフェクタケースだったら、やる気が全く出ません。

入出力は下記の通り
入力:XLRメス又は3.5φフォンジャック(スイッチ切り替え型)
出力:フォンジャック/アンバランス出力(ボリューム調整可能)
グランドリフトSW付き

本当はもう一個スイッチが有ればフェイズスイッチをつけたかったのですが、廃品再利用の悲しい所、手持ちでは良いサイズのものが見つかりませんでしたし、ラベルは参考で刺青サイトを見ている内に適当に遊んでいたら出来あがったような感じ。何処まで行っても自分用だから適当でいいのです。

と言った所で完成画像でしたが、今回の物は全くオリジナル設計ではなく、とある電子関係の教科書に載っていた物を作ってケースに突っ込んだだけと言う代物なので、そんなにおおっぴらにする物でもないんですが、そもそも、その教科書に載っている記事も元祖リアンプユニット発売元のA社の製品を解説する物だった為、本家と同様の遜色ない音色が出ています。リアンプについてTwitterのDMでご質問を頂いたのでこの様な記事にしてみました。

IMG_4387_R.JPG
後日、某練習スタジオにてリアンプをしている様子がこの画像です。

ちょっとわかり難いですが、今回製作したリアンプユニットにライン録のエレキギターの信号を通した後、マーシャルアンプに入力し、スピーカーキャビネットから出力された空気感を含んだ実際のアンプの音として、ノートPCに録音している風景です。

そんな所で本日はここまで。
タグ:リアンプ
posted by IRP Products at 19:21| Comment(0) | TrackBack(0) | エフェクタ関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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