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2008年06月13日

ストラトのネック折れ(割れ)の修理

先日、お世話になっている某ギタリストがお勤めのライブハウス様から、急を要する修理依頼を頂きまして、その対応をさせて頂きました。

内容はと言うと・・・・・

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(サムネイルをクリックしてください。画像が拡大します)
フェンダージャパン社のエリッククラプトン系モデルですね。

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ヘッド折れ(割れ)で御座います・・・・
折れた原因なんですがこれがまた特殊でして。。

ライブハウスのステージか控え室か、その辺りは良く判らないのですが、出演者様が楽器を高く持ち上げた際、回転している換気扇にヘッドを巻き込ませてしまったそうです・・・
不慮の事故とは言え、かなり珍しいタイプの事故ですね。

最初はJF社へネック差し替えの見積り依頼を出したそうなのですが、その額がこちらで修理する費用と比べてかなり高価であった為、私の所へ修理依頼が来たという物です。

ご覧の通り、割れてしまっている訳ですが、一部ヘッド裏面を除き欠損部分が少ないのが幸いと言った所でしょうか。
その他に、このネックは艶消しクリア仕上げという、部分塗装修理がしやすい物であった事も有利ですね。

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一見クビの皮一枚で繋がっているように見えますが、完全に割れてしまっているようで、ペグポストを保持するブッシュを抜いてみたら、欠損部分がぽろっと取れてしまいました。
こういう破損の場合、下手に繋がっているよりも、完全に取れてしまっている方が修理がしやすいので良しとしましょうか。

そして今回の難関は、破損から大分日数が経ってしまっていた為、破損部分同士が木部の呼吸によって変形してしまっています・・・・

その為、完全に密着させる事は不可能で(さらに換気扇による物でしょうか、汚れが付いてしまっています・・)、ひび割れ部分に多少隙間が開いてしまいます。平たく言いますと、修理痕が残ると言う事ですね。

今回はその辺りをクライアント様と打ち合わせまして、接着後一旦部分塗装で修理痕を塗り潰して木目を書く方法(修理費用が高価になる)と、修理痕を有る程度無視して強度を回復〜楽器としての機能を回復(修理費用が安価で済む方法)の二通りご提案させて頂きましたが、今回は後者の修理法を取る事になりました。

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今回また重要な接着中の写真は有りませんが、今回は専用のヘッド型の圧着ジグを製作〜接着作業を行いました。

特に今回の物が特殊な理由は、換気扇のファンに巻き込まれて捩れる様に木が裂けてしまっているので、その辺りの状況を想像しつつ、ファンがぶつかったのとは逆方向にクランプを掛けて接着してあげる必要がありました。(相変わらず文字で書くと判りにくいですね。。)

この時点で、楽器としての木部強度は十分に取り戻せています。

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やはり悔しい事にひび割れ部分は目立ってしまいますね。どうクランプを掛けても、これだけはどうしようも有りませんね。。汚れは極力除去したんですが。

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ヘッド裏の木部欠損部分は同質のメイプル材で埋め木をした上、痛んでいたペグ取り付け穴も埋め戻しておきます。
この埋め木作業はヘッドトップのひび割れが目立つ部分行っても良いんですが、それを行うと費用が嵩む事や、そもそもの欠損部分の大きさの都合から今回は見送りました。

この後、修理部分の目止めをきっちり行い、艶消しクリアを部分的に吹いてあげて木部修理は終了です。

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後は部品を組み戻してあげて終了です。
FJ社のクラプトンモデルはコストパフォーマンスがかなり優れていますね。レースセンサーゴールドの音は久しぶりに聞きましたが、何だかんだ言ってやはり好みの音ではあります。(ある問題が有って個人的には頼まれない限りは使わない様になったのですが・・)

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こんな感じですが、やはりヘッドトップの修理痕が多少でも残ってしまった事は悔しいですね。。。もう少し早く入庫して修理に着手出来ていれば・・・と思ったり。この辺りはクライアント様の予算と打ち合わせの兼ね合いになりますので深くは追求出来ませんね。
何にせよ、楽器としてちゃんと復活したと言う事が私個人としても感慨深い物があります。。。

とりあえず間接的なご依頼だったとは言え、この楽器のオーナー様に喜んで頂けたとのご連絡がありましたので一安心です。

これをご覧の皆様へ、ネック折れが起きた場合、理想としてはその日のうちに修理に出して下さい。そうする事によって、見た目も完全に修理する事が可能です。費用も少なくて済みます。

と言った様な所で本日はここまで!
posted by IRP Products at 04:32| Comment(0) | TrackBack(0) | ネック折れ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする