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2015年01月12日

Duesenberg社製 D52-GT PU交換作業

今回は大阪のギタリストT様よりご依頼いただきました、Duesenberg社製 D52-GT PU交換作業を行います。

このドイツ製のこのブランドと言えば、椎名林檎女史ご愛用ギターブランドと言う事で10〜15年前ぐらいは大変人気を博したブランドでしたね。彼女の物はセミアコタイプでしたが、大変ポップなグリーンが目を引くカラーリングの楽器でした。彼女の人気のお陰か、当時、販売数がかなり多かった事や、色々調子を崩したこのブランドの楽器修理を沢山担当させて頂いたのも良い思い出です。

そんな同ブランドの物ですが、実は沢山バリエーションが有りその内の一つが今回のモデルです。

ぱっと見でいくと、単にレスポールタイプと言えばそうなんですが、これは金属パーツのほとんどがオリジナル品になってますので、開発に非常にお金が掛っているプロダクトですね。
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ロッドカバー、ブリッジ、ペグボタン、エスカッション、コントロールつまみ類は全てオリジナルプロダクトです。こう言うのはお金かかるんで、一般的な楽器メーカーは手を出さない感じです。それをちゃんとやるんだから、まあ野心的なブランドである事は間違いありませんね。儲かってるかどうかは良く解りませんがw

特に特筆すべき点はブリッジの精度ですね。この精度と剛性感はほかのバダスタイプには中々見られない物が有ります。代理店さん、これだけでも別売してくれないかなあ?

さて今回の作業メニューは、お客さまのご希望によりPU交換、配線系改修、ナット交換、後諸々メンテナンスを行うと言った所ですね。

早速ですがバラしていきます。
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1PUで3WAYレバースイッチですから、たぶん古いエスクワイヤーの様なトーンセレクターかフロントPUをシミュレーションする様な回路が組まれていると想像してました所、どんぴしゃでした。早い話、コンデンサと抵抗だけでハイとローのカットオフ周波数を調整して、あたかもフロントPUが存在している様な音を作るパッシブフィルターですね。こう言うのは使い様とでもいうんでしょうか、あんまり積極的に使う人にはお会いした事が有りません。

そんなにトーンセレクターも、良質なコンデンサが組まれていた為、音ととしては悪くないのですが、今回の回路はすべて撤去。以下の通り配線を仕込み直します。

@PUセレクターをブリッジ側の時トーン回路カット
APUセレクターをセンター側の時トーン回路生かし
BPUセレクターをネック側の時配線をオールダイレクト


とまあこんな感じでしたので、サクッと配線しちゃいます。

IMG_3715_R.JPG
フロントPUシミュレーション用コンデンサは不要となりますので撤去。それ以外は全て部品が真新しく消耗もほとんど見られませんでしたので再利用します。

因みに画像の様な国産ポットと言いますと、みなさんすぐ交換して欲しいと仰られますが、結構電気的には良質な部材なんですよ。CTSの様に堅甲無骨と言った佇まいでは有りませんが、抵抗値のバラツキもありませんし。ただ惜しいのはグリスが入って居ない為、回転軸等が消耗しやすいと言う所は有ります。それも追加工してあげればいいんですが。

そして懸案のPUですが、今回ご用意いただいたのは、、、
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セイモアダンカン製のスラッシュモデルですね。このPU一回使ってみたかったので、渡りに船って感じでした。

PU交換準備でいつものように導電性塗料を使い、ノイズレス加工を行います。
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実は元々、このエスカッションを生かしてPUの載せ替えが出来るかどうか、受注のミーティングの際にもサイズ的にかなり難しいのではないか?と想定していたのですが、、、
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実機は通常のハムバッカーサイズのP-90でした。裏面はこんな感じ。

そんな訳で、心配は杞憂に終わり通常のPUの取付用の耳を切れば普通に収まりますが、、
ただこの取り付け耳を切り取るのを一瞬ためらったのですが、相談しました所、オーナーさんから切って良し!という指示を頂きましたので、心おきなく切って取り付けました。
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こんな感じです。ばっちり嵌ってますね。

そして残りはナット交換です。
交換中の画像等があんまり残ってないのですが、この様に作業を行っております。
IMG_3716_R.JPG
こんな感じでナットの処理を終了させて、各部の調整を行ったら完成です。

完成画像を撮り忘れてしまったので残念ですが、音はと言うと純然たるレスポールサウンドと言うよりは、ブリッジが大きな要因を締めているとは思うのですが、どこかハイパワーな暴れ馬みたいな、荒々しいザクザクした音色の楽器になりました。
これはギター&ヴォーカルさんなんかだと非常に扱いやすい音色じゃないかなと思います。
勿論シグネイチャーPUだけあって、ガンズと言うかスラッシュのあの感じも出ますよ。

少し話は変わって因みにこの楽器、どうもこのプレーク(PLAK)マシーンを使って最終調整をしているというパンフレットがハードケースに入っていました。

このマシンはどういった物かと言うと、弦を張った完成品の状態で、このマシーンのオペレーションルームにセットし、ネック・フレット・ナット・ブリッジのコンディションをスキャンして数値化し、フレットおよびネックの僅かな歪を精密に切削する事が出来る、なんというか有機的なNCルーターの様な機械です。



私は実物をアメリカと日本の有るメーカー現場では見ましたが、実際には触った事もありません。どうもオペレーションその物が非常に難しい様ですが、ギブソン等大メーカー等には導入している所も増えている様でして、大体一台一千万ぐらいするんだそうです。儲かったらうちもぜひ欲しいなあとは思ってますが、まあ当分は無理ですね。。

と言った所で本日はここまで。

大阪府T様ご依頼有難うございました。
引き続きのご愛顧のほど宜しくお願い致します。
posted by IRP Products at 21:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 楽器リペア関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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