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2012年07月16日

ギブソンSGネック折れ修理 

もうずいぶん前に行った修理ですが、修理技術情報系の記事をアップします。
ギブソンSGスペシャルですが、東京のとある筋から修理依頼を頂戴しました。
ギブソン系ネックにつきもののヘッド折れと言う奴ですね。

まずは修理前の全景から
(画像が極めて小さいくて申し訳ありません。各画像はサムネイルをクリックしますとある程度拡大した物が見られますのでご容赦を)

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程良く使い込まれた感じのする状態ですね。塗装のダメージ等も良くある感じです。

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ボディーアップ。これ色んな所が欠けたり磨り傷があったりで歴戦の貫禄を湛えてます。
こう言うのは中々レリックとかでは表現できない感じですね

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問題はボディーバックからネックに掛けてファイヤーパターンのステッカーが貼られている事。
これはネック折れ部分の塗装の際に邪魔ですから、お客様了承済みの上で剥がしてしまう事になりました。

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肝心のネック折れ部分ですが、これがまた酷くてですね、行ったんお客様が流し込まれたとみられる正体不明の接着剤が沢山付着してました。これがかなりの悪さをしておりまして、もう割れた断面には接着剤が効かない状態になってます。
こういう状態で持ち込まれる事は沢山あるんですが、ネックは折れたら絶対接着剤は使わないでください。プロでも難しい修理の部類に入るのですから、ユーザーさんご自身が下手に接着剤を流し込まれますと、切削部分が増えたり、補強の量が増えたりで却って修理費用が高額に跳ね上がる危険性もあります。

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別角度から。割れの周辺になにか漏れ出しているのが判りますでしょうか。。。?かなり解りにくいですが。

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もやはこの割れや接着剤が染み渡った部位を一旦すべて削り落して、新たな当て木を当ててあげる工法しかありあせんね。。と言う事で作った当て木です。これマホガニーのブロックから削りだすのですが、ちょうどいい大きさの物がアコースティックギター系の材料在庫に有りましたので利用します。これの元はアコギのネックジョイントブロックを今回の当て木として最適〜最強の強度が出る様に削り出しました。

又、実験中のある種の特殊な処理を施して有りまして、木の動きや強度を高めてあります。
どういう工法かは申せませんが、あまり楽器業界ではなじみが無い工法ではないかと思います。
私が開発した訳ではありませんのでアレですが、切削してる段階から「あ、硬ったーい。これいつもと違うわー」と言うのが実感出来る位違ったりしてますね。
で、このブロックはこの時点で、かまぼこ状の形態へ整形しておきます。この形状に関しては後の写真でも説明しますが、ケースバイケースです。所謂「勘所」って奴ですね。

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この折れ方のケースで行くとこの位の形になりました。

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で、今度は楽器側の破損部分を全て削り飛ばしてしまいます。
今回はボリュートを付けて強度アップも含んだ作業内容ですから、多少深い目に削り取りますが、トラスロッドの関係があるので、深追いは禁物です。この時点でトラスロッドの調整口が切削部より顔を覗かせてます。

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ここに前工程で製作したマホガニーブロックの湾曲を双方ピッタリ合うように、尚且つ強度が出るような面積を確保した上できっちり密着する様に合わせます。削っては合わせ、削っては合わせと本当に気の遠くなるような作業を繰り返します。

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このマホガニーブロックには当然ですがトラスロッド調整口の逃げを接着前にあらかじめ掘っておきます。

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そしてばっちり密着するまで調整したら、次工程ではマホガニーブロックを接着!
これも結構クランプを使い慣れていないと力加減が難しくて接着強度が落ちたりするようですが、こればっかりはもう言葉ではなんとも言い表せない感覚的な部分ですね。一つだけ言うと締め過ぎたら駄目と言う事でしょうか。

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接着剤が乾燥したら当然次はブロックの切削整形〜サンディングです。
強度を上げる為にボリュートを付けると言う依頼なのでこの様に成ってます。ここの形状は色んなご意見と好みがあるかもしれませんが、、、形状は私に一任されていたので70Sギブソンに良くあった形状を再現しました。私、結構70Sのギブソンが好きでネットや書籍等で資料を見かける度に貯め込んでいたりします。
一般的には50Sが至高と皆さん思われるかもしれませんが、結構面白いんですよね。この時代のギブソン。

画像 588.jpg

ボリュート部分をオールラッカー塗料にて部分塗装して仕上げ。生地整形も良いレベルで行けましたし、接着強度も強固ですので、再び折れるような扱いさえしなければ大丈夫でしょう。

画像 589.jpg

そして冒頭に有ったネック裏のステッカーがラッカー塗装をかなり侵していたので、ほぼネック裏全体をリフィニッシュしました。
ラッカーの白は経年変化でクリアが黄色く変色しますし、また斑のある変わり方をするので、部分塗装は色決めが難しいのですが、なんとか全体のトーンと合わせる感じで自然な仕上がりになりました。

画像 585.jpg

裏面全体像ですがこんな感じです。元は折れた楽器なんて誰も思わないレベルで仕上がりました。
当然楽器として振動系は全て調整済。実は合わせてナット交換も行って完成です。

とにかく時間はかかりましたが、、、お待ち頂いたお客様には大変ご迷惑をおかけして申し訳有りませんでした。

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何年かぶりの技術系記事のアップでしたが、如何でしたでしょうか?
この様な作業も承っておりますので、何かありましたらご相談頂ければ幸いです。
posted by IRP Products at 00:01| Comment(2) | TrackBack(0) | ネック折れ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
Hofner500/1のネック折れの見積もりが欲しいですが、
そちらに送らなくてはなりませんか? 写真を撮ってますが、写真をおくりましょうか?
Posted by 稲垣正一郎 at 2013年09月05日 22:48
稲垣様
はじめまして、私本ページを主宰しております管理者です

本件ですがお見積もりをご返信いたしますので、下記メールアドレスにご連絡を頂戴できますでしょうか?

info-form★i-r-p.net ←星を@マークに変えてください。
必要な情報は以下の通り

お名前
ご住所/日中ご連絡先/メールアドレス/ご年齢
破損の部位、破損部の写真、最終仕上がりに関し、塗装が必要か否か。

それらに応じお見積もりを算出させて頂きます

それでは宜しくお願い致します







Posted by IRPPRODUCTS代表 at 2013年09月06日 11:51
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