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2014年07月14日

トーカイストラトキャスターミッドブースター搭載とノイズ対策の話

今回のご依頼は神奈川県S様からのご依頼で、トーカイ製ストラトキャスターモデルのPU交換及びミッドブースター搭載作業を行いました。

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こんな感じのギターです。
安価なモデルとお客様はおっしゃられてましたが、とは言えそこは流石国内産。ちゃんと作るべき所はきっちりされてました。良質なモデルかとは思いますが。。

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国産モデルはどうにも電気パーツが駄目になりやすい物が使われていたり、なんか大事な帯域がスコンと抜けたPUが載っている事が多いのが残念ですね。。まあPUの音に関しては感性の問題なので、好きな人は好きかもって話ですが。

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で、今回はPU交換と言う事でお客様指定により手配したPUがコレ。フェンダーヴィンテージノイズレスですね。
物凄いパワフルなPUなのにノイズが少なくて、私個人的には非常にお気に入りのモデルです。今回はこれにミッドブースターを組み込むと言う指定の作業でした。

IMG_3617_R.JPG → IMG_3670_R.JPG
早速ばらして各部フィッティングの具合を見て行くと、、どうにもPUキャビティーが浅すぎて今回のPUが載せられません。じゃあ掘るかって感じでざっと切削加工した後の絵が右の写真です。

加工中の画像は結局撮り忘れてしまいました。まあ早い話が、木工用ルーターで必要サイズ掘り下げたと言う事。このフェンダーノイズレス系は本体に結構な厚み(高さ)が有る為、国産ストラトに限って言ってもポン付け出来ない事が多い様に感じます。

その後、むき出しの木部にシーラー(目止)を打ってから、外来ノイズ防止用の導電性塗料を散布します。このBLOGには沢山この作業が出てくる割にはあまり説明を書いた記憶が無いので、これが塗られていると一体どういう効果が有るのか簡単な説明を。(時折ご質問も頂きますし)

現代の様々なエレキギターが使われるシーンでは、空間中に様々なノイズの元になる電波や電磁波が存在します。幾つかの例を挙げると、携帯電話の電波や蛍光灯、エアコンやPCの電源ファン等々。これらの電磁ノイズがPUや楽器内部の信号線を直撃し、アンプによって増幅されて音として出現するのが「ノイズ」です。ギタリストにはお馴染みの「ジー」とか「ビー」とか言う音ですね。

これらの電磁波ノイズはエレキギターが開発された50年代には殆ど存在しなかった物ばかりでした。その為、あまりノイズ対策をなされておらず、今でも開発当時の構造をあくまで再現しているモデルは欠点をも引き継いでしまっています。(その点ギブソンのセスラバーさんは偉い!50年代の後期にはこの電磁波ノイズを遮断するシステムを開発した訳ですから。その製品の名前がお馴染みのハムバッカーと言います。)

では外来ノイズを防ぐためにはどうしたらよいのか?と言う研究は随分昔から進められており、紆余曲折を経て「キャビティー等へアースに繋がった金属ボックスを埋め込んだり、又は金属箔を使用して、シールドボックスを形成し、防御壁として信号線を閉じ込めて、外来ノイズの侵入を防ぐ」という解決法が編み出されました。

正確にはどなたが一番最初に導電性塗料を使って始めたのかは存じ上げませんが、加工等の容易さと、かなりの効果が有った為、この塗料を使った手法は画期的なノイズ対策法の決定打となり世の中に広まって行きました。今やハイエンドなギターでこの処理が施されていない物は皆無です。

但し、効果が有れば副作用もありまして、ノイズが減ると言う事は、若干高域のキラキラした音色の部分をスポイルしてしまう為、その辺はまた別の工夫が必要になります。

簡単な説明ですが、実際の作業はと言うと、、、
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こんな風にマスキングをして、導電性塗料を筆で塗布していきます。
この塗膜を正しくアースに接続してやる事で、信号線を全てアースボックスによって囲ってしまう訳ですね。

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ピックガード裏にはアースボックスの蓋の機能として、アルミシートを貼り、アッセンブリーを全て組み込みます。ここに塗料を使うとPGが歪んでしまう恐れが有りますのでアルミシートを使用します。

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ミッドブースターはいつも通りこんな感じ。今回はブースターのバイパススイッチをトーンポットに同梱させました。これによりパッシブでも使用可能です。

ここまで作業すれば、後は型通りの組込と調整ですね。

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今回ナットの状態が芳しく無かった為、溝と外形を調整しました。

IMG_3648_R.JPG → IMG_3652_R.JPG
その他調整にあたり、ネックポケットに残っていた生産時のマスキングテープの粘着と思しき汚れを掃除し、平面に調整し直しました。これやっておくと結構ご機嫌な鳴りに変化するので、個人的には手を入れる事の多い場所です。

組み込んで調整したら。。
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完成です。
バッテリーボックスはお馴染みの場所へ取り付けてあります。

こんな感じで作業が終了しました。

ミッドブーストの掛り具合や鳴りに関しても、中々ご機嫌なドライブサウンドが得られました。マスタートーンのスイッチポットでブースターをオフれば、パッシブサウンドも出力できますので、色んなシーンで活躍できる一本に仕上がりました。

ざっと作業を一連の記事に仕立ててみましたが、如何だったでしょうか。

ご興味のある方は一度是非ご連絡を頂ければ幸いです。

神奈川県S様ご依頼ありがとうございました。
またのご愛顧お待ちしております。
posted by IRP Products at 22:02| Comment(2) | TrackBack(0) | 楽器リペア関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年07月10日

ギブソンカスタムショップレスポールのPU交換作業や色々

今回は大阪府のT様からのご依頼でギブソンカスタムショップ製レスポールのPU交換作業を行いました。

お預かりしたレスポールはどんな物かと言うと、、
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本当に凄い杢の入ったメイプルトップですね。真っ当に行って販売価格は幾らの楽器だったんでしょうか。
良質な木材が使われている所謂プレミアムグレードな個体でした。

今回の依頼PU前後交換とヴォリュームポットの交換です。
そこに至るまでの経緯は次の通り。

レスポールのスタンダードなコントロール回路には500KΩのVOPOTが使用されていますが、この使用部材である所のCTSのポットは、ノブ的にはVOゼロの際でも、内部の残留抵抗(数Ω〜50Ω程度)が大きく残っていて、音量がゼロにならない事が有ります。

特にこれが問題として表れる顕著な例が、レスポールのスタンダード回路で、PUセレクターをハーフトーンポジションで片方のVOを絞って有る場合のみ音が漏れると言う症状です。

これは単純に2系統ある内、ゼロのVOPOTに残留抵抗が有る為で、ハーフトーンの際、もう1系統のVOPOTの抵抗が合成抵抗として加算されてしまい、信号ラインから見た回路上、信号が残留抵抗分アースから浮いてしまう為に起こる現象です。
気になる方は合成抵抗の計算等をしてみて下さい。残留抵抗が50Ωもあると結構な合成抵抗値が出ます。。

又、プレーヤーの方で音漏れが気になる方はぜひ交換を!

これらを回避する為には残留抵抗が無いVOPOTを使用するか、配線を改造するしか手は有りません。
今回はあくまでレスポールの基本回路を再現すると言う要望でしたので、当然選択肢としては前者を選択する事になります。
そもギブソンが最初からちゃんと選別したVOPOTを使っていればこんなことにはならない訳で。。。

まあそんなこんなで手配したロングシャフトのVOPOTなのですが、やはり同じくCTS製を選択しました。
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なんだかんだ言っても耐久性は非常に高い事と、残留抵抗さえなければ間違いのない電気部材ですのでね。
私は過去の経験からあまり好きではないのですが、エレキ業界と言えばコレと言うぐらいスタンダードな物なのでどうしても外す訳にはいきません。

次はPUに特殊な加工を施します。
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今回載せ替えるのはコレ。今やダンカンのスタンダードですね。

これを有る特殊な作業をし、調整してから楽器にマウントします。
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こんな感じですね。電気分解だとか、イオンだとか何だとか書き始めるとキリが無いので、何やってるかは企業秘密と言う事で。

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で色々各部調整やらエイジド加工やらを行って。。PUは完成。

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楽器側はシールディング加工を施し、回路配線もプリビルドしてから仕込みます。

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今回使ったコンデンサは私のお気に入りのオレンジドロップのとある品番のものですし、トーンポットにもバイパス出来るフルトーンをストックの物を加工して仕込みました。これだけでももうぜんぜん別物です。

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次はナット交換をして、、、、

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ブランクの牛骨材から削り出します。これがまた5年物のオイルボーンでとうとう5年物のストックが尽きました。まあ都度都度仕込んでますんで在庫は問題ありませんが。

で交換後のアップ写真が無いのですが、様々な所を調整して、、
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完成です!

完成後、弾いてみましたが無茶苦茶カッコいいレスポール然とした音が出てまして、これならジャズでもサザンロックもハードロックも何ら問題無くイケる感じでした。
面構えも良いですしね。

と言った様な所で本日はここまで。

大阪府T様
ご用命有難うございました。またのご愛顧お待ちしております。
posted by IRP Products at 21:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 楽器リペア関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする