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2014年01月26日

Epiphone by Gibson TAK MATSUMOTO SIGNATURE DC STANDARD 総メンテ

今回の記事は掲題通りエピフォンのTAK松本モデルのメンテナンスになります。
ご依頼主は私の古い友人でもあり、富山の管楽器工房を経営する高木君からのご依頼でした。
彼は古くからのB'Zファンでして、僕もそれを知ってはいましたが、まさかエピフォンとは言えシグネイチャ−を買うとは。
と言った所で、今回のメニューは以下の通り

1:フレットすり合わせ
2:ナット交換
3:ブリッジ交換
4:テールピース交換
5:PUスイッチ以外全て電装系交換

と言った様な所が今回のメニューです。

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中国青島ファクトリー製ですが、各部見ると中々良い造形をしていると思います。
おっと、うちの社長のカエル子さんが。
因みにカエル社長は作業場でふんぞり返っている、うちの癒しキャラでして、
たまにBLOGに載せてあげよう/若しくはこいつが喋ったら面白いな等と思ったりしてます。
BLOG内でカエル社長を見たで1割引き!とかやっても面白いかもしれませんね。

そんな事はさて置き、各部をチェックしながら部品を一旦全て取り外します。
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今回はフレットのすり合わせですがセットネック物なので、取り回し上、ボディー全体を養生します。

又この作業と並行して、ネックの状態を確認しておきます。
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で今回触って、へぇーと思った事が。
それはこのネック、ダブルアクショントラスロッドが使われておりまして、順反りと逆反りの両方に対応出来るロッドが仕込まれておりました。つまりプアでよく動くネック材でもある程度の動きには追随出来ると言う事。正しく仕込まれてさえいれば、ある種物凄く楽器を長持ちさせる事が出来る可能性を秘めたネックとも言えます。

又、触った感触及び使うレンチの種類から類推すると、、、
http://www.stewmac.com/shop/Truss_rods/Adjustable_truss_rods/Hex_Nut_Hot_Rod_Truss_Rod.html?tab=Pictures
おそらくこのトラスロッドが使われている感じがします。製作家の方ならご存知かと思いますが、このロッドの調整範囲の広さ及び効き方はガチです。かなり強力に反りを修正できますので、ヴィンテージ仕様に拘らず、あくまでストレスフリーな道具としての楽器製作の依頼が有った際、私が製作する楽器はほぼこの種のロッドが採用されています。
欠点も無くはないのですが、、取り敢えずその話はまた別の機会に。

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後はいつも通りの作業です。
今回それ程フレット上面の高さの不揃いが発生していなかった為、フレットを削る分量も割合少なくて済みました。一回これで状態を整えてあげると、消耗するゾーンが温存されてますので長く使えるって事ですね。

次は電装系を見て行きます。
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こんな感じで所謂量産楽器としては至極普通の状態ですが、導電性塗料の塗り斑が有ったり、配線処理等、割と雑然としてますので、その辺も修正整理します。

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導電性塗料を塗り直した後、乾燥待ちの間に並行してサーキットを作っていきます。

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組み込んだらこんな感じですね。
今回はポットはCTS社製の物×3 パッシブトーンには在庫していたオイルコンデンサを使って仕上げ、配線材はここの所私が気に入って使っているとある会社の小容量シールドケーブルを使います。

配線処理を済ませた所で、次はナット交換。
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元は良く有るプラ素材のナットですが、取り付け方が良くないので、ローフレットでの弦高が非常に高く、Fのコードで音程を測ると、最大で音程が7セント程もシャープしてしまう代物でした。これは頂けないので溝切り調整をし直しても良いのですが、これを機会に交換してしまいます。

今回交換に使用するのはグラフテック社製のカーボン系素材のナットです。
この素材、色々広告では面白い事が書いてありますが、その特筆すべき点は素材自体が持っている潤滑性でしょうか。所謂平織り/綾織りのカーボン素材のナット材より柔らかくて加工がしやすく、潤滑性に富んでいる為、摩耗が少ないという利点もあります。その為、チューニングが安定しやすく、音色も上々なので近年は色んな方に好んで使われてます。

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今回は在庫の原材サイズから削り出し、完成させました。

ってな感じで弦を張って調整/検討/調整を行えば完成です。
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今回実は写真が無いのですが、精度があまり宜しくないオリジナルのブリッジ交換と同じくテールピース交換も同時に行っておりまして、結果的には木部とPUとペグ以外は全部私の手が入った状態と言う事になりますね。

弾いてみた感じ、成る程、これはこう言う音がする楽器なのか。と先ず膝を打つ様な音で、
PUがTAKモデルのバーストバッカーと言うのもあるのでしょうが、馴染みのある音色になりました。
レスポールとも少し違ういい感じに低域の抜けた歪みの乗りやすい音ですね。これ個人的には好きな音です。

又ポールピース毎の音量バランスもフロント/リア/全弦で取ってあるので、弾いた感じだとコード感が一発で固まって出てくるような音色に仕上げてます。

言葉で言うと。。。

前に飛ぶフロントPUによるリードトーン
クリーンではぞくぞくする綺麗なハーフトーン
リアではバランス良く歪みを刻める

そんなバランスで組み立ててあります。

高木君、ご依頼ありがとうございました。

彼は冒頭にも書きましたが、富山県で管楽器のリペア工房をやってます。
リペアスタジオ高木
もし管楽器の事でお困りの方がいらっしゃれば是非覗いてみて下さい。
posted by IRP Products at 19:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 楽器リペア関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年01月07日

安い楽器だからっ・・・!

一応世間様では本日から仕事始めと言う所が多いのでしょうか、本日は頂くメールが非常に多く、年始より非常にうれしい悲鳴を上げており大変有難い状態となっております。

ただ送られてくるメールの中で、一つ気になる事が有ります。

それは遠慮がちに
「安いギターですけど●○××は出来るのでしょうか?」
「中古で買った素性が解らないギターなんですけど弄る価値は有りますか?」
「安い楽器ですけど、作業して頂けますでしょうか?」
「別の所で断られました」
と言った類のメール

私、そんなに敷居高くないですよ。遠慮は要りません。私で良ければどんどん相談して頂ければ幸いです。

むしろそういう楽器こそ次にあげる理由から手を掛けていくべきだと考えております。

安い楽器を「意図的に」手にされる方は、恐らくご自分でメンテナンスなり改造を行い、自分に向いた楽器と言うのを知っている方、又は道楽としてそういった作業が好きな方だと思われます。

所が、純粋に音楽に興味を持ち、ギターを手に取った初心者が手に取るであろうエントリーグレードの楽器と言うのは、得てしてネック/ナット/ブリッジ/フレット等が酷い状態になっており、非常に弾き難い印象の物が多い事も確かです。それに気が付かないまま練習をして、「変な癖が付く(上手くならない)」若しくは、、「Fのコードが抑えられなくて。。。」と言った事で弾く事を諦める方が少なからずおられ、それは大変もったいない話と言えます。

どんなエントリーモデルで安価なギターで有ったとしても、少なくとも代表的なモデルのコピーで有れば、生産自体には実績が有ります。こう言った楽器の場合は余程の不備が無い限りに於いて、ある程度の弾き易さ等は後の調整/加工でどうにかなり、適正な弦高とテンション感さえ楽器に与えれば、恐らく多くの方が「Fのコード」で楽器を諦める事はないと思うのです。それと共に「Fのコード」で楽器を諦めた人の中には、手に取った最初の楽器がもっと弾き易い楽器であったならば、挫折せずに楽器を弾き続ける人が増え、それが楽器演奏者人口の裾野を広げたであろう事は想像に容易い事です。

所がエントリーモデルのほとんどが、メーカーやブランドホルダーにより、品質を差し置いて採算利益重視の作りっぱなし、売りっぱなしのケースが後を絶たず、非常に弾きにくい物が世の中には氾濫しててしまっております。本来であればメーカーのカスタマーサービスを含めたバックヤードがきっちりすべき所なんですが、このビジネスは全体の利益構造が脆弱な事や、音が出ない等の破損修理とは別の側面で、人間の感性判断による「弾き易い/弾き難い」の明確な線引が出来ない為にバックヤードでは対応しきれず、殆どの場合それらは上手く機能していません。そもそもメーカー等にとってバックヤード整備は利益を生む分野ではないと言うの事も機能しない一つの要因でしょう。

そんな考えから、逆に私は安価な楽器を真っ当にすると言う作業を断る事は有りません。楽器が弾ける人が増える事は、文化的側面から見ても、業界構造から見ても、廃棄される楽器が減ると言うエコの観点から見ても明らかに前向きだと考えております。

私にとっては、安価な楽器も高価な楽器も扱うスタンスその物は同じです。ただしそれ相応の予算が必ず隣り合わせですから、それはそれ相談の上にて落とし所を見つけ、精いっぱいの所まで作業を行いますので、冒頭に書いた通り、お気軽にお問い合わせページよりご連絡を頂ければ幸いです。

それではよろしくお願いします
posted by IRP Products at 01:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年01月03日

2014年幕開け

皆様あけましておめでとうございます。

2013年中は皆様にご愛顧頂きまして、誠に充実した濃い1年を過ごす事が出来ました事を厚く御礼申し上げます。
例によって昨年もあっという間に1年が過ぎましたが、思い出すと、、
それはそれはバラエティーに富んだ、多方面の方々とビジネス上のセッションを繰り返す中、様々な分野の情報が入ってきては咀嚼/処理を行う事で、世界の形と私の役割と言う物がこの歳になってやっとですがおぼろげながらに見えてきた次第。

これは去年も書いた事ですが、、、
IRP PRODUCTS.NETは相変わらずで、表立っての活動は停滞している風ですが、それでも新たに出会うお客様や、遥か遠方からのご依頼、果ては海を越えた彼方からのコンタクト等、本当にご愛顧頂けるお客様/仲間に恵まれております事、大変有難く感謝の一念でございます。

皆様に感謝する気持ち、本来であれば直接お会いしてお伝えすべきですが、ネット上より失礼させて頂きます。

皆様にとってより良い一年になる事を心より願っております。

ネック折れ作業.jpeg
posted by IRP Products at 21:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする